中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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樹氷・シカ・ネコに癒やされる丹沢;塔ノ岳(今年9回目)

2013年02月08日 03時06分45秒 | 丹沢の山旅

                                  <馬の背付近の樹氷>

    樹氷・シカ・ネコに癒やされる丹沢;塔ノ岳(今年9回目)
        (登り単独・下りY内さんに同行)
       2013年2月7日(木) 曇・霧の中

■ネコが出迎える大倉
 昨日(2月7日)は,関東地方に今年2番目の大雪が降った.もっとも私が住んでいる鎌倉辺りは雨だったが・・・
 この所,原則として毎週水曜日,土曜日に塔ノ岳に登るようにしている私でも,雪ならいざ知らず,酔狂にも雨の中わざわざ出掛ける気にはならない.そんなわけで,予定を1日遅らせて,木曜日の今日,塔ノ岳に出掛けることにする.
 毎度,同じことばかり書いているが,平日出掛けるとなると,小田原駅の“階段2段跳び乗換”という関所を無事クリアしなければならない.これが成功しない内は,穏やかな気分になれないのが毎度の悩みでもある.
 辺りが要約明るくなる頃,無事,渋沢駅に到着,予定通り大倉行1番バスに乗車する.バスは座席がパラパラと埋まるほどの混雑である.乗り合わせた顔見知りのご常連は,超韋駄天のS藤さん,韋駄天のTさん,Y内さん,T田女史,ホッシー女史.その他,名前は分からないがよく見掛ける方2名である.
 バスは6時59分に大倉に到着する.超韋駄天のS藤さんや韋駄天のTさんは,バスが到着すると,ほぼ同時に塔ノ岳山頂に向けて歩き出す.
 私はとにかく待合室に入る.暖房が利いている待合室の片隅に,例の人懐こいネコが気持ちよさそうに座っている.なかなかの器量よしである.
 たまたま居合わせたY内さんの脇で,私は身支度を調え,リュックの中を整理始めるが,例によってモタモタしてしまう.
 「このネコ,尊仏山荘のネコの子供かもしれませんね・・・」
 「もしそうならロマンがあって良いですね」
なとど,朝からネコ談義である.
 その内に,ネコが外へ出ようとする.すると入口に近くに居た男性が,ネコを蹴飛ばすようにして,外へ追いやる.ネコ好きの私は,自分がけられたような気分になる.
 「きっと,ネコ嫌いなんでしょうね・・・」
とY内さんが言う.
 7時06分,たまたま居合わせたY内さんと一緒に大倉から歩き出す.

<大倉のネコ>

■路面が濡れている
 昨日の雨で路面が濡れている.登山道に入ると路面の石がヌルヌルとしていて滑りやすい.
 “こんな状態だと,今日は塔ノ岳山頂まで3時間ぐらい掛かるかな・・”
と自分の登頂所要時間を推測する.俊足のY内さんについて山頂まで登れるわけはないので,どこか適当なところで,先に行ってもらおうと思いながら,暫くの間,ご一緒する.
 天気予報では,今日は晴の筈だが,上空には雲が垂れ込めている.私にはほんの少し速いかなと思われる速度で歩き続ける.
 7時30分,観音茶屋を通過する.登山道は一層ジメジメしはじめる.
 雑事場ノ平の手前で,T田さんとホッシーさんに追い付く.歩く速度が少し速いかなと思っていた私は,Y内さんに,
 「後からユックリ行きます・・・」
と挨拶.ここからは,暫くの間,T田さんとホッシーさんにご一緒する.
 7時47分,見晴山荘に到着する.
 冬の間,私は見晴山荘前から,相模湾の光る海を見下ろすのを楽しみにしている.ところが,写真を撮ろうとすると,晴れていればキラキラと光る太陽が真正面に来てしまうし,曇っていれば海が光らないので,写真もなかなか上手くいかない.今日は雲が多いので,写真は撮れるが,海は光っていない,
 “なかなかうまくいかないな・・・”
とブツブツ言いながら,儀式としての写真を撮る.


<見晴山荘からの眺望>

■見晴階段
 見晴階段に差し掛かる.
 見上げると,先ほどまでご一緒していたT内さんの後ろ姿が見えている.その先にも1人居るようである.今日の見晴階段は冬枯れの寂しい雰囲気を醸し出している.
 ともすれば,オーバーペースで歩きたくなる気持ちを抑えながら,ユックリ,ユックリと登る.


<見晴階段>

■シカの群れ
 8時04分,一本松を通過する.
 モミジ坂を登っていると,数頭のシカの群れに遭遇する.子シカが何頭かいる.皆,無心に草を食(は)んでいる.とにかく可愛い.
 私は,暫くの間,立ち止まって,写真を撮りまくる.
 登山道の両側にいるシカの群れ全体を写真に収めようとして,登山道を振り返る.すると偶然にも,シカよりも山オバサンの姿が写真に収まってしまう.
 “ま,・・・この写真も面白いな・・・”
と思うので,シカの写真と一緒に残しておくことにしよう.
 
  

<モミジ坂のシカの群れ>

■霧の堀山の尾根道
 8時21分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間15分.随分と遅いが,途中,かなりの時間を費やして,シカの写真を撮っていたので,この所要時間でも納得する.
 駒止階段の残雪は,ごく一部の除いて消えているが,駒止茶屋を通過すると,昨日降った雪が所々に残っている.
 堀山の尾根道に入る.気温が高いのか凍結していた泥んこ道が,ところどころで溶け出している.強い西風が進行方向左手から吹き上げてくる.そのため,体感温度は随分と低く感じる.
 面白いことに,冷たい風が吹き上げてくる側は霧が掛かっていないので見通しが利くが,尾根の反対側は濃い霧がかかっていて,見通しは全く利かない.


<尾根の向かって右側だけに霧が湧いている>

■樹氷が見え出す
 晴れていれば富士山が良く見える場所を通過する.今日も富士山は雲の中.
 8時31分,堀山を通過する.周囲は樹氷に覆われている.こんなに標高が低いところが樹氷で覆われることは滅多にないので,辺りの風景を沢山の写真に収める.

<堀山の尾根付近の樹氷>

■萱場平
 8時41分,堀山の家を通過する.ベンチには昨日の雪が降り積もったままになっている.
 気がつくと一人旅になっている.なるべく疲労しないように,汗をかかないように注意しながら登り続けて,9時01分に萱場平を通過する.木道には残雪がうっすらと積もっている.辺りには全く人気がない.
 前方を見ると,見えるのは分厚い霧だけ.如何にも寒々として風景である.

<萱場平>

■雪の後7分坂(花立階段)
 萱場平を過ぎて道幅の広い階段道に差し掛かる.階段には凍結した根雪が残っていて,油断をすると滑りそうである.でもアイゼンを装着するほどでもないので,そのままユックリノンビリペースで登り続ける.
 霧で姿は見えないが,後ろの方から,M田さんとホッシーさんの話し声が,小鳥の囀りのように聞こえてくる.
 やがて後7分坂に到着する.ここは見晴らしの良いところだが,今日は見晴はゼロ.
 後7分坂は新雪に覆われている.砂利や礫が新雪の下になっているので,案外歩き易い.すかも,ここまでユックリペースだったので,登る速度を落とさずに,階段を調子よく登る.

<新雪に覆われた後7分坂>

■厳しい表情の花立山荘
 9時23分,ようやく花立山荘に到着する.辺り一面が雪で覆われている.ベンチに人が座った形跡はない.冷たい西風が絶えず吹いている.とにかく寒い.
 もちろん富士山はおろか近場の山も全く見えない.でも,一応,儀式としての写真を撮っておくことにする.
 大倉からの所要時間は2時間17分と振るわないが,やむを得ない.

<雪の花立山荘>

花立山でアイゼン装着
 花立山荘を通過して,花立山に差し掛かるところで,下山してくる超韋駄天のS藤さんとすれ違う.さらにKシゲさんが下ってくる.
 「やあ,やあ,FHさん・・・・」
で握手して挨拶.Kシゲさんの明るい挨拶に,いつもやる気を頂戴している.
 「登りは,まあ,アイゼンなしでも登れるけど,下りはアイゼンした方が良いですよ.でも,登りでも滑るので四つん這いになったところがありますよ・・」
 「そうですか・・私は金冷シで軽アイゼンを付けるつもりでいますが・・・」
 「そう,それが良いですよ・・・」
でお別れする.
 それにしても花立山荘を過ぎてから一段と積雪が多くなる.私は金冷シなどと呑気なことを言っていないで,即座にアイゼンを装着することにする.そして,冷たい西風があたらない窪地でアイゼンを装着する.私がアイゼンを装着している間にM田さんとホッシーさんが私に追い付く.
 何も眺望が利かない雪の斜面を登って,9時40分に花立山を通過する.ここからは本格的な雪山になる.

■素晴らしい樹氷
 馬の背に差し掛かると辺り一面が素晴らしい樹氷に覆われている.これで,ほんの少しでも青空が覗けば文句なしの景色になるのだが,贅沢は言わないことにする.
 もちろん,こんな風景に遭遇できるのなら,もう,ラップタイムなどどうでも良い.気が済むまで樹氷の写真を撮りながら,ユックリペースで登り続ける.

<素晴らしい樹氷;馬の背付近>


<素晴らしい樹氷;馬の背付近>

■金冷シから本格的な冬山
 9時44分,ようやく金冷シを通過する.
 残雪はますます深くなり,階段道は完全に雪に覆われている.軽アイゼンを装着していると,この程度の勾配の道なら,返って雪道の方が歩き易いので,知らず知らずのうちに登攀速度が速くなる.
 塔ノ岳山頂直下,木道から階段道になるところで,下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.
 「登りはアイゼンなしで苦労しました.下りはアイゼンを付けました・・・」
とのこと.
 
<雪に完全に埋まった階段道>                   <韋駄天のTさんが下る>

■凍てつく塔ノ岳山頂
 9時59分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温はマイナス5℃.気温はそれほど低くないが,西から冷たい強風が吹き付けているので,居ても立っても居られないほどの寒さである.
 山頂の道標やポールには粉雪がベッタリとへばり付いている.
 どうやら雪雲の中らしく,視界は全くなく,何とも寒々とした風景である.一刻も早く尊仏山荘に入りたいが,一応,儀式としての写真を撮りまくる.
 大倉からの所要時間は2時間53分.まあ3時間までかからなかっただけ良しとしておこう.
 
<凍てつく道標>                             <寒々としたポール>

■塔ノ岳山頂冬景色
 山頂から尊仏山荘に向かう.辺り一面が新雪で覆われている.
 直ぐ近くに建っている尊仏山荘も濃い霧に覆われて良く見えない.冷たい風がビュウビュウと吹いている.
 山荘入口でもどかしげにアイゼンを脱着し,衣服に付着した雪を払って,山荘に入る.

<塔ノ岳山頂冬景色>

■尊仏山荘入口のエビの尻尾
 山荘入り口のベンチでアイゼンを外す,ベンチの西に面した角には,沢山のエビの尻尾が列になって出来ている.雪を含んだ冷たい風が吹いていた証拠である.
 
<山荘入り口のエビの尻尾>             <寒々とした尊仏山荘>

■ネコが出迎える尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.
 先客は,私と一緒に大倉を歩き出したY内さんと男性客数名.小屋番はW田さん.定番の300円也のお茶を所望する.
 ストーブの前で暖を取っていた華伊達美弥雄さん(ミー君のこと)が,ストーブの前から立ち去ろうとしている.
 「ミーや・・・ちょっと待て・・・!」
私は慌てて呼び止める.そして,ようやく写真を一枚撮る.
 リュックも下ろさずにネコの写真を撮っている間に,M田さんが小屋に到着する.
 「あれっ! ホッシーさん・・・どうしたんですか」
 「その内に来ますよ・・・」
 私はなおもミー君のお相手をする.
 「ミー君よ・・・さっき,大倉でお前の子供らしいネコにあったぞ・・」
とミーに話しかける.
 ミーは素知らぬ顔をして,土間に老いてある水をピシャピシャと飲んで,奥にあるコタツ部屋に言ってしまう.

<尊仏山荘のミー君>

■下山途中シカに群れに会う
 10時33分,尊仏山荘を出発して下山開始.勿論,軽アイゼンを装着している.終始,Y内さんと一緒に下山し続ける.大倉12時52分発のバスに乗車する予定である.十分に時間があるので,急ぐ必要はない.
 山頂付近は冷たい風が吹き荒れている.暴風のヤッケを着ているが,とにかく寒い.でも花立山荘まで下山すれば暖かくなるのが分かっているので,別にオタオタしているわけではない.
 アイゼンを装着していると雪の下山は実に楽で楽しい.無理をせずに,結構,速い速度で下山できるので有り難い.
 山頂直下で,またもや,シカの群れに遭遇する.先ほど山麓で出会ったシカの群れとは違うシカのようである.雪の中のシカは絵になる感じがする.シカは昼を運ぶとか,植物を食べ尽くすとか害獣扱いされているが,この可愛い姿を見ていると,何とかシカと人間が平和に共存できないかなとつくづく思う. 
 暫くの間,立ち止まってシカの写真を撮りまくる.
 
<塔ノ岳山頂付近のシカ>

■凛とした表情の表尾根
 特段に急ぐわけでもなく,また,ユックリするでもなく,ごく自然な速度で下山し続ける.
 花立階段を下りきったところで,アイゼンを脱着する.
 その後も,Y内さんと四方山話をしながら,下山し続ける.
 高度が下がるにつれて気温が上がり,今朝方雪が見えていたところも,今はすっかり雪が消えている.ただ,泥んこ道が融けていて,まるで田のようになっているところもあって,少々歩きにくい.
 堀山の尾根に差し掛かると,進行方向左手に,残雪で厳しい表情の表尾根の山々が見えはじめる.この景色も丹沢の冬の風物詩として欠かせない.
 私は足を止めて数枚の写真を撮る.

<凛とした表尾根の景色>

■無事大倉に下山
 12時41分,予定通り大倉に下山する.バスの発車時間の約10分前である.我ながら時間のコントロールが上手くいったなと自画自賛する.
 ベンチに今朝方あったネコが座っている.私達がリュックを置くと,ネコがすりよってくる.その仕草が可愛いい.
 「お前に癒やされるなあ・・・尊仏山荘でお前のお父ちゃんに会ってきたぞ」
とネコに話しかけながら,写真を撮る.ただし,尊仏山荘のミー君が,このネコのお父さんというのは根拠のない作り話である.でも,もしそうならばロマンチックで楽しい話である.
 水道で靴やスパッツに付いた泥を洗い流す.これでスッキリだ.

<バス停大倉のネコ>

■締めくくりはやっぱりコーヒーだ
 渋沢駅,小田原駅での電車の接続はマアマア.14時23分に大船駅に到着する.
 大船は晴.そよ風が吹いていて,いかにも春らしい感じである.まだ日が高い.このまま家に帰るのは,如何にも勿体ない.
 今日もまた,私は大船駅ルミネ1階のコーヒーショップ「ドトール」に入って,200円也のコーヒーーを賞味する.
 コーヒーを一口ずつ口の中で回して味わいながら,目を瞑って.今,描きかけの水彩画をどのように書き進めるかについて,あれこれと連想する.その内に眠くなってくる.
 ”下手な考え休むに似たり・・・”
 いきなり私の体内に巣喰うもう一人の私が,大声で私に怒鳴る.
 “それもそうだな・・・”
 20分ほどコーヒーを飲んでいた私は,まあ,これで家に帰る気になる.
 大船駅前14時55分発のバスに乗車して,15時少し過ぎに無事帰宅.
 “今日も良かった! 良かった!”

<大船駅ルミネ1階の200円也のコーヒー>

<ラップタイム>

 7:06  大倉歩き出し
 7:30  観音茶屋
 7:47  見晴山荘
 8:21  駒止茶屋
 8:41  堀山の家
 9:23  花立山荘(アイゼン装着)
 9:44  金冷シ
 9:59  塔ノ岳山頂着(-5.0℃)
10:33      〃  発
10:47  金冷シ
10:58  花立山荘(花立階段下でアイゼン脱着)
11:34  堀山の家
11:52  駒止茶屋
12:12  見晴山荘
12:24  観音茶屋
12:41  大倉 着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
   大倉   発       7:06
   塔ノ岳  着       9:59
   (所要時間)  2時間53分(2.88h)
   水平歩行速度   7.0km/2.88=2.43km/h
   登攀速度    1269m/2.88h=440.6m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
   塔ノ岳  発       10:33
   大倉   着       12:41
   (所要時間)  2時間08分(2.13h)
   水平歩行速度     7.0km/2.13h=3.29km/h
   下降速度     1269m/2.13h=595.8m/h
                                (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/24d872626583790adf25cd250692d195
「丹沢の山旅」の次回の記事(大山)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/01a0a09f6543c662905db4fe8daa0f77
「丹沢の山旅」の次回の記事(塔ノ岳)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/813e40bd6fbcf6cb18168d9c924563a0


※誤字,脱字,転換ミスは後刻訂正します.



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