中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルートバーン(20):ルートバーントレッキング第2日目(2)

2011年04月19日 07時29分00秒 | ニュージーランド;ルートバーン

                            <マッケンジー湖>

       ルートバーン(20):ルートバーントレッキング第2日目(2)
               (湘南カラビナ隊)
         2002年1月25日(金)~2月5日(日)

第6日目:2005年2月1日(火)
(つづき)

20 エーデルワイズ

■2日目の行程
 ルートバーン2日目は,まずマッケンジー湖に立ち寄る.昨日,フクロウと私が先に飛び出して見てきた湖である.
 その後,ジグザグの登り坂に取りかかる.そして山腹の水平道,ポリフォードフェースを通過して,ハリス峠(Harris Saddle1277メートル)に至る予定である.
 ここまでの推定所要時間が約3時間.ホリフォード(Hollyford)谷を見下ろしながら,対岸にはダーラン山脈の山容が望めるはずである.
 ハリス峠で昼食する.
 その後,オプションツアーで,コニカルヒル(1515メートル)を往復する.コニカルヒルからは,タスマン海が見渡せるという.
 再び一気に坂を下り,湿原帯を経由して,ルートバーンフォールス小屋に到着する予定である.
 歩程の水平距離は10.2キロメートル,推定所要時間は約7時間.高度差は上り約500メートル,下り約400メートルである.

<夢を見ているように綺麗な草原を行く>

■鏡のようなマッケンジー湖
  9時28分,私たちはレークマッケンジー小屋を出発する.
 昨日,フクロウと私の2人が往復した桃源郷のような平原をゆっくりと進む.透明で眩しい朝の光が静かに降り注いでいる.
 朝露を受けた草花が光っている.
 私はどこかで教わったこのうろ覚えのブラウニングの詩「時は春,日は朝(あした),朝(あした)は7時・・・」を,それこそ数10年ぶりに思い出した(山内,矢野(編),1962,p.77)(注1).
 雲雀は見当たらないので,この詩とは少し情景が違う.それに私はブラウニングほど信心深くないが,こんな詩を想起させるほど素晴らしいところである.
 私は,また,ドイツ語の授業の最初に教わったゲーテの詩「山の頂に,憩いあり.木々のこずえに,そよ風の気配なし.森に歌う小鳥もなし.まてよかし,やがて,なれもまた憩わん」という詩を,不意に思い出した(高橋,1951,p.104)(注2).
 美しい平原を歩きながら,私は遙か昔の青春時代に戻ったような錯覚に陥る.
 この辺りの情景は,正にこれらの詩の通りである.
 15分ほど歩いて,私たちはマッケンジー湖の畔に到着する.
 湖の対岸には,左からオーシャンピーク,Fノブ,エミリー峠,エミリーピークが,湖を取り囲むように聳えている.私は大急ぎで湖のスケッチをする.
 水面は鏡のように静まりかえっている.対岸の山々が逆さに映っている.この見事な情景をデジカメで撮る.


■マッケンジーハット
 9時40分,私たちは,鏡のように美しいマッケンジー湖を出発して,広葉樹のトンネルを抜け,9時41分,一旦,マッケンジーハットへ戻る.
 このハットはフクロウと私が,昨日,迷い込んだところである.
 小休止の後,9時46分,ハットを出発する.
 人なつこいブッシュロビンが,私たちの近くを忙しく飛び回っている.チョンと枝にとまって,まるい頭をくるくる回す.大きな目がとても可愛い.
 右手には,ダーラン山脈の山々が朝日を浴びて白く輝いている.左から,マウントクリスチーナ,マウントリトル,マウントノーネームの山々である.


<マッケンジーハット>

■日当たりが心地よいトラバース道
 すぐに森林の中を行くジグザグ道になる.かなりの上り勾配になる.私たちの先を行く東京2人組の歩き方が極端に遅い.付いていくのが焦れったい.彼女らは両手のストックを振り回すので,後ろに付いたら危なくて仕方がない.
 10時5分,衣替えのために小休止する.私は特段に汗もかいていないので,衣替えをしないまま,先頭が衣替えをするのを漫然と待っている.焦れったい.私は,たまらず,
 「お先に失礼します」
と声を掛けて,すぐに出発する.
 森林と日当たりの良いトラバース道が続く.適度の上り勾配が続く.

<素晴らしいトラバース道>


■大きな一枚岩
 10時15分,大きな一枚岩の下を通過する.私は先頭に飛び出ていたので,前後には人影がない.10時18分,樹林が切れて,見晴らしの良いところに到着する.標高1045メートルである.
 私はここからの展望をデジカメに収める.
 素晴らしい展望に,暫くの間,見入っている.

<一枚岩の脇を通過する>



■眼下にマッケンジー湖が見える
 まもなく,フクロウが現れる.彼も遅い東京組に愛想をつかして,彼女らを追い越してきた.
 眼下にマッケンジー湖が見える.先ほど立ち寄ったマッケンジーハットも見えている. 

<標高1045メートル地点からマッケンジーハット方面を見下ろす>

■エーデルワイズ
 10時45分,ポッターズクリーク(Potters Creek)を渡る.ここで給水する.手元の高度計では,標高1,160メートルを指している.
 いつの間にか,仲間8名全員が,東京組2人を追い越して,団子のように連なってついてくる.かなり遅れているのか,追い越された東京組の姿は,全く見えない.
 給水を終えるとすぐに歩き出す.進行方向右側から左側に流れ落ちている斜面をトラバースしながら先へ進む.時折,涼しいそよ風が吹き渡る.そよ風は,まさに値千金である.


■エーデルワイズが咲き誇る
 11時5分,路傍に咲き誇るサウスアイランドエーデルワイズ(South Island Edelweiss)の写真を撮る.丸みを帯びた白い花びらが10枚ほど,黄色い花弁を取り囲むようにして咲いている.
 このエーデルワイズは,スイスのエーデルワイズとは全く異なる種類の花だという(Ryall R., 2002, p.66).
 ライアル(Ryall)によれば,ニュージーランドには2種類のエーデルワイズがあり,南島と北島では種類が違うのだそうである.

<白い花が美しい>

                        (つづく)

(注)
1.上田敏(訳)
 「時は春,
 日は朝(あした),
 朝は7時,
 片岡に露みちて,
 揚雲雀なのりいで,
 蝸牛(かたつむり)枝に這い,
 神,そらに知ろしめす.
 すべて世は事も無し.」
 原文:{Browning,R.,Pippa’s Song:
  “The year’s at the spring
   And day’s at the morn;
   Morning’s at seven;
  The hill-side’s dew-pearled;
  The lark’s on the wing;
  The snail’s on the thorn;
  God’s in his heaven—
  All’s right with the world!”
2,原文:
  Űber allen Gipfeln Ist Ruh’,
  In allen Wipfeln
  Spűrest du Käum einen Hauch;
  Die Vőgelein shweigen in Walde.
  Warte nur! Balde
  Ruhest du auch.

                                     (つづく)
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[編集後記]

2011年4月18日(月)

 
朝から冷たい雨が降っている.気候が半月ほど後戻りしたようである.ここ2日間の間,土曜日は塔ノ岳往復,日曜日は山仲間と一緒に,終日,鎌倉をブラブラ.年寄りの私にしては,まあ,まあ,良く歩いた方だなと思う.
 今日は雨なので,余り遠出はしないで,せいぜい,近場の鎌倉中央公園を散策するぐらいで,終日,ほぼ家に籠もって過ごすことにする.
 それでも,時間が経つのは早い.部屋の掃除や,パソコンに着信しているメールを眺めている内に,瞬く間にお昼になる.3日振りに自宅で昼食を摂る.
 午後から,予定通り鎌倉中央公園を一回りしてくる.つい先日まで綺麗に咲いていたサクラの花ももう終わり.ところどころに残った花が見え隠れしているだけである.季節の移り変わりが実に速いなと実感する.
 もう今は4月中旬,もうすぐ新緑の5月を迎える.まさに光陰矢の如しである.
 今日の新聞報道によると,今年の鎌倉の花火大会は東日本大震災の影響で,中止になるとのことである.残念!
 夕方,パソコンを開く.
 5月中旬に,某散策クラブの鎌倉案内をすることになっている.今回は大船駅から,笛田,鎌倉山方面の新緑を探索する予定である.同じ鎌倉でも観光の名所としては知られていないところを選んで歩くコースなので,企画してから果たして皆さんが参加してくれるかどうか心配していた.ところが蓋を開けてみると,まだ1ヶ月も先のイベントにもかかわらず,すでに9名の参加希望者が居られる.有り難いことである.
 参加者の反応があると,私も元気が出て来る.
 「さぁ~てっ・・と! では暇を見てコースの下見をしなければ・・・」
 明後日の水曜日は,天気が良ければ塔ノ岳を往復しようかと思っている.そうなると,下見開始は明日か? でも,明日は天気が悪そう.では,木曜日?
 私は,時ならぬ時間に,妙に張り切り出す.
 「バカでお調子者だよ・・お前さんは・・」
と,私の心の中に住むもう一人の私が嘲笑する.
                          (愚痴終わり)


 



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