残月録

残月がやがて消えていく間にも、私の日常生活の中に何か一瞬の輝きを求めて写真を撮っています.

怪談のっぺらぼう異聞

2021-03-31 15:17:48 | 日記
江戸に警告坂(現在はK国坂とも呼ばていれる)
と言うところがありまして
、そこはムジナが出るというので
有名でした。だから夜中には誰も
通りません。ある時、木戸が閉まるので
あきんどが嫌々ながら警告坂を
急いでいました。坂の途中に来ると
若い女性が”めそめそ”泣いています。



こんな所にいるのは夜鷹かなと思いつつ
「もしもし娘さん、こんな場所に
いたらムジナが出ますよ」
「こちらを向いて元気をお出し」
若い女がゆっくりふりむくと
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「わぁぁ・・・・・・・・・でっ、出った・・・・・・」
あきんどは転がるように坂を駆け下りていきました。
遠くに小さい明かりが見えてきました。
あきんどはあわててその家に飛び込みました。
家の中にはおばあさんが一人いて
「出た、出たんだ、おばあさん、ノッペラボウが出たんだ」
「そうかい」と言って、おばあさんがふりむいて
「こんな顔だったのかい」
「わぁ出た、助けてくれ、夜鷹のサギババーに、せっ、千年憑りつかれる。
 助けてくれ・・・」
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       ・


      おしまい