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野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

秩父の裏山にひっそりと咲くカタクリの花

2018-04-08 07:28:00 | ハイキング

 

 先月3月18日のブログで原田マハ著の「奇跡の人」について書いた、その流れで

その後も少しずつ同じ作家の本を読みだしているのだが、先日読み終えた「風のマジム」

がこれまた読後感の爽やかな傑作だった。興味がある人はここにたくさんの人の感想が

書いてあるので、参考にして貰えれば幸いだ。私的にはやはり「風の酒」に惹かれる

ものがある。作中では書名ともなっている「風のマジム」、実際のモデルとなった酒は

大東島のサトウキビから作られたグレイスラム社の「コルコル」だ。

クセの強い40度のラム酒で、さらに値段も高いという二つの障害はあるものの、

近日中にアマゾンで購入ボタンを押してしまいそうな予感がしている。

 

 この日も晴れていた。正面には山の半分を削り取られた武甲山、ここではまだ見頃の桜を

見ることが出来る。

 

 自然の花を見る公園として造られたが、今では置き去りにされたような場所がある。

散策路は崩れてしまったが、植栽された野の花は訪れる人もないまま咲き続けている。

 

 この場所を知ったのは10年前

 

 その頃はまだ、管理する人の手が入っていたようだが……

 

 自然の公園は作る手間と同じぐらいに、維持する手間がかかるのだが……。

たくさんの場所で打ち捨てられた野草園が放置されている。

 

 そんな人間の事情を知ってか知らずか、お互いが寄り添うように咲くカタクリの花

 

 かと思えばまるで仲たがいでもしたように顔を背けるカタクリ

 

 時には慈しみあう親子のように

 

 

 

 吹きすぎる風は冷たく、周りにはまだ冬の気配が色濃く残っている

 

祈りをささげているかのように

 

 

 逆光を浴びると、花弁の内側の模様が際立つ。これは蜜標といい、

虫に蜜のありかを教えるためのものらしい。

 まるでカタクリの花の中に桜の花が隠されているようだ

 

 

 同じころ咲き出したミミガタテンナンショウと

 

 ヒナスミレ

 

 これはナガバノスミレサイシンのようだ

 

 アズマイチゲの花も咲いている

 

  木は殆ど芽吹いていないが、気の早いアブラチャンやクロモジの花は既に

咲き始めていて、やわらかい春の日差しを浴びていた。

 

 

 これはキブシ

 

 この後に埼玉県民の森、名栗湖と回ったのだが、思ったより春の進みは遅く、

 未だ蕾のヤマザクラが多かった。

 

 この辺で。

 

 

 


薄紅枝垂れ桜

2018-04-05 06:50:37 | 散歩

 今年の桜は開花からあっという間に満開となった。散るときも早く三日と持たずに散り始め、

思えば随分と慌ただしい桜だった。

 

 桜(ソメイヨシノ)は散ってしまったが、そのあと野川沿いでは薄紅枝垂れ桜が見頃を迎える。

 

 野川は国分寺市に水源をもち、国分寺崖線(はけ)に湧く湧水を集めて多摩川に合流する。

 幅2,3mほどの水量のない小川で夏の渇水期には干上がってしまうほどだ。

 

 川沿いには散策路が両岸に設けられている。

 

 観光化されているわけではないので、散策しているのは殆どが近所の人。

 

 この日は天気も良くゆっくりと歩くことが出来た。川に沿って瀟洒な家が立ち並んでいる。

 

 見上げると青空と薄紅の枝垂桜が競演している。

 

 枝先にはまだ蕾も多く、見頃はもう少し先だったようだ。

 

 訪れた日は4月1日。ソメイヨシノが葉桜となった日だった。

 

三好達治に「甃(いし)のうへ」という詩があったのを思い出した。

あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音<あしおと>空にながれ

 この後はもう思い出せない

 

 薄紅枝垂れ桜はソメイヨシノとちがい、一本一本個性的な枝ぶりなのが良い。

 

対岸に渡って引き返すことにする。

 

 野川に沿って少し下ると武蔵野公園がある。ここでもたくさんの桜が見られる。

 

 

 

 

 

 

 桜を愛でた後は野川観察園へ。2週間ほど前にも来たのだが、その間に

随分と季節は進んだようだ。

アケビの花が咲いていた。大きいのが赤みの強いのが雌花。

 

 まだ4月に入ったばかりなのにオドリコソウも開花していた。

 

毎年心待ちにしているフデリンドウの花も春の日差しを一身に浴びている。

 

 ニリンソウの後に咲きだすイチリンソウ

 

 僅かだが、ヒトリシズカの花もひっそりと咲いていた。

 

見上げた先にはカエデの花

 

 確かこの辺に咲くはずとやっと探し当てたカテンソウの小さな花

 

 何とも存在感のあるムサシアブミの花はこれからといったところ

 

 最後にここ数年探しても見つけられなかったレンプクソウの花。観察園を管理している

ボランティアの人に場所を教えてもらった。

 

 レンプクソウは連福草、何とも縁起の良い名を持った花だ。

 

 ゆっくりと流れる野川。

 流れる水とはうらはらに、季節の歩みはどんどん早まっているようだ。

 

 この辺で。


城山カタクリの里の続き

2018-04-02 17:59:01 | 植物園

 今日はカタクリ以外の花をとりあげてみよう。

 イワウチワは今でも奥多摩や奥武蔵の低山で稀に見ることが出来る。

 

 分布は北海道から本州は近畿地方まで。名前に岩がつくが、林の斜面に群生する。

多年草なので生育地がわかっていると毎年野に咲く姿を見ることが出来る。

 花色は白からピンク色まで。フリルのついた花弁が何とも可憐な花だ。

 

ショウジョウバカマ。和名の猩々袴は赤紫色の花色を猩々の顔色に見立て、根生葉を

袴に見立てたものと言われている。日本各地に分布するが奥多摩ではかなり稀になっている。

 

 シュンラン

 

 ミツマタの花はもともとは黄色。これは園芸種の朱色と掛け合わせたもののようだ。

 

ミツマタ(三椏)の古名はサキクサ。早春に咲くことから先草、縁起の良い花と

 

されていたことから幸(さき)草とも呼ばれた。 コウゾと並んで和紙の原料として

も知られている。

 

 早春の水辺にさくコチャルメルソウ。花の形がチャルメラに似ていることから

 

 リュウキンカはミズバショウの咲く場所でよく見られる。このヒメリュウキンカはヨーロッパが原産の

外来種で、キンポウゲ科に属する別の種。

 

 コシノコバイモは北陸地方に咲く、スプリングエフェメラルの花の一つ。

クロユリの仲間と言われればなるほどそんな雰囲気も確かにある。

 

 ハルトラノオはタデ科の花。別名にイロハ草。

 

タツタソウは外来種。分布はロシアから中国東北部。葉の形が

糸巻きに似ていることからイトマキソウの別名もある。淡い青色の花弁は

先がとがっていて他には見られない印象的を与える。

 

 オオバキスミレ。北海道から本州の日本海側に咲く。

林の下に大群生して咲いているのは圧巻だが、この花は咲き始めたばかり。

 

 アズマシロカネソウも日本海側に多く見られるキンポウゲ科の花。

 

 やはり日本海側に多く見られるオオミスミソウ。別名ユキワリソウ。

 

 この花は色形の変化が激しく、とても同じ花とは思えないほどだ。

 

 花はいろいろなのだが、名前の由来となっている葉は三つに分かれて角張っているのは共通。

 

 ユキワリソウと同じ処でみられるキクザキイチゲ。花色は白から青紫まである。

 

 

  これは八重咲の園芸種。

 

 木の花もとりあげておこう。

アセビ(馬酔木)は早春の奥多摩の低山では至る所で見られる。名前は葉っぱにある

有毒成分から。

 

 ヒカゲツツジは関東以西の本州に咲く日本固有のツツジ。

盗掘によって奥多摩では限られた地域でしか見られなくなった。

 

 ミツバツツジ。ツツジの仲間では一番先に咲く。他の木がまだ葉もつけないうちに

鮮やかな色で春の到来を告げる。

 

アカヤシオの花も奥多摩や奥武蔵では残念ながら限られた場所でしか

見ることが出来なくなってしまった。

 

 これから先の三つの木の花は今でも山でよく見かけることが出来る。

 クロモジ

 

ミヤマシキミ

 

 キブシ

 

 締めは桜で

リンポウ桜

 

 蕊の根元に緑の五芒星が見える緑富士桜

 

 陽光桜

 

 この辺で。