シベリア寒気団到来
その昔、ロシア侵攻を試みたナポレオンやヒトラーが敗北を喫した冬将軍が、今年も日本にやって来ました
気温は昨日から一気に10度ほど下がっています
彼女さんはモッコモコの重ね着姿でいつもの川辺に到着しました
土手の歩道から降りて川辺の草地を一歩踏みしめると…
「‥シャクッ!」
っと、たくさんの小さな霜の結晶が彼女さんのブーツの底で砕け、そこからささやかな音と感触が気持ちよく体に伝わります
(^^)「ふふ‥♪」
彼女さんの顔から自然に微笑みが零れ落ち、それと同時に吐き出した息が真っ白に染まります
白い季節のはじまりです
(^^)(^^)「お久しぶりー♪人間さん」
彼女さん(〃▽〃)「あーっ!お久しぶりー♪」
(^^)「元気だったー?もう子供たちもいいのねー♪」
彼女さんの近くにカルガモのご夫妻がいらっしゃいました
カルガモ嫁「その節はこの男に道理を説いて、一人前の(おとうちゃん)にして頂き、本当にありがとうございます」
彼女さん「いやいやいやいや!わたしは御亭主のお話を聞いていただけですから」
カルガモ夫「いやいやいやいやいやいや!人間さん!…いや!姉御!!」
「姉御の一言が無ければ‥あっしは、いつまで経ってもチンケな半端者だったことが、今ならはっきり分かりやす」
彼女さん(^-^;)「へ?…さ、左様でござんすか」
カルガモ夫「へい!もちろんでさぁ!…全くもってお恥ずかしい限りでござんす」
彼女さん「~でもでもでも、やっぱりいずれは自分で気がついていたんじゃない?」
カルガモ夫「~いやいやいや、それは姉御がウチの鬼嫁の剣幕ってモンを知らねぇ‥ハッ!」
カルガモ嫁(☆。☆)「‥お・と・う・ち・ゃ・ん」
カルガモ夫(゜∀゜;)「……………ハイ」
奥さんの無言の視線に誘導され、カルガモのご夫婦は…彼女さんからゆっくりと離れて行きます
(۳˚Д˚)۳!!!
(T^T)「ゴォォ~~~ッ~~メ~~ンン~ヨォ…」
ブクブク…
(´-ω-`)(あぁ旦那さん…ご愁傷様です)
と、彼女さんは瞑目し祈りを捧げます
そして…
その、彼女さんの背中をジッと見つめているのは‥おジョビちゃんです
おジョビちゃん(お母さんのお話の通り‥ううん、それ以上だ。カナメ様はいつもみんなの幸せを考えているんだ)
(なのに、わたしったら嫉妬なんかして…)
おジョビちゃんが彼女さんと出会ってからすでに三週間は過ぎていますが
先日あまりにもみっともない姿を彼女さんの前で晒し(‥たと、本人は思い込んでいます)た恥ずかしさから、未だに彼女さんの前に堂々と立てていませんでした
母親から彼女さんとの思い出話を、生まれてからの間、ずうっっっっと聞かされて育ったおジョビちゃんです
鳥であるお母さんの一番のお友だちが(あの臆病で凶暴な)人間であるにも関わらず
その人はとっても優しくて、明るくて,スッゴく大きな志しを持って生きていると聞かされて、おジョビちゃんは育ちました
(^^)「生きとし生けるもの全てが幸せでありますように」
まだまだ小さかったおジョビちゃんが、初めてお母さんからこの言葉を聞いた瞬間…
小さなおジョビちゃんの世界は爆発的に広がりました
それまで気にもしていなかった、空気や水や食べものが、自分の中で命に変わり、自分以外にもたくさんの命が同じように巡り巡って生きていることが、突然すっかり分かってしまったのです
それまではお母さんと弟くんだけが、小さなおジョビちゃんの世界の全てだったのです
それからおジョビちゃんは変わりました
お母さんが持って来るごはんも、弟くんに先に食べさせてあげるようになり、お母さんに促されるまでも無く、自力で飛べるように(羽根も生え揃わない時分から)練習も欠かしませんでした
一気に広がったこの広大な世界には、怖いことも楽しいこともたくさんあって…
(カナメ様)もこの世界のどこかに居るのだと
生きてさえいれば会えるかもしれないのだと、おジョビちゃんは知ったのです
そして初めての(渡り)の季節がやってきます
おジョビちゃんと弟くんは雨を待ちました
やがて強い雨が降り注ぎ…
雨が大気中の汚れをすっかり綺麗に落とし終わると…
どこまでも澄み切った空の中を、弟くんと一緒に旅立ちました
そして…
ふと、おジョビちゃんが物思いから我に返ると…
(^^)目の前にニッコリとお日様みたいな笑顔の彼女さんが、おジョビちゃんを見つめていました
彼女さん(^^)「おかえんなさい♪」
「あなたから会いに来てくれて、わたしとってもしあわせよ♪」
冬将軍の訪れと共に、暖かいものがやっと、おジョビちゃんと彼女さんの胸の内に灯りました
どうぞよい一日を
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(擬人化)という表現をとても嫌う人々が一定数いらっしゃいます
まあ、確かに人間以外の動物は人語を話しません(勿論、オウムやインコのモノマネのような例外はあります)
しかし、人語を語れないという一事から、野生の動物には論理的な思考も豊かな感情も持たないモノと考えを飛躍させ…
動物は本能というプログラムしか持たない機械のようなものだと思い込み…
擬人化を幼稚なおとぎ話と考えることは、一体如何なものでしょうかねぇ
人語は語らずとも野生の動物には、動物達なりのコミュニケーションがあります
感情も持っていますし、かなり論理的な思考もこなしています
それは自分の目で何度も見ていれば、いろいろな反証を乗り越えて、自然に納得出来るものです
最近の私たち日本人は、自分の体験から直接学ぶことよりも、他人の解釈に基づくパッケージ化された知識を(必要以上)に有り難がる傾向がとても強く見受けられます
正直‥そういう頭の固い人々との関わりはほとほと疲れるだけで、何一つ益するものがないのです
鳥と語らい、草花を愛でる
これを、少女趣味なおとぎ話の世界などではなく、自分の実生活の一部にすることが出来れば、それが一体どれくらい素晴らしいことか‥
(^^)やれば簡単に分かることでござるよ♪
230 拝