英語学習は続く・・

英語ドラマや映画を繰り返しみて
そして原書をたくさん読んで☆
声を上げて読む〜☆

怪人二十面相 96

2023-02-09 01:30:34 | 怪人二十面相

「やっつけろ!」

”Beat him!"

 低いけれど力強い声がひびいたかと思うと、乞食に化けた男と、赤井寅三の両人がおそろしい勢いで、車の中にふみこんできました。そして、赤井が明智の上半身をだきしめるようにしておさえていると、もうひとりは、ふところから取りだした、ひとかたまりの白布しろぬののようなものを、手早く探偵の口におしつけて、しばらくのあいだ力をゆるめませんでした。

A low, still strong voice resonated, the beggar man and Torazou Akai rushed into the car. As Akai held Akechi's bust, the other one pushed a roled up white cloth he took out of his pocket to the detective's mouth and held it for a while.

 それから、やや五分もして、男が手をはなしたときには、さすがの名探偵も、薬物の力にはかないません。まるで死人のように、グッタリと気をうしなってしまいました。

Five minutes later, when the man released his hold, it was impossible to stand even for the great detective, he fainted like a dead.

「ホホホ、もろいもんだわね。」
 同乗していた洋装婦人が、美しい声で笑いました。
「おい、なわだ。早くなわを出してくれ。」

"Ho ho, that was easy."
The lady passenger laughed with her beautiful voice.
"Hey, the rope. Give me the rope."

 乞食に化けた男は、運転手から、ひとたばのなわを受けとると、赤井に手つだわせて、明智探偵の手足を、たとえ蘇生そせいしても、身動きもできないように、しばりあげてしまいました。

The beggar guy was given a bunch of rope and bound the detective Akechi's hand and foot with Akai's help so that the victim couldn't move even if he came alive.

「さあ、よしと。こうなっちゃ、名探偵もたわいがないね。これでやっとおれたちも、なんの気がねもなく仕事ができるというもんだ。おい、親分が待っているだろう。急ごうぜ。」

"Well, done. The great detective is noting in this state. Now we can work without any trouble. Hey, the boss is waiting. Let's get going."

 ぐるぐる巻きの明智のからだを、自動車の床にころがして、乞食と赤井とが、客席におさまると、車はいきなり走りだしました。行く先はいわずと知れた二十面相の巣くつです。

The beggar man and Akai took their seats, the car started with rolled up Akechi. Needless to say, their destination is Twenty Faces's den.

 

 

この章は終わりました。