<霧が掛かった花立山>
熱射病を気にして登る丹沢;塔ノ岳(今年30回目)
(登りH氏に同行;下り単独)
2011年7月12日(火)
■朝方の富士山が綺麗に見える
梅雨が明けてから猛暑が続く.天気予報によると,今日は晴.東京・横浜は33℃,熊谷は37℃の猛暑になるという.テレビでは,年配の方はたとえ室内にいても熱射病になる可能背があるので.いくら節電が大事だからと言って,余り無理をしないようにと繰り返して注意をしている.こんな猛暑の日に,わざわざ塔ノ岳の登るのは,一般の方から見たら,まさに狂気の沙汰に見えるだろう.しかも,ロートルのくせに・・・
実は,昨日(7月11日),藤沢コージツで新しい軽登山靴を購入した.というのも,平素,塔ノ岳に登るときは運動靴に毛が生えた程度の靴しか履いていないが,今週末から出掛けるトレッキングには,少しはマシな軽登山靴を履いていきたいからである.でも,いきなり新品の靴を履いていくのもリスキーなので,一回は塔ノ岳で履き試しをしたかったからである.
気になるのは,熱中症である.例年,真夏の期間でも,丹沢へ登っているので,大丈夫という気持ちもあるが,やはり年齢が年齢なので,いささかの心配はある.そこで,何時もより沢山の水を持参して,特段の注意を払いながら,登山することに決める.
5時10分に家を出る.このとき,すでに外気は27℃に達している.晴れている.辺りは生暖かい空気が淀んでいる. 小田原で小田急線に乗り換えるために駈けっこで階段を上り下りする.
「・・うん,まあ,新しい靴も調子が良いな・・」
電車は,何時もより大分空いている.平日なのにどうしたのだろうか.車窓から外を眺める.新松田手前では,矢倉岳と富士山がとても良く見えている.この分だと,今日は富士山の展望を楽しむことができるかなと期待する.車窓からの富士山は,ほとんど雪がなく,何となく拍子抜けの感がある.そういえば,ここ数年,矢倉岳に登っていないな.秋になったら,ぜひ,矢倉岳から富士山を見てみたいものである.
<富士山と矢倉岳>
■大倉から歩き出す
小田急線の下り電車が遅れたらしくて,渋沢発大倉行1番バスは,10名ほど登山客だけで社内は閑散としている.韋駄天のTさんの姿がない.O川さん,久々に会うHさん,N村(弟)さんなどが乗り合わせる.
7時丁度にバスは大倉に到着する.気温29℃.無風である.
山旅スクール6期のN島さんも同じバスに乗っていたらしい.私に「先に行きます」と挨拶して登り始める.7時06分,Hさんと一緒に歩き出し.今日も歩き出しが一番後ろの方になる. 路面は良く乾いているが,全くの無風で,先が思いやられる.
登山口でO川さんに追い付く.二言三言挨拶を交わした後,とりあえずは先に行かせて貰う.同行のHさんの歩く速度が,この頃の私の速度よりやや速い.とはいえ,無理な速度でもないので,暫くの間,ご一緒する. 7時44分,見晴山荘を通過して,最初の急坂に差し掛かる.熱射病になるのが気になるので,歩行速度を少し落とす.一本松を過ぎる頃には,Hさんとの距離がかなり開いてくる.
<緑陰の急坂;前方に山旅スクール6期のNさんが見える>
■汗だくの急坂
一本松手前で,山旅スクール6期のN島さんに追い付く.
そのまま歩き続けて,9時14分に駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間06分.私には丁度良いラップタイムである.
やがて堀山の尾根に到着する.何時もならば,この辺りは海風が吹いて心地よいところだが,今日は全くの無風で,肝心の富士山も完全に雲の中である.私は,チョビチョビと給水と,塩飴をなめながら,マイペースで歩き続ける.
堀山を過ぎた下り坂で,Hさんに追い付く.若い女性と雑談をしながら歩いている.ここから堀山の家までは3人一緒に歩く.8時31分,堀山の家を通過する.気温27℃.小草平からも富士山は全く見えない.
私は流れるような汗はかきたくなかったので,お二人よりユックリペースで登ることに決める.途端に,お二人と私の距離がたちまちの内に開き始める.ちょっと悔しい気もするが安全第一と自分に言い聞かせる.
「・・とにかくユックリ歩こう.決して無理しないぞ・・」
と私は自分にくどくどと言い聞かせながら登り続ける.
「“汗だくを承知で登るバカなやつ”・・お前さんのことだよ!」
と私の心の奥底に巣くっているもう一人の私が悪態をつく.
<富士山は雲の中>
■萱場平
8時53分,萱場平を通過する.熱気でムンムンしている.気温27℃.一向に涼しくならない. ユックリ登っているのに,結構,シンドイ.涼しいときならば歩行速度を速めて通過する所だが,今日はその気にならない.デレデレと通過する.流れるような汗はかかないようにしているが,それでも汗だらけになっている.背中のリュックの蒸し暑い.
<誰も居ない萱場平>
■2番バスのTさんに追い抜かれる
ノソノソと登り続けて,後7分坂に到着する.私の前に小太りの男性が止まりそうな速度で登っている.いくらユックリの私でも,追い付いてしまう.
「スミマセン,お先に・・」
と挨拶する.
「いや~ぁ・・暑いですね」
「同じ1番バスでしたか?」
「いえ,1番バスより1時間も前から登り始めたんですよ・・昔は20キロの荷物を背負って3時間で登れたんですが,今日は4時間以上掛かりそうですよ・・・」 「暑いですから,ユックリ登りましょう・・」
この男性を追い越して暫くすると,上からN村さんが下山してくる.この頃,何時もこの辺りですれ違う.
「今日は暑いですね.山頂まで行かないと涼しくならないですよ・・ブログを拝見してますが,今度,ツールドモンブランに行かれるんですね.ボンノムに泊まるんでしょう・・良い所ですよ・・」
私は,行き先の固有名詞を覚え切れていないので,曖昧な返事しかできない.
「今日は兄も登ってくるようですよ・・気をつけて行ってらっしゃい・・」
でお別れする.その間に,先ほど追い抜いた男性に再び追い抜かれる.
今度は,後ろからヒタヒタとリズミカルに登ってくる足音が聞こえる.何と2番バスに乗ってこられた韋駄天のTさんである.いくら私の足が遅いとはいえ,まさかこんなところで追い抜かれるとは・・
9時23分,漸く,花立山荘を通過する.大倉からの所要時間は2時間17分.春や秋の涼しいときの記録より17分遅い.でも,無理をしないことだと自分で納得する.
<N村さんが下る>
<韋駄天のTさんに追い越される>
■霧の中の馬の背
先ほど私を追い抜いた男性は,花立山荘で休憩を取っている.
ここから先は,全くの一人旅.花立山辺りからは濃い霧になる.多分,雲の中に入ったのだろう.おかげで,全く眺望が利かない.気温26℃.無風.今日はどこまで登っても涼しくならない.
花立山辺りから,うるさいほどの蝉の鳴き声が聞こえてくる.
眺望が無くても,写真を撮り続ける.端の名前は分からないが,美しい花が咲いている. 馬瀬付近からは,霧の合間から美しい緑に覆われた谷が見えている.
9時40分,やっと金冷シを通過する.今のところ,どうやら熱射病にはならずに済みそうである.引き続き,ノタノタと登っていると,上から韋駄天のTさんが,もう下山してくる.この体力の差はもうどうにもならないほどである.
<暑いけれども緑の渓谷美に癒される>
■塔ノ岳山頂
9時59分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間53分.このところの私には,まあ,こんな所が妥当なラップだろう.わずか2年ほど前までは,夏でも2時間30分台で登っていたことを考えると情けないが,致し方ない.
山頂の気温23℃.曇り空.山頂の見通しはよい.青空も見えるが,周囲には雲が立ちこめていて,展望は全く利かない.それでも,何時ものように,周囲の風景をデジカメに納める.
尊仏山荘を覗くと,私より先に到着したHさんと女性が座っているのが見える. ネコ御殿の前まで行って,2階の窓にネコが居ないことを確かめてから尊仏山荘に入る.
<塔ノ岳山頂;残念ながら富士山は雲の中>
■尊仏山荘
先客は,先ほどまで一緒に歩いていたHさんと女性の2人だけ.小屋番はWさん.300円也のお茶を所望する.
どこからともなく,営業部長のミー君が自発的に現れる.どういう風の吹き回しか,ミー君は椅子に登って,盛んにニャーニャー鳴く.何時もほとんど鳴かないのに・・・
「寂しいのかな・・ニャーニャーは・・」
「先ほど,入口付近で,30分ほど座っていましたよ・・・Oさんが登ってくるのを待っているんでしょうかね・・」
とWさん.
雑談をしていると,先ほど花立山荘付近で一緒になった男性が尊仏山荘に到着する.
<今日のミー君はニャーニャーと良く鳴く>
■暑い中,道草しながらノソノソ下山
10時29分,下山を開始する.
山頂からの下り口で,登ってきたN村(兄),つまりローギヤー氏と会う.山頂から最初の階段を下りていると,下から登ってくるY川さんとすれ違う.今日のY川さんは随分と速いように思う.
蝉時雨の中を,花の写真を撮りながら,ユックリと下山し続ける.花音痴の私には花の名前を覚える気にもならないが,綺麗である.
■チャンピョンや山旅スクールの知人とすれ違う
花立山荘を過ぎて,後7分坂を半分ほど下った所で,山旅スクール6期の丸顔の女性とバッタリ.女性は私の名前を知っているが,逆に私はこの女性の名前は端から覚えていない.
「・・富士山に登りたいので,足慣らしに塔ノ岳に登ってきました・・」
1分ほど雑談してから,下り続ける.
すると,今度は,大きな荷物を背負ったチャンピョンが登ってくる.
「こんにちは,お暑いのにご苦労様です・・」
とチャンピョンに挨拶する.
「やあ,どうも,ご苦労さん・・FHさんは,大学の先生だって? (山へ登ったり,絵を描いたり)大変ですね・・」
「いえ,いえ,・・・先生はとっくに定年退職,今はサンデー毎日ですよ」
で,すれ違う.沢山の知人とすれ違いながら,このクソ暑いのに,皆さん,それそれに元気だなとつくづく思う.
<山旅スクール6期の方とすれ違う;何というお名前だったかな?>
<チャンピョンが登ってくる>
■無事で良かった
標高が低くなるにつれて,蒸し暑くなる.惰性でユックリノンビリと下り続ける.ちょっと急げば大倉発12時52分のバスにユックリ間に合うことは分かっているが,その気にならない.蒸し暑い登山道も半ば惰性で,ノソノソ歩きを続けて,13時08分,ようやく大倉バス停に到着する.下山所要時間は,なんと2時間39分.
「いくら何でも,ノンビリしすぎだよ・・・」
と心の中のもう一人の私が悪態をつく.
バス停で,冷たいドリンクを飲んでから,汗でベタベタシャツを着替える.
そのとき,Hさんと女性が下山してくる.Hが,
「あれ・・まだ,ここに居るんですか・・」
と私に言う.
「何だか蒸し暑いので,ユックリ下山しましたよ・・」
大倉発13時22分のバスに乗車する.
「・・・普段,山登りしていると,猛暑だと言っても,余り暑さを感じなくなりますね」
とHさんが言う.
これには,私も同感である.気温33℃などと聞けば,私も確かに少しは暑いような気がするが,実際の所,ほとんど暑さは気にならない.こんなことを言うと,
「そりゃ~ぁ・・・年を取って,暑さに鈍感になっているからだよ・・」
とまぜっかいされそうである.それも,事実かも知れない.でも,連綿と登山を続けていると,暑さ寒さに余り堪えなくなるのも,紛れのない事実である.
でも,まあ,このクソ暑い最中に,熱射病にもならずに塔ノ岳を往復できたんだから,これで良しとしておこう・・というのが正直な所である.
15時過ぎに帰宅.早速シャワーを浴びて,まずはクールダウン.汗でベタベタの着衣を,乾いたものに着替えると,気分がスッキリ.
家の中で,熱中症になってしまう年配者も居られるのに,曲がりなりにも熱暑の塔ノ岳往復を往復できるだけでも,良しとすべきかな.
<ラップタイム>
7:06 大倉歩き出し(27℃)
7:27 観音茶屋
7:44 見晴茶屋
8:14 駒止茶屋
8:31 堀山の家
9:23 花立山荘(26℃)
9:59 塔ノ岳山頂着(23.0℃)
====================================
10:29 塔ノ岳山頂発
10:57 花立山荘
11:36 堀山の家
11:54 駒止茶屋
12:26 見晴茶屋
12:44 観音茶屋
13:08 大倉 着(30℃)
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 9:59
(所要時間) 2時間53分(2.88h)
水平歩行速度 7.0km/2.88h=2.43km/h
登攀速度 1269m/2.88h=440.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:29
大倉 着 13:08
(所要時間) 2時間39分(2.65h)
水平歩行速度 7.0km/2.65h=2.64km/h
下降速度 1269m/2.65h=478.9m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/a8537c495b17b4f17b4b2f34b261dcec
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/600f3f73f3710ac0d970f4cac8124503
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