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ニール・F・カミンズ 『 もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅 』
竹内均/監修 増田まもる/訳 ←アマゾンへリンク
↑写真は11月21日の月。山の端から上る。
ヘタなSFよかずっと面白かった。
とだけ書いてもわからないか。
著者はアメリカ、メーン大学の天文学・物理学教授なんだそうだ。
10の旅、とあるように、まず月のない地球から始まり、
月がもっと近い地球、もっと質量の小さい地球、地軸が天王星のように傾いた地球、と
どんどんエスカレートしていく。
あれ? ほんとは地球を酷い目に遭わせたい!?
とか思わさせていくが、最後はちゃんと収まるところが、なかなか心憎いです。
本の最初の方はいわばニュートン力学で用が足りていたのだが、
だんだん原子物理学とかになってきて、
結局、酷いことが起こる方がなんだか話がエキサイトしてきたりして、
知識を得るという面でも盛り上がるという面でも、なかなか面白い。
それぞれの地球で、もし人類が誕生して文明を持つことができたら
果たして天文学はどうなるのだろうか?
という疑問がいちいちあるのがおかしかった。
そこんとこが大事なのは、天文学者さんだからでしょう!?
翻訳もなかなか気に入った。
p216
「この章で、地球を恒星の爆発にさらすとすれば、自然が生みだす爆発のなかでも最悪なものに直面させた方がいいだろう。」
p。270
「太陽系にブラックホールが存在することは、物質と宇宙の性質を理解しようとつとめている天体物理学者にとって願ったりかなったりである。」
(注意:太字はわたし)
この本は、夏に明石の天文科学館に行ったときに、
閲覧室に置いてあったものを子供が見つけて、読みたいというので買ったのだ。
最近まで知らなかったのだが、続きがあった!!
ああ、買わねば。
追記:
続巻 『もしも月が2つあったなら』 も手に入れて読んだ。
『もしも月がなかったら』 で、もっと図が多ければ理解しやすいだろうに、と思っていたら
続巻ではいっぱい入っていて、とてもよかった。
また、章の頭にちょこっとしたフィクションみたいなものが入っていて、
なかなか気が利いていて面白かった。
地球は歴史的な存在で、繰り返すものではなくプロセス上のものなのだ、
ということはなんとなく理解していたが、
それが、宇宙もそのようなものなのだ、ということが少し分かった。
この分野に関して、研究は日々進んでいる。
新しい情報を手に入れると、びっくりします。
それから、潮の満ち引きと月の関係が、この本でやっと理解できた。
この2冊は読む価値があります!
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