日光植物園を出て、いろは坂へ向かった。季節外れのいろは坂は
車は少なかったものの、途中ガスが濃くなって10m先がやっと見えるほどだった。
登りきった中禅寺湖周辺はすっかりガスが晴れ、時折陽射しも見えた。
赤沼に車を止め、戦場ヶ原を歩くことにする。赤沼分岐を右折してからは
湯川沿いに進んだ。
今の季節、戦場ヶ原で見られる花は、何をおいてもホザキシモツケだろう。
ホザキシモツケはバラ科シモツケ属。
高層湿原に多く見られる落葉低木で花期は6~8月。
日本では戦場ヶ原の他に釧路湿原や霧ケ峰高原などが有名だ。
群生している様子も良いが、一株をマクロに撮っても絵になる花だ。
長い蕊についた水滴のきらめきが目を奪う。
8月の中旬になり茶色い実も目立ちようになっている、やや見ごろ過ぎか。
右下ではノビタキが穂先に止まっている。
湯川の流れはゆったりとしていて、川の中の倒木が興を添えている。
暫く歩いていくと木道脇に花たちが増えてきた。いや花が増えてきたのではなく、
花を見る目が慣れてきたのだろう。一つの花を見つけると、その周りに次から次へと見つかっていく。
黄色い大きな花をつけるトモエソウ
ピンクに赤い筋のある花弁が可愛いハクサンフウロ
ワレモコウも野では素朴に輝く
草むらに数株集まって咲いているのはノアザミの花
コバギボウシの花も多い
川の中では藻がゆったりとした流れの中で揺らめいている。
木立ちの中にはコオニユリの姿を見つけた。
コオニユリの花の端にシジミチョウが止まっている。蜜を吸うにはこの蝶には
大きすぎる花のようだが……。
木道脇の丈高い草に隠れるように咲いていたヤマオダマキ、
深窓の貴婦人といったところか。
標高1400mの高原なのだが、陽射しの下を歩いていると汗が滲み出してくる。
たくさんの花をつけたヤマホタルブクロ
ひらけた草原に出るとシロネやクサレダマが目立つようになってきた。
シロネ(の仲間)はシソ科の花、名前は白く太い地下茎から
こちらはクサレダマ。サクラソウ科に属し、オカトラノオなどの仲間だ。
クサレダマはマメ科の低木レダマに似た草の意味。漢字では草連玉。
大振りの鮮やかな花を咲かせ、秋にできる実もなかなか風情がある。
一帯はお花畑になっていて、もう少ししてリンドウ(蕾は色づいていた)の花も咲けば
赤、青、黄の信号色が出揃うだろう。
草原に立つデッドツリー
歩き始めて一時間、青木橋が見えてきた。
幅広い木道は歩いていても気持ちが良い。
湧水のある休憩地点泉門池(いずみやどいけ)までやってきた。
この辺が折り返し地点、カモも数羽いる。
泉門池でしばらく休んでから、小田代が原の東側を歩いて戻った。
一帯は植相が変わって、イブキトラノオやヒヨドリバナなどが多く見られるようになった。
少し離れたところにはクガイソウの群生が見える。
時刻も4時を回った頃、ヒヨドリバナにアサギマダラが飛んできた。羽の下部に
黒い性票が見えるので♂の個体のようだ。
この後、可愛らしい子連れのヒガラの群れやアカゲラにも会えた。3時間半後、
戻った赤沼はすでに暗くなり始めていた
この日は湯ノ湖の小さな旅館に泊まった。夜を徹して叩きつけるような激しい雨が降っていた。
この辺で。