神代植物公園に隣接して「植物多様性センター」がある。
平成24年4月にオープンしたのだが、訪ねたのは3年半たった今年の9月。
それまでは存在すら知らなかった。
訪れる人もなく、神代植物公園の駐車場の隣にひっそりと奥ゆかしく建っている。
入館料は無料、さほど広くもない園内の学習園は奥多摩、武蔵野、、伊豆諸島の3つのゾーンに分かれている。
入り口は2か所あるが、普段空いてているのは左側の入り口。
入ってすぐにトイレ!、その右手に東屋がある。
奥多摩ゾーンを歩くと、ヒヨドリジョウゴの花にあえた。
実はやがて熟し、真紅の実となる、小鳥の好きな実でもある。
生憎の雨だが、足元はそんなにぬかるんではいないので歩きやすい。
池のほとりにはコバギボウシの花
ところどころに彼岸花も咲きだしている。
山地でよく見かけるカシワバハグマはキク科のコウヤボウキのなかま
雨で萎れたゲンノショウコのアカバナ。
ヤマホトトギスも高尾山や奥多摩の低山でよくお目にかかる秋の花だ。
自然のままの風情が保たれている奥多摩ゾーン。
ススキの花穂
その根元にはナンバンギセルが咲いている。
随分と豊作のようだ。
じっと見ていると一つ一つの花が細長い顔のように見えてくる。それぞれが物思わしげで個性的な表情を浮かべている。
雨のなかでも道がしっかりと整備されているので歩きやすい。
秋を代表する花、オミナエシ
こちらは対抗馬といえるオトコエシ。どうやら花の世界でも男の方がちょっとみすぼらしく負けている。
奥多摩の低山を歩いていて9月の中旬ごろ蔓性の白い花を見かけたら
殆どがこのセンニンソウと思って間違いない。小さな4弁の花がたくさん集まって、
まるで一つの衣装のように木の枝に纏わりついている。
仲良しのヤマトシジミのペア
秋を迎えて木の実や花の実も色づき始めた。
真紅のツリバナの実、何とも風情がある。
ヤブミョウガの白と黒の実。初めは白かった実が熟すにしたがって濃い藍色に変わっていく。
コムラサキシキブとシロシキブ
見上げると背の高い木にイイギリのオレンジ色の実がぶら下がっている。
この実も熟すにしたがって赤い色に変わっていく。
シロヤマブキの黒い実
学習園の奥には情報館があって、さまざまな展示物や図書、DVDが見られるようになっている。30分ほどの
ビデオも鑑賞できる。
おや入り口のドアの下に…
入り口のドアで迎えてくれたのはヒキガエル君。
一見不愛想に見えはするが、まるで少ない来園者を待ち構えて歓迎してくれて
いるかのように見えなくもない。思えばこの施設の在り様そのものを体現しているかのようだ。
この日は天気も悪く平日でもあったが、在園中(一時間半のあいだ)に他の来園者には一人も出会えなかった。
世間的には全く人気のないこの施設。 とはいうものの、自然の花々を生態そのままに静かな環境で見られるこの施設を
発見できたことは、私にとっては思わぬ嬉しい驚きであった。
できればいつまでも人に知られず静かな環境を保ち続けてほしい。
尤もそうしたら廃館されてしまうかもしれないが……。
おまけは情報館の前でひっそりと花を開いていたラン科の希少種マヤラン。
この辺で。