英語学習は続く・・

英語ドラマや映画を繰り返しみて
そして原書をたくさん読んで☆
声を上げて読む〜☆

怪人二十面相 91

2023-02-03 12:43:55 | 怪人二十面相

 さて、その翌日の夕方のことでした。

It was the evening of that day.

 明智探偵の門前、ちょうど、きのう紙芝居が立っていたへんに、きょうはひとりの乞食がすわりこんで、ほんの時たま通りかかる人に、何か口の中でモグモグいいながら、おじぎをしております。

Before the gate of Akechi's just around the place picture-story man was sood there was a beggar sitting, sometimes bowing and mumbling to the people passing by once in a while.

 にしめたようなきたない手ぬぐいでほおかむりをして、ほうぼうにつぎのあたった、ぼろぼろにやぶれた着物を着て、一枚のござの上にすわって、寒そうにブルブル身ぶるいしているありさまは、いかにもあわれに見えます。

He covered his head with a soiled towel, wore tattered clothe patched in so many parts and was sitting on a mat, shivering with the coldness. It seemed so miserable.

 ところが、ふしぎなことに、往来に人通りがとだえますと、この乞食のようすが一変いっぺんするのでした。今まで低くたれていた首を、ムクムクともたげて、顔いちめんの無精ぶしょうひげの中から、するどい目を光らせて、目の前の明智探偵の家を、ジロジロとながめまわすのです。

But strangely, when there was no pedestrian the beggar's attitude was changed greatly. His lowered neck popped up, in the untidy bearded face his shining keen eyes stared Akechi's house.

 明智探偵は、その日午前中は、どこかへ出かけていましたが、三時間ほどで帰宅すると、往来からそんな乞食が見はっているのを、知ってか知らずにか、表に面した二階の書斎で、机に向かって、しきりに何か書きものをしています。その位置が窓のすぐ近くなものですから、乞食のところから、明智の一きょどうが、手にとるように見えるのです。

Akechi was out three hours during the morning and came home, wrote someting at the desk in the upstairs study facing the window knowingly or unknowingly about the beggar wathing him. It was close to the window so the beggar could see everything Akechi was doing.

 それから夕方までの数時間、乞食はこんきよく地面にすわりつづけていました。明智探偵のほうも、こんきよく窓から見える机に向かいつづけていました。

A few hours until the evening the beggar was sitting persistently. Akechi also was sitting at the desk invariably.

 午後はずっと、ひとりの訪問客もありませんでしたが、夕方になって、ひとりの異様な人物が、明智邸の低い石門の中へはいっていきました。

There was no visitor until the evening, a strange man came in through the gate.

 


怪人二十面相 90

2023-02-03 01:24:12 | 怪人二十面相

「いや、そんなことしなくてもいいんだ。ぼくに少し考えがあるからね。相手は、なんといってもおそろしく頭のするどいやつだから、うかつなまねはできない。

”No, no need to do that. I have an idea. Our opponent is terribly smart. We can't be inadvertent.

 ところでねえ、小林君、あすあたり、ぼくの身辺に、少しかわったことが、おこるかもしれないよ。だが、けっしておどろくんじゃないぜ。ぼくは、けっして二十面相なんかに、出しぬかれやしないからね。たとえぼくの身があぶないようなことがあっても、それも一つの策略なのだから、けっして心配するんじゃないよ。いいかい。」

By the way Kobayashi, maybe tomorrow a weired thing may happen to me. But you souldn't be surprised. I would never be outsmarted by Twenty Faces. Even if I'd be in danger it must be my strategy. So don't worry, okay?"

 そんなふうに、しんみりといわれますと、小林少年は、するなといわれても、心配しないわけにはいきませんでした。

He said so quetly that it made Kobayashi more anxious.

「先生、何かあぶないことでしたら、ぼくにやらせてください。先生に、もしものことがあってはたいへんですから。」
「ありがとう。」
 明智探偵は、あたたかい手を少年の肩にあてていうのでした。

"Master, there is something dangerous, let me do it. If something happen to you.."
"Thank you."
Akechi said putting his warm hand on boy's shoulder.

「だが、きみにはできない仕事なんだよ。まあ、ぼくを信じていたまえ。きみも知っているだろう。ぼくが一度だって失敗したことがあったかい……。心配するんじゃないよ。心配するんじゃないよ。」

"But it's not something you can. Believe me. You know, I never make mistakes. Don't worry. Do not be anxious."