あのパンチ・ブラザーズを生で観ることができる! これは絶対に行かねばならぬ!!
ドキドキしながらチケットを取った。
アイドルなどに比べればチケットを取るのはぜんぜん楽な筈だが、それでもいつものブルーノート東京に比べたらどんどん席が埋まっていって焦ったね。
そういえばピーター・バラカン氏が彼のラジオ番組で、彼の監修する音楽フェス ライブマジックにパンチ・ブラザーズ呼んだのに出てくれなくてブルーノート東京には来るんだ、とすねておった。
パンチ・ブラザーズは フラットマンドリンがバカテクなクリス・シーリがリードヴォーカルで、フィドルのゲイブ・ウィッチャー、バンジョーのノーム・ピクルニー、ギターのクリス・エルドリッジ、アコースティックベースのポール・ コートという全て弦楽器のバンドである。楽器の構成からしてもジャンルはブルーグラスなんだけど、すごく進化した感じ。
唯一無二な素晴らしい音楽だ。 たとえば 2018年7月25日 ボストンでのライブ『 All Ashore 』。
←2018年6月に出たセルフ・プロデュースアルバムからタイトル曲。このアルバムはグラミーの最優秀フォーク・アルバム賞を受賞した。
もう皆さんとにかく上手い。技術だけじゃなくて音楽性も半端ない。
期待で胸がいっぱいだ。
これがステージ始まるまえ。なんとシンプルな! マイクが1本。
バンジョーのアップ。 実物を見るのはたぶん初めてだ。一番上の弦が短い。ペグがネックの中途についている。
圧巻な演奏だった。
管楽器じゃないから楽器を鳴らしながら歌うことができる。フィドルとギターはコーラスのレギュラーでベースもたまに歌っていた。1本のマイクを上手に使い、近寄ったり離れたりしてダイナミクスやバランスを調整していた。
ベースにはさすがにピックアップがついていたが、なんかジャズやクラシックで見るものよりも小振りな楽器だった。一番低い弦を更に上にのばしてより低い音が出るようになっていた。ジャズと違うなあ、と感じたのはアルコ(弓)をよく使いその音色が艶やかで歌うことだった。フィドルとのオクターブユニゾンがたまらなかった。
弦楽器ばかり5種というのは普段ブルーグラスを聴かないわたしにとって目新しかったが、それぞれ特徴のある音色をしていて、音域も含めそれらの特徴をよく生かした曲の作りになっていた。1つの楽器から出せる音が1つとは限らず且つ声も出せる、これは厚いハーモニーを作ることもできる、ということなのだな。
その楽器から出せるバラエティ豊かな音が面白かった。もはや打楽器でしょう!?
フィドルは特に凄かった。普通に弾いたりピチカートだったりハーモニクス出したり、弓で弦を擦って ギッギッガー と鳴らしている曲もあったし。
リズムを刻んだり、ゆったりしたフレーズを楽器でうたったり、それらをひとりではなく他の楽器と一緒にユニゾンだったりハモったり、曲の中で絡み合い、もう無限の可能性の中からその曲に最もふさわしい組み合わせのアレンジにしてくる。当然 同じようなアレンジの曲は一つとしてない。
なんといってもダイナミクスの幅が凄かった。これはジャズというよりむしろクラシックっぽいな、と思った。殊に小さい小さい音のハーモニーを美しく出すのには息を飲んだ。これは本当に楽器が音楽が上手でないとできない。
5人が楽器ともども個性的で見分けやすいのもよかった。唯一声で歌わないバンジョーのノーム・ピクルニーのクールな佇まいがいい味を出していた。
本当によいバンドだ。この仲間でないと出来ないレベルの高さ、オリジナリティ。時間をかけて一緒に作り上げた音楽なのだ。互いに尊敬尊重しあいながら仲がよさそうで、 バンドっていいですね 。
おしむらくは己の英語力。物語になっているとおぼしき語りを充分に聞き取ることが出来なかったのがねえ、ああもったいない。『All Ashore』は聴き込んだつもりだったけれど、予習をもっともっとすべきだった。
↓左はこのライブにあわせたスペシャルなカクテル、The Angel of Stout 。
HPによると、「オレンジを漬け込んだテネシーウイスキーとギネスビールを合わせ、スモーキーフレーバーのシナモンがアクセントになったスペシャルカクテル。PUNCH BROTHERSのルーツを辿れる一杯をライブと共にお楽しみください。(Bartender:Takanobu Suzuki) 」。美味しかった。
右は、ノンアルコールのアーモンドピニャコラーダ。↓
ブルーノート東京HP内のライブリポート ★
なんと演奏した曲がセットによって違ったらしい。わたしが観た回だってもう完璧だったのに。
なんというか、レベルの違う人たちだ。
柳樂光隆氏のリポートがよかったので貼る。 otocoto 21世紀にジャズと暮らす #14
パンチ・ブラザーズのライブが凄かったこと
一度聴いたら忘れられなくなるパンチ・ブラザーズは やはり観たい人が多かったせいか、普段は入れない2階席にも客を入れていた。
1stステージが終わって外に出たところ。興奮冷めやらぬ客がポスターを写真におさめようとしてたり。
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