為替の安定性 の責任は、どこにあるのだろう?
中国の場合は、中央銀行が為替の安定性に責任を持っているようだ。
といっても、一日の変動幅を2%と設定している。 現実の話、毎日2%も変動されてしまえば、仕事にならない。 輸入仕入れの予算も組めないし、輸出販売の見積もりも出せない。
各日2%の変動許容幅を「固定相場制」だとみる人もいるが、間違っている。もし2%ずつ動けば1ヶ月間で為替は半分にもなるし2倍にもなる。繰り替えすが、そんな急激な変化をされてしまえば、仕事にならない。 もし、毎日毎日2%も変動するような為替があれば、国際取引の舞台から徐々に姿を消していくだろう。
完全な自由相場を導入している通貨間(US$,EUR, JP\)でも、日中に2%以上(上下4%)も変動することは、ほとんどない。もしあるとすれば、今回のように、金融危機の時だ。 中央銀行が市場に介入しても、責任のある行動として十分に理解を得られると思う。
為替の変動を2%程度許容しているのであれば、「十分な自由相場」とよべると思う。
日本の中央銀行は、為替の安定性に責任をもっていない。10分の間に日本円が5%以上動いても、対応を取らない。 そのため、日本円では仕入れの予算も組めないし、販売の見積もりも出せない。
2011年の東日本大震災は、「1000年に一度」とよばれる規模の災害だった。為替市場の自由化が進み始めてからは、まだ30年も経っていない。
大規模な災害時であれば市場の変動に対して、ある程度の配慮があっても良かったと思う。しかし、日本円に関して「為替の安定性」に責任を持つ人はいない。 世界中から多額の寄付金が日本に流入したが、円高が進みその価値は目減りした。 得をしたのは、一部の強欲な投機家たちだ。
未曾有の災害時でも、慈善団体が損をして、投機家が得をする。そんな「市場の独立性」が守られていくのであれば、労働者・消費者の心はその市場から離れていくだろう。
過剰に不安定な市場には参加できない。国際取引をするのであれば、米$建、もしくはEUR建で経営計画を進めることになる。
CNYの流動性・安定性が信頼を集めるようになれば、日本円に変わり、CNY建の取引も増えるだろう。
さまざまな理由があるが、グローバル企業は日本円から距離を取り始めている。「地産地消」を進めていて、海外での販売分は海外で生産をし、残った利益は海外で投資している。
現在の人類の技術力では、「完全に効率的・合理的な市場取引」を実現することはできない。人間は感情に流され判断をする「非論理的な生物」で、人間が管理・運営をしている「市場」も非合理的・不効率にならざるを得ない。
市場で決定される価格・為替は、合理的でない場合が多い。 非合理的な価格形成が市場で進んでいる場合に、市場に介入をして一定程度調整をするプレイヤーが必要だと思う。
中国の中央銀行は、市場価格を調整しようと挑戦し続けており、失敗し続けている。失敗から学び続けることにより、今後、適正な状態に市場価格を誘導していく技術力を高めていくだろう。
市場の失敗を学ばない。市場の流れに挑戦しない。市場の効率化を目指さない。 そんな姿勢では、国際化の時代の流れから取り残されていくだけだ。