あたたかい光
つめたい風
色あざやかな落ち葉
一年の内で彼女さんが最も好きな季節、晩秋です
今朝も川辺には彼女さんはおひとり様でお気に入りの岩に腰をかけ、お天道様が登る方角にまっすぐな視線を向けています
そして…
その彼女さんの背中に突き刺さる、もう一つのまっすぐ?な視線
((♡∀♡))(…ハアハア!…カナメ様♡あああぁぁぁ…カナメ様カナメ様カナメ様~ぁん…♡ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア~♡♡♡)
ジョウビタキ姉弟のお姉さんから発せられるハートマーク山盛りの…ある意味、殺気にも似た殺人的ラブラブレーザー熱視線が彼女さんの背中にビシバシ!突き刺さっています
( ̄¨ ̄)…(人の振り見て我が振り直せ…か)
晴れ晴れとした空を見上げる彼女さんの脳裏に、このことわざが浮かびました
彼女さん(……見られてる…わたし見られてるよね。…ううう、うん、悪気なんか一ミリも無いのは…分かるわよ)
(………でも…強い好意の視線って…こんなにもプレッシャーだったのか…)
(わたしもみんなに(鳥たちに)こんなプレッシャーをかけていたのかしら…ヤバいわ…反省モノじゃない…)
((T_T))(…でも…なんかおジョビちゃん…目がこわいよぉ…)
この川辺には彼女さんと仲良くしてくれる鳥さんも沢山いますけれど、それ以上に彼女さんを見ると逃げてしまう鳥さん達が沢山いる事は、歴とした事実です
今までそのことをとっても寂しく思っていた彼女さんなのです
しかし、自分の行き過ぎた好意故に、好意を向けた相手から避けられてしまう理由を、まさかおジョビちゃんからこんな形で教えられるとは、思いもしなかった彼女さんです
彼女さんが海よりも深~く内観している一方、おジョビちゃんは…
( º﹃º` )「ハアハア…ハウッ!……うっ!…うげげげげっ!!」
興奮し過ぎからの呼吸困難で…苦しそうにえずいていました
何やらさらにおかしくなった雰囲気を感じとった彼女さんがうしろを振り向くと
彼女さんΣ(°д°"ノ)ノ「ちょ!おジョビちゃん!だ、大丈夫っ?!」
おジョビ「う゛っ、え…ええ…!!ヶ、ガナベざば…いげばぜんん!うぇ…み、みないでぐだざ…い……………………… ……ぃ…いやーぁーー!!」
みっともないところを見られたショックは、興奮状態に更なる拍車をかけたようで…おジョビちゃんはあっという間に雑木林の中に逃げ出してしまいました
( ´罒`*)♪「ニシシシ~♪、よう!モテる女は大変やなぁ~♪元気やったか?」
彼女さん「あ!(川鵜)姉さーん♪久しぶりー♪わたしは元気元気よ♪」
「姉さんの方こそ最近忙しそうだったじゃない?元気だったのー?」
出会った当初から姉御肌が強かった川鵜のお姉さんですが、最近は…
種族の垣根を飛び越え、いろいろな鳥さん達の(お悩み)に耳を傾けていらっしゃったようです
姉さん「ウチはボチボチやでぇ、忙しい言うたかてウチは話を聞いているだけやさかいなぁ♪」
彼女さん「あは!知ってる。みたみた♪、最近はトンビくんとよくお話してるよねー♪」
姉さん「あいつもホンマおもろいヤツやでぇ♪、一回ウチな、人間ちゃんの(全ての生きとし生けるものに慈愛を…)の話を聞かせたらな…」
『なるほど…確かにその通りですね………これは私達のライバルであるカラス達にも知らせて、私達トンビ族とカラス族の永きに渡る(いがみ合い)の歴史に終止符を打たなければなりません!』
「なーんて意気込んでしもうてなぁ!、人間ちゃんも見てたやろ?、ああして毎日カラスたちに追い回されて…それでも毎日訴えてんやで♪」
「なかなか根性あるやろ♪」
彼女さん「…うわぁ、そうだったんだ…すごいね♪」
彼女さん「あぁ…それで無抵抗にカラスさん達に突っつき回されているあのトンビくんを見かねて、この間からお友達が助けに来てくれているのかな?」
姉さん「そんなとこやろなぁ、まあ、お友達の方はカラスとの和解なんて発想は全く無いみたいやし、あのコもまだまだ前途多難やで…」
おジョビ(( ̄△ ̄))「…カ・ナ・メ・様!」
いつの間にか華麗なる復活を果たしていたおジョビちゃんが、彼女さんと川鵜お姉さんの会話にズビシッ!!と、割り込みます
そして、そのまた後ろには、姉が彼女さんと彼女さんのお友達らしき川鵜お姉さんに何を言い出すものか…と、心配そうなジョウビタキの弟くんも控えていました
おジョビ「…カナメ様!(…だめ!)なんですか!その下品なお口を訊く方は!(だめだめだめーっ!何言ってんのわたしーーっ!!)そんな…!」
姉さん「おおーっとぉ!人間ちゃん!トンビくんが大ピンチやー!(棒)、ウチはちょっくら助けてくっから…人間ちゃんもそのコの話ゆっくり聞いたりーや♪」
~と言い残し、川鵜お姉さんは颯爽と飛び去って行きました
これはおそらく、おジョビちゃんにこれ以上心にもないことを言わせない為に利かせた、川鵜お姉さんの機転だと彼女さんは理解します
そして今度こそ、まっすぐな視線で彼女さんはおジョビちゃんを見つめます…見つめます
おジョビ(((T_T)))!!「…あ……ああああ、ご、ご、…ごめんばざぁいぃ!!」
…おジョビちゃん、本日二度目の逃亡です
弟くん「あの…カナメ様……」
彼女さん「弟くん…いいのいいの♪分かってるからねー♪」
弟くん「はい…ありがとうございます♪」
彼女さん「ほら、わたしはいいからお姉ちゃんのところに行ってあげて♪」
弟くん「…あはは、いつものことですので大丈夫だとは思いますけれど…高ぶった姉上に一度捕まると、半日は逃げられないので、先に食事を済ませてから行ってきますね♪」
彼女さん「(うわー冷静だ…)そう?…それがいいわね(汗)」
弟くん「カナメ様も如何ですか?野薔薇の実であれば、きっとカナメ様のお口にも合うものと存じますが?」
彼女さん「あ、ありがとー…でも今は早く食事を済ませて、お姉ちゃんに優しくして上げて♪」
弟くん「はい♪カナメ様がそう仰るなら直ちに!」
そして弟くんも雑木林の叢(くさむら)の中に消えて行きました
今朝も平和なこの川辺にも、もうすぐ静かな冬が訪れます
どうぞよい一日を
230 拝