中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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涼しいのに消耗した塔ノ岳(今年39回目)

2008年09月06日 11時10分41秒 | 丹沢の山旅
                <僅かな時間,富士山が見えた:花立場からの眺望>

        涼しいのに消耗した丹沢塔ノ岳(今年39回目)
               (単独山行)
            2008年9月5日(金)

■大分日が短くなった

 4時頃目が覚める.
 外はまだ真っ暗である.ちょっとの間に,随分と日が短くなったのを実感する.
 何時も塔ノ岳に登るときは,5時10分に家を出るが,8月頃までは,5時にはもうすっかり明るくなっていた.でも,今日は,少々曇っているとはいえ,まだ薄暗さが残っている.
 急いで卵掛けご飯をかき込んで,家を出る.
 今回も節約コースの小田急フリーキップを使って渋沢駅に出る.そして,定番の2番バスに乗車する.今日の天気予報はそれほど悪くないのに,バスにはほんの数名の乗客しか乗っていない.その中に,ご常連のローギヤー氏が居られる.

■大倉を歩き出す
 軽くストレッチをしてから,7時34分に大倉から歩き出す.私より,2分ほど前に,ローギヤー氏は歩き始めている.ご常連と思われる大柄の男性が私の後に続く.
 勾配の緩い所では,比較的速く歩ける私は,登山口付近でローギャー氏に追いつく.
 「・・・済みません,とりあえず先に行かせて貰います・・」
とローギャー氏に挨拶する.
 「どうぞ,どうぞ,私は定速で登ります・・・」
と快く道を譲って貰う.
 登山口から杉林の中に入ると,路面はベタベタに濡れている.どうやら大雨が降った後らしくて,杉林の斜面から,多量の雨水が浸み出しているようだ.手許のプロトレックの温度計を見ると,歩き出し地点の気温は+25.6℃(勿論,身体から離して計測している).一時期よりは大分歩きやすくなったとはいえ,今日は曇っているけれども,結構,湿度もあって,体感的にはかなり蒸し暑く感じる.

              <俊足のローギャー氏:登山口付近>

■ボンヤリ考え事をしながら・・・
 実は,つい先日,私の故郷,信州に住む義兄が急逝した.通夜に参加するために2日ほど帰郷して,一昨日帰ってきたばかりである.
 私は,杉林の中を歩きながら,ついつい人の命のはかなさを考えてしまう・・・
 余談になるが,私は大学生時代にガモフの『1,2,3,無限大』という本を読んで,大変な感銘を受けた.その後も,ロバートジャストロウの『太陽が死ぬ日まで』他2冊,ホーキングの『宇宙を語る』他数冊など,シャウプレイの『宇宙と生命』・・・等々,絶え間なく,この種の本を趣味として読んできた.もっと遡れば,小学校(当時は国民学校と言っていた)の頃,父親からかって貰った山本一清著(昭和16年)『天体と宇宙』が,今でも愛読書のひとつになっている.
 ・・・・およそ200億年前に巨大なエネルギーの塊(コスミックエッグ)が炸裂した.そしてその数分後には最初の物質粒子が現れた・・・宇宙創生の瞬間である.この瞬間から今日までの時間,宇宙年齢を1日24時間に換算すると,深夜零時に宇宙が誕生する.およそ1時間後に銀河,恒星,惑星が生まれ始める.そして,18時頃,太陽,地球,月が現れる.23時30分頃,魚が水から陸に上がる・・・そして,24時5秒前に人類が登場する(ジャストロウ,1982,『太陽が死ぬ日まで』pp.16-17).
 ・・・・でも,それならば,コスミックエッグができる前はどんな状態だったのか? これが不思議だが,それはともかく,今,私の身体を構成している物質は,明らかに,このコスミックエッグが爆発したビッグバンの結果造られた物質である.ということは,私自身を含めて,人,生き物全てがビッグバンの結果なのだという単純なことを再認識する.
 義兄の亡骸は,通夜の翌日,荼毘に付された.人体を構成するのは炭素,酸素など10大物質と,その他諸々.これが熱い炎によって,大半が炭酸ガスと水に変わって,宇宙に戻される.不吉な話だが,やがては現世の人間は,炭酸ガスや水に置換される.そして,新たな生物の構成要素になったり,新しい星の材料になったりで,繰り返して使われる・・・
 ・・・では,一体,現在の私とは何なのだろうか.ついこの間,人間ドッグに入った.その結果は未だ分からないが,自分の意思には無関係に,中性脂肪や血糖値が,体の中で勝手に決められている.ということは,自分の意思ではどうにもならない自動機械のような身体を与えられ,その上に意思や欲望が乗っていることになる・・・

■何となく足取りが重い
 閑話休題.
 こんなことを,ボンヤリと考えながら,自分の意思とは無関係に,身体が勝手に登山を続けている.いわばバックグラウンドジョブで,山を登り続けている・・・この状態に,「ハッ」と気が付いたとき,前方から,ご常連のYさんが,何時ものように2本ストックを上手に使いながら,もの凄い勢いで下山してくる.
 丁度,駒止茶屋の手前である.慌てて時計を見る.もう8時39分になっている.大倉を歩き出してから,すでに1時間05分を経過している.逆に言えば,ほぼ無意識に歩き続けると,駒止茶屋までの所要時間は,1時間05分程度ということになる.
 今日は何となく頑張って歩こうという気が失せている.それに,前回,塔ノ岳に登ったのが8月27日である.今日までの間,10日近くのブランクがある.ブランクが長かったためか,何となく足取りが重たい.

                  <ご常連のYさんが下る>

■あいかわらず富士山は見えない
 堀山の尾根道に出る.雲間から太陽が顔を出し始める.
 定点観測の場所で,富士山の写真を撮る.富士山全体に白い雲がまとわりついていて,富士山は殆ど見えない.
 8時56分,堀山ノ家を通過する.私の前後には,全く人が居ない.完全な一人旅になる.
 急坂を登り続ける.
 戸沢分岐手前の細い階段道が,徐々に崩落している.最近,この崩落箇所の脇に土嚢を積み上げて,新しい通路ができているが,不注意にそこを通ると頭を木にぶつけてしまう.私も2~3回頭をぶつけてから,やっと注意して歩くようになったが,今回,ここを通ると,何時の間にか,この木が伐採されている.これで頭をぶつける心配はなくなった.

            <雲に隠れた塔ノ岳:堀山の尾根から望む>

■萱場平
 9時10分,萱場平を通過する.恒例により萱場平の写真を撮る.今日は誰も居ない.それに,案外,土が乾いている.霜柱が溶けて泥んこになるのが嘘のようである.萱場平の気温は+23.4℃.大倉より2℃ほど低くなっている.

                      <今日の萱場平>

■ご常連とすれ違う
 今日は,気力がないためか,まだ十分に余力があるにもかかわらず,あまりピッチを上げて歩こうという気分にならない.そのためか,やや投げやりな歩き方で登り続ける.
 花立山荘手前の長い階段に差し掛かる場所に大きな岩がある.その岩の所で,ご常連の修行僧とすれ違う.私が2時間10分台で登っているときは,花立山荘直前ですれ違うのだが,その分だけ,今日の私は遅れていることになる.

               <修行僧が下山する:花立山荘手前の階段下>

■ベテランのご常連Kさん
 9時35分,花立山荘に到着する.丁度そのとき,ご常連のKさんとすれ違う.Kさんは,私と同年輩のベテランである.Kさんが私に,
 「やあ,今日は・・」
と声を掛ける.
 「・・・田舎で法事があって,10日ほど,塔ノ岳を休んでいました.暫く振りに歩くと,とてもきついです・・・
 「今日は,2時間02分で,2時間は切れませんでした.この暑い時期はしょうがないですね.1日間を置くと厳しいですね・・毎日登っている方が楽ですよ・・」
 「そうでしたか・・私は,今日は2時間20分台で登れれば良いなと思っています・・」
 「今日の山頂の気温は+18℃で,とても気持ちが良いですよ・・・ところで田舎はどちらですか?」
  ・・・・・・・・・・・・・・
 「まあ,お互いに頑張りましょう・・・」
と励まし合ってお別れする.
 私達が立ち止まって雑談をしている間に,長身の男性に追い抜かれる.
 Kさんとお別れして,上り始めようとすると,ベンチに座っていた男性に話しかけられる.上半身を裸になったままである.
 「・・・随分,厳しいですね・・・ここから山頂まで,まだ大分あるんですか・・・」
と私に聞く.私は,
 「もうここまで登れば,山頂まで僅かですよ・・」
と男性を励ます.

■霧の塔ノ岳山頂
 9時47分,花立場を通過する.天候が回復して,富士山は見えないものの,塔ノ岳,蛭ヶ岳などが,とても良く見えている.馬の背に差し掛かった頃,前方から話し声が聞こえてくる.1番バスのご常連,2人が下山してくる.
 「ご苦労様です・・・」
と挨拶を交わす.
 9時51分に金冷シノ平を通過する.相変わらず私の前後には誰も居ない.何となく気落ちして,ダラダラと登って,10時06分に塔ノ岳山頂に到着する.所要時間は2時間32分と最悪.
 雲が多くて,余り眺望は利かないが,涼しい風が吹いていて心地よい.花立山荘付近で私を追い越した男性が,ベンチに座って休んでいる.

                  <塔ノ岳山頂からの眺望>

■尊仏山荘
 暫く山頂で涼んでから,尊仏山荘に入る.先客は誰も居ない.
 「・・今日は・・」
と声を掛けると,オーナーのHさんが,ノッソリと出てくる.恒例のお茶を所望する.
 実は前回の山行のときに,途中でバンダナを1枚落としてしまった.その後,Kiyomasさんのブログで,私がバンダナを尊仏山荘に置き忘れたことが分かった.Hさんに,Kiyomasさんから教えて頂いたことをお話しする.無事,バンダナが手許に帰ってきた. バンダナが切っ掛けになって,私が田舎が小諸で,浅間山の火山館や,高峰高原ホテルの経営者の名前が,仙台の尊仏山荘オーナーの山岸さんと同名なことなど,四方山話を続ける.暫くして,同じバスに乗り合わせていた長身のご常連男性が到着する.この男性から調子電鉄の話題が提供される.
 外を見ると営業部長がノソノソと歩いている.暫くして,ピョンと窓を乗り越えて室内に入ってくるが,そのまま,しおしおとどこかへ消えてしまう.
 山頂付近の霧がますます深くなり始める.

■突然の腹痛
 10時50分に塔ノ岳山頂から下山を開始する.雨に会わないように,また,12時52分のバスに間に合うように注意しながら下り続ける.
 11時10分,花立山荘を通過する.その辺りから,急にお腹が痛くなり出す.卵掛けご飯がまずかったかなと思いながら,我慢して下り続ける.
 11時38分に堀山ノ家を通過する.腹の調子が悪いので,早く下山しようと思う.堀山の尾根道を急速度で通過する.11時52分に駒止茶屋,12時13分に見晴茶屋を通過する.
 この辺りから,堪らなくトイレに行きたくなる.しかし,登山道の周辺は見通しが良くて急斜面である.雉を撃つにしても適当な場所がない.
 12時35分,丹沢ベースに到着する.ここから数分枝道に入り込んで,漸くの思いで,雉討ちを済ませる.その間,絶え間なく蚊の大群の襲来に悩まされる.一物に土を掛けて,大急ぎで登山道に戻る.
 12時41分,予定通り大倉バス停に到着する.
 靴を洗うために,水道の側へ行く.
 私より少し前に下ってきたローギャー氏が,丁度着替えをしているところである.
 「・・やあ,無事戻りましたね・・・」
とお互いに挨拶する.

[ラップタイム]

 7:34  大倉歩き出し
 7:38  登山口
 7:47  丹沢ベース
 7:55  観音茶屋
 7:59  分岐
 8:09  雑事場ノ平
 8:11  見晴茶屋
 8:25  一本松
 8:39  駒止茶屋
 8:48  堀山
 8:56  堀山ノ家
 9:14  戸沢分岐
 9:16  萱場平
 9:35  花立山荘
 9:51  金冷シ
10:06  塔ノ岳山頂 着
=====================
10:51  塔ノ岳山頂 発(+24.3℃)
11:00  金冷シ
11:10  花立山荘
11:24  萱場平
11:26  戸沢分岐
11:38  堀山ノ家
11:45  堀山
11:52  駒止茶屋
12:03  一本松
12:13  見晴茶屋
12:15  雑事場ノ平
12:20  分岐
12:23  観音茶屋
12:28  丹沢ベース
12:37  登山口
12:41  大倉 着

[山行記録]

■登攀・下降高度
  1201m
■水平移動距離   7.0km
■登攀所要時間
  大倉発      7:34
  塔ノ岳山頂着  10:06
  (所要時間)  2時間32分(2.53h)
 登攀速度
   1,201m/2.53h=474.7m/h
■下降所要時間
  塔ノ岳山頂発  10:51
  大倉着     12:41
  (所要時間)  2時間10分(2.17)
 下降速度
   1,201m/2.17h=553.5m/h
                            (おわり)
前回の塔ノ岳の記事
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