≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

円城 塔 『バナナ剥きには最適の日々』

2014-07-01 18:16:28 | 本 (ネタバレ嫌い)
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円城氏の本を読んでいると、どんどん良くなっていくことに驚く。
とくに、先日 『これはペンです』 を読んだ ばかりだったから、なおのこと。

で、どう良くなっているのか?
端的にいって、読みやすくなった、ということ。
いや、読んでするする頭に入る内容ではない、ということに変わりはないのだけれど、それでもね、
文体とか喩えとか。

読んでいて、古いSFをちらりちらりと思い出させる仕掛けがにくい。
一つ目の短編 「パラダイス行き」 は、このまえ読んだ スタニスワフ・レム 『天の声』 を思い出させるし、
表題作は 星野之宣氏のマンガ なんかを思い出させるし、
「コルタサタル・パス」 に チオチモリン が出てきたのに盛大に受けたし、螺旋の街なら 野阿梓氏 を思い出したし。
「AUROMATICA」 は円城氏のアイデンティティの問題というか、一番底辺を流れている問題で、散見するテーマだし。
という感じで。

すべての話がそうだとはいわないが、ひたむきに続けていって何かをなすことについて、
円城氏はとても評価していると思う。 それが受け入れられるという保証がなくても。
それを彼の仕事に当てはめてもいいのかもしれないが、安直なのでやめておく。

また、彼の話には悪意がとても少ない。
それがわたしにとって、読んでいて救いだ。

誰がどうした、っていう話じゃなくって、でもノンフィクションじゃなくって、
っていう不思議な味わいが得られます。

そういう意味で、ぜひおすすめ。

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