長町駅の東側に、郡山という地区がある。
郡山遺跡と呼ばれる、古代の大和朝廷による官衙(かんが:役所)が置かれていた場所だ。
多賀城造営前は、ここが陸奥国の拠点だったという。
この南方に諏訪神社がある。
年の初めには初詣、正月と小正月の狭間にはどんと祭にとお参りした。
震災から1か月ちょっと、境内の桜が咲いているかもしれぬと訪ねてみた。
参道を前にして、あっと思った。
鳥居がない。
なんと、階段の脇に、折れた石の柱と笠木や貫が置かれていた。
震災で壊れてしまったのだ。
参道の階段を上った境内には、社殿の手前左に大きなカエルの石像、右側には桜の木々。
桜は、美しい微笑みをたたえていた。
町のあちこちに見える震災の傷。
その中で咲き始めた桜。
厳しい冬を越して咲いた桜が、人々を和やかにし、楽しませてくれる。