<見納めのシロヤシオ>
登山者で賑わう初夏の丹沢:塔ノ岳(今年27回目)
(単独山行)
2009年5月26日(火)
■混雑する1番バス
私は,例によって,小田原駅で“駆けっこ”をして,東海道本線の電車から小田急電鉄の新宿行電車に,やっとの思いで乗り換えた.何時もながら,小田原駅の駆けっこで,肝心の塔ノ岳往復より多くのエネルギーを費やしたような気になる.
平日なのに,今日の1番バスは,立ち席が出るほど,沢山の登山客で混雑している.たまたま,私が座った席の窓側に,山旅スクール5期の同窓生,M浦さんが座っている.久々の再会に,大倉までの間,昔話の花を咲かせる.
山旅スクールに通っていた時代,三つ峠の山の中で,M浦さん他数名と一緒に,ちょっとした不注意で,グループ本体から,はぐれてしまった失敗談がある.雑談をしながら,あの時のことを懐かしく思い出す.
■ご常連さんに混じって
1番バスには,ご常連,韋駄天のTさん,2000回登頂直前のM馬さん,カメラマンのMさんなど多士済々のご常連が乗っている.バスが大倉に到着すると,Tさん,Mさんは直ぐに塔ノ岳に向けて歩き出す.数分遅れて,カメラマンのMさんも出発する.私はストレッチを一通り済ませないと気分が収まらない.それで,Mさんより5分ほど遅れて,山旅スクールのM浦さんと一緒に歩き出す.ほんの数分一緒に歩いた後,M浦さんとお別れして,別々に歩き出す.
今日は朝から随分と蒸し暑い.歩き始めて直ぐに,暑さのためか,自分の体調が余り良くないなと思う.私は,汗が流れないように,ユックリ,ユックリ登ろうと心に決める.ところが,私の心の中の何処かに,
「・・・そんなこと言わずに,できるだけ速く登ろうよ」
と言い続けている邪悪な自分が居る.私は,自分の中にしつこく巣くっている“こいつ”との対決が今日のテーマだと悟る.
7時42分に見晴茶屋を通過する.この辺りまでは,登山道の傾斜もそれほどきつくないので,慎重に登ると言いながらも,結構良いピッチで登ってきた.でも,ここが今日最初の急な登り坂である.坂を見上げると,何人かの登山者が数珠繋ぎになって登っている.その中にカメラマンのMさんも混じっている.Mさんは,カメラ機材が入っているのか,見るからに重そうなリュックを背負っている.
途中で,Mさんに追いついてしまう.少々,気が引けるが,Mさんにお断りして,追い越させて頂く.
「・・・花立山荘手前の坂はユックリ登ります.それまで先に行かせて貰います・・」
<平日なのに沢山の登山客>
■駒止茶屋
一本松を過ぎる頃,登山道の両側の林から,蝉の鳴き声が聞こえてくる.ジャージャーと耳障りな啼き声である.あるいは蝉ではないかもしれない.何れにしても暑い夏を連想させる気障りな啼き声である.4月の初めには残雪があったのに,あれからたった2ヶ月の間に夏のような天候になってしまった.
やがて,駒止茶屋手前の急階段に到着する.私は,重ねて無理をしないで,焦らずに登ろうと自分に言い聞かせる.ユックリ登っているが,それでも,結構,苦しい.8時10分,漸く,駒止茶屋に到着する.
大倉から駒止茶屋までの今日の所要時間は1時間02分.ゆっくり歩いたにしては,1時間を,たった2分しかオーバーしていない.今日は,山頂までの時間は2時間25分位かなと予想する.
■堀山ノ家
やがて堀山の尾根道に入る.富士山の定点写真を撮っている場所に到着する.多少春霞が掛かっているが,今日も富士山が良く見えている.若葉が一層育っているために木の枝がますます下に下がっている.こんな一寸した変化も,写真を撮り続けていると分かるから,とても面白い.
8時25分,堀山ノ家に到着する.顔なじみのご夫婦がベンチで休憩を取っている.
「おや,暫く・・・どこか他の山へ浮気していたんでしょう・・・」
と私に話しかける.私は,平素,登山の途中で休憩を取ったことはないが,何となくこのご夫婦の脇に座って,雑談を始める.ご夫婦から海外の山での経験話を聞かれる.
「まあ・・場所によっては,食べ物が粗末なことと,トイレが汚いことを覚悟しないと,・・・」
など,乏しい体験を披露する.
そうこうしている内に,カメラマンのMさんも,堀山ノ家に到着.私達と同じベンチに座って,休憩を取る.
<4月27日> ※写真右の木の枯れ枝が空高く延びている
↓
<5月18日> ※写真右の木の枝の位置に注意.
↓
<5月26日> ※葉が増えたためか,枝が重くなって上の写真よりさらに下がっている.重たそう.
■萱場平
8時30分,ユックリ登るというご夫婦とお別れして,再び登り始める.私のすぐ後,10メートルほど離れた所を,Mさんが付いてくる.
堀山ノ家辺りから暑さは幾分和らいだようである.しかし,私は汗が流れない程度の速度を頑なに守り続ける.それでも,途中で何人かの登山客を追い越す.
8時46分,萱場平に到着する.例によって,定点観測の写真を取る.私の前を歩いていた青年が,倒れ込むように脇の茂みに座り込む.
<今日の萱場平> ※草が青くなった.
■花立山荘
兎に角,暑い.ちょっとピッチを上げただけで,汗が吹き出そうになる.私は自重しながらユックリと登り続ける.後にいるMさんが次第に近付いてくる.
やがて,花立山荘手前の急階段に到着する.この階段を登りきるのに,通常6~7分掛かる.私は自分に,
「ほんの6~7分の辛抱だよ・・・花立山荘まで行けば後は楽になるぞ・・」
と言い聞かせながら,ヨッコラ,ヨッコラと登り続ける.頭を上げて前を見ると,長い階段にウンザリするので,極力,足許だけを見て,
「もう少し・・・,もう少し・・・」を呪文のように唱える.
花立山荘手前20メートルほどの所で,遂にMさんに追い抜かれる.
<花立場付近から鍋割山稜を望む>
■塔ノ岳山頂
9時06分,花立山荘を通過する.堀山ノ家からの所要時間は36分.苦しかった割には案外,まともな所要時間である.
私を追い抜いたMさんは,富士山の写真でも撮るのか,花立山荘で一休み.その間に,また,私が先になる.
直ぐに露岩帯に入る.この露岩帯を登り詰めると花立場である.春霞が掛かっているものの富士山が良く見えている.今が満開のツツジが稜線沿いに何本も咲いている.私は,ここで少々時間を取って,ツツジと山の写真を数枚撮る.
花立場で写真を撮っていると,麓の山林からツツドリの啼き声が聞こえてくる.
9時19分,金冷シを通過する.今度はホトトギスが啼いている.この夏,大倉尾根でホトトギスの鳴き声を聞くのは,今日が初めてのような気がする.
前回登ったときは,若葉がとても美しいなと思っていたが,たった1週間の間に,山肌の緑が随分と濃くなっている.もう盛夏も間近である.いささか寂しいような呆気ないような気分になる.
金冷シを過ぎて最初の長い登り坂で,山頂を折り返した韋駄天のTさんとすれ違う.
「今日は暑いですね.山頂の気温+17℃でしたよ・・・」
と言う.
ノソノソと登っていると,いつの間にか,私の直ぐ後に,Mさんが近付いている.
私は,山頂近くの板階段で,先頭をMさんに譲る.そして,9時33分,Mさんと一緒に塔ノ岳山頂に到着する.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は,2時間25分.この所,毎回,2時間16~17分位のラップで登っていたので,記録的には不本意だが,途中5分道草しているので,まあ,まあ,こんなものだと自分で納得する.
<塔ノ岳山頂からの富士山>
■尊仏山荘
山頂で富士山や大山の写真を撮ってから,Mさんと一緒に尊仏山荘に入る.同じバスに乗っていたM馬さんが座っている.さすがに速い.
今日の小屋番はオーナーのHさん.Oさんが居ないので営業部長とのご対面は諦める.
山荘の寒暖計によると,9時40分現在の山頂の気温は+17.0℃.やはり暑い.
小屋番のHさんが,私に話しかける.
「昨日(25日(月)),お仲間が来ましたよ.『今日,FHさんは来ていないですか』と言っていましたよ・・・」
「へぇ~・・・誰だろう?」
「痩せた方で,看護士さんですよ・・・」
「ああ・・分かった! 山旅スクール5期のノシイカさんですよ・・」
「じゃあ~・・・ガイドの西○君の教え子ですね」
「そうです.私もノシイカさんとモンブラン,登りましたよ.今度,6月にモ○。コの○○山(標高4200m)へ一緒に登る予定です・・・」
そうこうしている内に,M馬さんが山荘を出発する.私の肩を叩きながら言う.
「先にユックリ下っているよ・・・」
「スミマセン.私,一寸,丹沢山の方へ行って,シロヤシオを見てから下ります・・」
<新装なった尊仏山荘>
■見頃を過ぎたシロヤシオ
Mさんによると,2日前の強風で,シロヤシオの花が大分吹き飛ばされてしまったらしい.さらに残った花も傷が付いているようである.ヤッパリ,小屋番のOさんが言っていた「今年は10日早い」は現実になってしまった.
10時丁度に尊仏山荘を出発.丹沢山へ向かう急な階段を5分ほどで,シロヤシオが自生している場所に到着する.
先週に比較すると,シロヤシオの花は随分少なくなっている,寂しい.とはいえ,丹沢の山並みを背景とするシロヤシオの風景は素晴らしい.ここで,暫く道草をしながら,写真三昧.
■元気な山旅スクール5期の方々
再び往路を辿って,10時15分に,再び尊仏山荘に戻る.再び山荘で雑談後,10時19分,下山開始.
何だか疲れた感じがするので,デレデレ,ブラブラで下り続ける.
10時47分に花立山荘を通過する.長い階段を下りつづける.次から次へ登ってくる登山客とすれ違う.長い階段を半分ほど下ったときに,山旅スクール5期と6期のI川さん,Y川さんの2人とすれ違う.“今日はヘトヘト”という顔に書いてある.でも,必ず山頂まで行くぞという気迫を感じる.
岩稜地帯に入る.下から大きな荷物を背負ったチャンピョンが登っている.
「・・今日は写真パネルを担いでいるよ・・・」
と言いながら背中の長い荷物を目で指さす.
11時37分,堀山を通過する.途中で2人連れの中年女性とすれ違う.その内のお一人が,いきなり,
「FHさんでしょう・・・?」
と私に話しかける.私は,この方の顔に見覚えがあるような,ないような・・・
誰だか咄嗟には思い出せない.
「山旅スクール5期のN沢です・・・暫く振りです」
それにしても,今日は立て続けに何人もの山旅スクール5期生とバッタリ・・・凄いことである.
■今年,初めて虫に刺された
12時17分,雑事場ノ平を通過する.
少々蒸し暑いので,ズボンの膝から下を出したまま歩いている.ここに油断があった.薄暗いトラバース道を下っているときに,アブのような虫に右足の臑を「チクリ」と刺された(その後,翌日になっても,痒くて仕方がない).折角,虫除けを持っていたのに使わなかったのが災いした.
12時48分,大倉に無事到着する.正直な所,今日は疲れた.
[ラップタイム]
8:08 大倉歩き出し
7:27 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:10 駒止茶屋
8:25 堀山ノ家(8:30まで雑談)
9:06 花立山荘
9:19 金冷シ
9:23 塔ノ岳山頂 着
=============================================
10:19 塔ノ岳山頂 発(+17.0℃)
10:32 金冷シ
10:47 花立山荘
11:28 堀山ノ家
11:47 駒止茶屋
12:15 見晴茶屋
12:30 観音茶屋
12:48 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:33
(所要時間) 2時間25分(2.42h)
登攀速度 1201m/2.42h=496.3m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:19
大倉 着 12:48
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
下降所要時間 1201m/2.47h=486.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/592d0b17ea1b30e2aa7c66a44422641b
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/68eae9f67cb06fafe271ddf133dc6069
登山者で賑わう初夏の丹沢:塔ノ岳(今年27回目)
(単独山行)
2009年5月26日(火)
■混雑する1番バス
私は,例によって,小田原駅で“駆けっこ”をして,東海道本線の電車から小田急電鉄の新宿行電車に,やっとの思いで乗り換えた.何時もながら,小田原駅の駆けっこで,肝心の塔ノ岳往復より多くのエネルギーを費やしたような気になる.
平日なのに,今日の1番バスは,立ち席が出るほど,沢山の登山客で混雑している.たまたま,私が座った席の窓側に,山旅スクール5期の同窓生,M浦さんが座っている.久々の再会に,大倉までの間,昔話の花を咲かせる.
山旅スクールに通っていた時代,三つ峠の山の中で,M浦さん他数名と一緒に,ちょっとした不注意で,グループ本体から,はぐれてしまった失敗談がある.雑談をしながら,あの時のことを懐かしく思い出す.
■ご常連さんに混じって
1番バスには,ご常連,韋駄天のTさん,2000回登頂直前のM馬さん,カメラマンのMさんなど多士済々のご常連が乗っている.バスが大倉に到着すると,Tさん,Mさんは直ぐに塔ノ岳に向けて歩き出す.数分遅れて,カメラマンのMさんも出発する.私はストレッチを一通り済ませないと気分が収まらない.それで,Mさんより5分ほど遅れて,山旅スクールのM浦さんと一緒に歩き出す.ほんの数分一緒に歩いた後,M浦さんとお別れして,別々に歩き出す.
今日は朝から随分と蒸し暑い.歩き始めて直ぐに,暑さのためか,自分の体調が余り良くないなと思う.私は,汗が流れないように,ユックリ,ユックリ登ろうと心に決める.ところが,私の心の中の何処かに,
「・・・そんなこと言わずに,できるだけ速く登ろうよ」
と言い続けている邪悪な自分が居る.私は,自分の中にしつこく巣くっている“こいつ”との対決が今日のテーマだと悟る.
7時42分に見晴茶屋を通過する.この辺りまでは,登山道の傾斜もそれほどきつくないので,慎重に登ると言いながらも,結構良いピッチで登ってきた.でも,ここが今日最初の急な登り坂である.坂を見上げると,何人かの登山者が数珠繋ぎになって登っている.その中にカメラマンのMさんも混じっている.Mさんは,カメラ機材が入っているのか,見るからに重そうなリュックを背負っている.
途中で,Mさんに追いついてしまう.少々,気が引けるが,Mさんにお断りして,追い越させて頂く.
「・・・花立山荘手前の坂はユックリ登ります.それまで先に行かせて貰います・・」
<平日なのに沢山の登山客>
■駒止茶屋
一本松を過ぎる頃,登山道の両側の林から,蝉の鳴き声が聞こえてくる.ジャージャーと耳障りな啼き声である.あるいは蝉ではないかもしれない.何れにしても暑い夏を連想させる気障りな啼き声である.4月の初めには残雪があったのに,あれからたった2ヶ月の間に夏のような天候になってしまった.
やがて,駒止茶屋手前の急階段に到着する.私は,重ねて無理をしないで,焦らずに登ろうと自分に言い聞かせる.ユックリ登っているが,それでも,結構,苦しい.8時10分,漸く,駒止茶屋に到着する.
大倉から駒止茶屋までの今日の所要時間は1時間02分.ゆっくり歩いたにしては,1時間を,たった2分しかオーバーしていない.今日は,山頂までの時間は2時間25分位かなと予想する.
■堀山ノ家
やがて堀山の尾根道に入る.富士山の定点写真を撮っている場所に到着する.多少春霞が掛かっているが,今日も富士山が良く見えている.若葉が一層育っているために木の枝がますます下に下がっている.こんな一寸した変化も,写真を撮り続けていると分かるから,とても面白い.
8時25分,堀山ノ家に到着する.顔なじみのご夫婦がベンチで休憩を取っている.
「おや,暫く・・・どこか他の山へ浮気していたんでしょう・・・」
と私に話しかける.私は,平素,登山の途中で休憩を取ったことはないが,何となくこのご夫婦の脇に座って,雑談を始める.ご夫婦から海外の山での経験話を聞かれる.
「まあ・・場所によっては,食べ物が粗末なことと,トイレが汚いことを覚悟しないと,・・・」
など,乏しい体験を披露する.
そうこうしている内に,カメラマンのMさんも,堀山ノ家に到着.私達と同じベンチに座って,休憩を取る.
<4月27日> ※写真右の木の枯れ枝が空高く延びている
↓
<5月18日> ※写真右の木の枝の位置に注意.
↓
<5月26日> ※葉が増えたためか,枝が重くなって上の写真よりさらに下がっている.重たそう.
■萱場平
8時30分,ユックリ登るというご夫婦とお別れして,再び登り始める.私のすぐ後,10メートルほど離れた所を,Mさんが付いてくる.
堀山ノ家辺りから暑さは幾分和らいだようである.しかし,私は汗が流れない程度の速度を頑なに守り続ける.それでも,途中で何人かの登山客を追い越す.
8時46分,萱場平に到着する.例によって,定点観測の写真を取る.私の前を歩いていた青年が,倒れ込むように脇の茂みに座り込む.
<今日の萱場平> ※草が青くなった.
■花立山荘
兎に角,暑い.ちょっとピッチを上げただけで,汗が吹き出そうになる.私は自重しながらユックリと登り続ける.後にいるMさんが次第に近付いてくる.
やがて,花立山荘手前の急階段に到着する.この階段を登りきるのに,通常6~7分掛かる.私は自分に,
「ほんの6~7分の辛抱だよ・・・花立山荘まで行けば後は楽になるぞ・・」
と言い聞かせながら,ヨッコラ,ヨッコラと登り続ける.頭を上げて前を見ると,長い階段にウンザリするので,極力,足許だけを見て,
「もう少し・・・,もう少し・・・」を呪文のように唱える.
花立山荘手前20メートルほどの所で,遂にMさんに追い抜かれる.
<花立場付近から鍋割山稜を望む>
■塔ノ岳山頂
9時06分,花立山荘を通過する.堀山ノ家からの所要時間は36分.苦しかった割には案外,まともな所要時間である.
私を追い抜いたMさんは,富士山の写真でも撮るのか,花立山荘で一休み.その間に,また,私が先になる.
直ぐに露岩帯に入る.この露岩帯を登り詰めると花立場である.春霞が掛かっているものの富士山が良く見えている.今が満開のツツジが稜線沿いに何本も咲いている.私は,ここで少々時間を取って,ツツジと山の写真を数枚撮る.
花立場で写真を撮っていると,麓の山林からツツドリの啼き声が聞こえてくる.
9時19分,金冷シを通過する.今度はホトトギスが啼いている.この夏,大倉尾根でホトトギスの鳴き声を聞くのは,今日が初めてのような気がする.
前回登ったときは,若葉がとても美しいなと思っていたが,たった1週間の間に,山肌の緑が随分と濃くなっている.もう盛夏も間近である.いささか寂しいような呆気ないような気分になる.
金冷シを過ぎて最初の長い登り坂で,山頂を折り返した韋駄天のTさんとすれ違う.
「今日は暑いですね.山頂の気温+17℃でしたよ・・・」
と言う.
ノソノソと登っていると,いつの間にか,私の直ぐ後に,Mさんが近付いている.
私は,山頂近くの板階段で,先頭をMさんに譲る.そして,9時33分,Mさんと一緒に塔ノ岳山頂に到着する.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は,2時間25分.この所,毎回,2時間16~17分位のラップで登っていたので,記録的には不本意だが,途中5分道草しているので,まあ,まあ,こんなものだと自分で納得する.
<塔ノ岳山頂からの富士山>
■尊仏山荘
山頂で富士山や大山の写真を撮ってから,Mさんと一緒に尊仏山荘に入る.同じバスに乗っていたM馬さんが座っている.さすがに速い.
今日の小屋番はオーナーのHさん.Oさんが居ないので営業部長とのご対面は諦める.
山荘の寒暖計によると,9時40分現在の山頂の気温は+17.0℃.やはり暑い.
小屋番のHさんが,私に話しかける.
「昨日(25日(月)),お仲間が来ましたよ.『今日,FHさんは来ていないですか』と言っていましたよ・・・」
「へぇ~・・・誰だろう?」
「痩せた方で,看護士さんですよ・・・」
「ああ・・分かった! 山旅スクール5期のノシイカさんですよ・・」
「じゃあ~・・・ガイドの西○君の教え子ですね」
「そうです.私もノシイカさんとモンブラン,登りましたよ.今度,6月にモ○。コの○○山(標高4200m)へ一緒に登る予定です・・・」
そうこうしている内に,M馬さんが山荘を出発する.私の肩を叩きながら言う.
「先にユックリ下っているよ・・・」
「スミマセン.私,一寸,丹沢山の方へ行って,シロヤシオを見てから下ります・・」
<新装なった尊仏山荘>
■見頃を過ぎたシロヤシオ
Mさんによると,2日前の強風で,シロヤシオの花が大分吹き飛ばされてしまったらしい.さらに残った花も傷が付いているようである.ヤッパリ,小屋番のOさんが言っていた「今年は10日早い」は現実になってしまった.
10時丁度に尊仏山荘を出発.丹沢山へ向かう急な階段を5分ほどで,シロヤシオが自生している場所に到着する.
先週に比較すると,シロヤシオの花は随分少なくなっている,寂しい.とはいえ,丹沢の山並みを背景とするシロヤシオの風景は素晴らしい.ここで,暫く道草をしながら,写真三昧.
■元気な山旅スクール5期の方々
再び往路を辿って,10時15分に,再び尊仏山荘に戻る.再び山荘で雑談後,10時19分,下山開始.
何だか疲れた感じがするので,デレデレ,ブラブラで下り続ける.
10時47分に花立山荘を通過する.長い階段を下りつづける.次から次へ登ってくる登山客とすれ違う.長い階段を半分ほど下ったときに,山旅スクール5期と6期のI川さん,Y川さんの2人とすれ違う.“今日はヘトヘト”という顔に書いてある.でも,必ず山頂まで行くぞという気迫を感じる.
岩稜地帯に入る.下から大きな荷物を背負ったチャンピョンが登っている.
「・・今日は写真パネルを担いでいるよ・・・」
と言いながら背中の長い荷物を目で指さす.
11時37分,堀山を通過する.途中で2人連れの中年女性とすれ違う.その内のお一人が,いきなり,
「FHさんでしょう・・・?」
と私に話しかける.私は,この方の顔に見覚えがあるような,ないような・・・
誰だか咄嗟には思い出せない.
「山旅スクール5期のN沢です・・・暫く振りです」
それにしても,今日は立て続けに何人もの山旅スクール5期生とバッタリ・・・凄いことである.
■今年,初めて虫に刺された
12時17分,雑事場ノ平を通過する.
少々蒸し暑いので,ズボンの膝から下を出したまま歩いている.ここに油断があった.薄暗いトラバース道を下っているときに,アブのような虫に右足の臑を「チクリ」と刺された(その後,翌日になっても,痒くて仕方がない).折角,虫除けを持っていたのに使わなかったのが災いした.
12時48分,大倉に無事到着する.正直な所,今日は疲れた.
[ラップタイム]
8:08 大倉歩き出し
7:27 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:10 駒止茶屋
8:25 堀山ノ家(8:30まで雑談)
9:06 花立山荘
9:19 金冷シ
9:23 塔ノ岳山頂 着
=============================================
10:19 塔ノ岳山頂 発(+17.0℃)
10:32 金冷シ
10:47 花立山荘
11:28 堀山ノ家
11:47 駒止茶屋
12:15 見晴茶屋
12:30 観音茶屋
12:48 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:33
(所要時間) 2時間25分(2.42h)
登攀速度 1201m/2.42h=496.3m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:19
大倉 着 12:48
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
下降所要時間 1201m/2.47h=486.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
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