英語学習は続く・・

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そして原書をたくさん読んで☆
声を上げて読む〜☆

怪人二十面相 95

2023-02-07 22:23:43 | 怪人二十面相

「いや、まだ少し早すぎる。七時半という約束だよ。それより少しおくれるかも知れない。まだ二時間もある。どっかで飯を食って、ゆっくり出かけよう。」

"No, it's too early. Given time is seven o'clock. Maybe later. We have still two hours. Let's dine out somewhere and then go."

 乞食はいいながら、小わきにかかえていた、きたならしいふろしき包みをほどくと、中から一枚のがねマントを出して、それをやぶれた着物の上から、はおりました。

Saying so the beggar man unfold the percel he was holding to find the mantle and wore it over the ripped clothe.

 ふたりが、もよりの安食堂で食事をすませ、青山墓地へたどりついたときには、トップリ日が暮れて、まばらな街燈のほかはしんのやみ、お化けでも出そうなさびしさでした。

When the two of them finished their supper in a cheap diner and arrived Aoyama cemetery it was pitch dark other than the sporadic lights, so desolate that some ghost might be there.

 約束の場所というのは、墓地の中でももっともさびしいわき道で、よいのうちでもめったに自動車の通らぬ、やみの中です。

The meeting point was the most isolated alley. In this darkness, no car would be passing.

 ふたりはそのやみの土手に腰をおろして、じっと時のくるのを待っていました。
「おそいね。第一、こうしていると寒くってたまらねえ。」

The two men sat on the bank and just waited in the darkness.
"They are late. To begin with it's too cold."

「いや、もうじきだよ。さっき墓地の入り口のところの店屋の時計を見たら七時二十分だった。あれからもう十分以上、たしかにたっているから、今にやってくるぜ。」

"Yeah, but they come soon. I checked the clock of the store at the cemetery entrance it was 7:20. It's been more than ten minutes since then. They will come like now."

 ときどきポツリポツリと話しあいながら、また十分ほど待つうちに、とうとう向こうから自動車のヘッド・ライトが見えはじめました。

Sometimes talking each other, they waited ten more minutes, and they could see the headlights finally.

「おい、来たよ。来たよ、あれがそうにちがいない。しっかりやるんだぜ。」
 案のじょう、その車はふたりの待っている前まで来ると、ギギーとブレーキの音をたててとまったのです。

"Hey, here they come. That must be it. Come on."
As they expected the car stopped with noise in front of them.

「ソレッ。」
というと、ふたりは、やにわに、やみの中からとびだしました。
「きみは、あっちへまわれ。」
「よしきた。」

"Go!"
They plunged from the darkness.
"You go that side."
"All right."

 二つの黒い影は、たちまち客席の両がわのドアへかけよりました。そして、いきなりガチャンとドアをひらくと客席の人物へ、両方からニューッと、ピストルの筒口をつきつけました。

The two black silhouettes rushed to the both sides' door. They suddenly opened the door and pointed the gun each.

 と同時に、客席にいた洋装の夫人も、いつのまにかピストルをかまえています。それから、運転手までが、うしろ向きになって、その手にはこれもピストルが光っているではありませんか。つまり四丁のピストルが、筒先をそろえて、客席にいる、たったひとりの人物に、ねらいをさだめたのです。

At the same moment, the lady in the dress held a pistol. And even the driver turned back, pointing the pistol at them. In total 4 pistols were pointing at one person in the rear seat.

 そのねらわれた人物というのは、ああ、やっぱり明智探偵でした。探偵は、二十面相の予想にたがわず、まんまと計略にかかってしまったのでしょうか。

The target was, oh, it was the detective Akechi. Has Twenty Faces been tricked like Twenty Faces prediction?

「身動きすると、ぶっぱなすぞ。」
 だれかがおそろしいけんまくで、どなりつけました。
 しかし、明智は、観念したものか、しずかに、クッションにもたれたまま、さからうようすはありません。あまりおとなしくしているので、賊のほうがぶきみに思うほどです。

"If you moved you would be shot!"
Someone shouted furiously.
Still Akechi was leaning on the cushion composedly and didn't show any sign of counterattack as if he gave in. He was so calm that it made them feel creepy.

 

 

 


怪人二十面相 94

2023-02-07 22:22:53 | 日記

名探偵の危急

The Pressed detective

「ええ、なんだって、あの野郎をひっさらうんだって、そいつあおもしれえ。ねがってもないことだ。手つだわせてくんねえ。ぜひ手つだわせてくんねえ。で、それはいったい、いつのことなんだ。」

”What? Abducting him? That's interesting. That's just I want. Let me help you. I want to do it. When is it?"

 赤井寅三は、もうむちゅうになってたずねるのです。
「今夜だよ。」
「え、え、今夜だって。そいつあすてきだ。だが、どうしてひっさらおうというんだね。」

Torazou Akai asked enthusiastically.
"It's tonight."
"What, tonight? That's wonderful. But how?"

「それがね、やっぱり二十面相の親分だ、うまい手だてを工夫したんだよ。というのはね、子分のなかに、すてきもねえ美しい女があるんだ。その女を、どっかの若い奥さんにしたてて、明智の野郎の喜びそうな、こみいった事件をこしらえて探偵をたのみに行かせんだ。

"It's Twenty Faces's plan, very adroit plan. I mean there is this beautiful woman among us. He made her as a young wife of someone and let her go to the detective to ask for help for a difficult case.

 そして、すぐに家をしらべてくれといって、あいつを自動車に乗せてつれだすんだ。その女といっしょにだよ。むろん自動車の運転手も仲間のひとりなんだ。

And she asks to check the house now, bring him with her by the car. Of course the driver is one of us.

 むずかしい事件の大すきなあいつのこった。それに、相手がかよわい女なんだから、ゆだんをして、この計画には、ひっかかるにきまっているよ。

He loves the difficult cases. And it's a weak woman, he must take the case.

 で、おれたちの仕事はというと、ついこの先の青山墓地あおやまぼちへ先まわりをして、明智を乗せた自動車がやってくるのを待っているんだよ。あすこを通らなければならないような道順にしてあるんだ。

Now, our job is to go to the Aoyama cemetery and wait for their car. They will have to take this route in this plan.

 おれたちの待っている前へ来ると、自動車がピッタリとまる。するとおれときみとが、両がわからドアをあけて、車の中へとびこみ、明智のやつを身動きのできないようにして、麻酔剤をかがせるというだんどりなんだ。麻酔剤もちゃんとここに用意している。

The car stops in front of us. Then you and I open the door from the both side, jump in, put him down, and make him inhale the narcotic. I have narcotic all right.

 それから、ピストルが二丁あるんだ。もうひとり仲間が来ることになっているもんだから。

I have two pistols too. There will be onother one coming.

 しかし、かまやしないよ。そいつは明智にうらみがあるわけでもなんでもないんだから、きみに手がらをさせてやるよ。
 さあ、これがピストルだ。」

But I don't care. He's not holding a grudge against Akechi. I'll let you do that.
There, this is the pistol."

 乞食に化けた男は、そういって、やぶれた着物のふところから、一丁のピストルをとりだし、赤井にわたしました。

The man in disguise of a beggar said so and took a pistol out of his tored clothe to give Akai.

「こんなもの、おらあうったことがねえよ。どうすりゃいいんだい。」

"I have never used this kind of thing. I don't know what to do."

「なあに、弾丸たまははいってやしない。引き金に指をあててうつようなかっこうをすりゃいいんだ。二十面相の親分はね、人殺しが大きらいなんだ。このピストルはただおどかしだよ。」

"It doesn't have any bullet. Just pretend shooting by put your finger on the trigger. Our boss, Twenty Faces, hates murder. This is just a treat."

 弾丸がはいっていないと聞いて、赤井は不満らしい顔をしましたが、ともかくもポケットにおさめ、
「じゃ、すぐに青山墓地へ出かけようじゃねえか。」
と、うながすのでした。

Knowing that there is no bullet in it Akai looked unhappy but put it in his pocket anyway.
"Then, let's go to the Aoyama cemetery now."
He urged.