野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

伊豆沼の夕景

2018-12-10 07:47:35 | 探鳥

 

 

 宮城県北部にある伊豆沼は日本最大のマガンの越冬地だ。

11月下旬の調査では伊豆沼へ飛来したマガンの数68931羽とあった。

 少し専門的になるが、環境省の渡り鳥飛来数の調査はここにある。

 

 さて電車を乗り継いで伊豆沼のある新田駅に着いたのは午後3時10分。

今夜泊まる宿に荷物を預けて、さっそく沼に向かう。

 幸い天気はいい。沼は踏切を渡った先にある。

 

 白い建物が伊豆沼農産の管理する観測所

 

 蓮の上にとまったハクセキレイが寒そうだ。

 

 観測所の前の池には餌を待つ白鳥やカモたち。

オオハクチョウやオナガガモが多い。近くの電線の上には

スズメもおこぼれにあずかろうと待ち構えている。

 

 建物の奥には広大な伊豆沼が広がる。面積は369ha 、すぐ近くにある内沼と合わせた

保護区の総面積は1450haもある。

 3時を回ったばかりのこの時間帯、まだ大半のマガンたちは餌場にいる。

沼にいるのはオオハクチョウたちとカモ類がほとんどだ。

 閑散とした伊豆沼。

 

 杭にとまっているのはカワウ。対岸に西日を浴びている建物は

宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターの建物だ。

 

 既に戻ってきている気の早いマガンの群れもいる。

 

 オオハクチョウのカップルが広々とした水面を仲睦まじげに

泳ぎ回っている。

 

 段々と日差しが弱く、暗くなってきた。

 

 マガンたちの鳴きかわす声が大きくなってきた。見上げると空は塒入りの

マガンで埋め尽くされようとしている。

 動画ファイルを貼り付けようとしたら、ブログの形式が変わったのか中々できない。

日本の音風景100選にも選ばれている音風景はユーチューブでもたくさんあるので、

そちらをどうぞ、 一例はこれ

 

 

 v字型のきれいな編隊

 

 絶えることがなく次から次へと沼を目指してやってくる。

 

 方角を少し変えただけで空の色合いが移り変わっていくのが面白い。

 

 

 沼の上空まで来ると編隊は急に乱れ、マガンたちは錐揉み状に

水面に落下していく。

 

 いつの間にか空も湖面もマガンの群れで覆いつくされていた。

 

 

 風が止み、野火の煙が緩やかに湖面の方へ流れていった。

 

 

 

 塒入りが一頻り終わると先ほどまでの喧騒が、幻だったかのように

周囲は静けさを取り戻す。

 

 

 

 

 陽が落ちた。時折立てる、鳥たちの鳴きかわす声に暫く聞き入った。

夜も暮れていき、夜気がすっかり冷たくなった。

 そろそろ宿に帰ることにしよう

 

 この辺で。


秋ヶ瀬彩湖を歩く

2018-12-06 10:50:58 | 散歩

 昨晩 2泊3日の東北探鳥旅行から帰ってきた。仙台の先の伊豆沼から

鶴岡の下池上池、新潟の瓢湖と慌ただしく歩き回った。

 4日間新幹線を含めて乗り放題のJR東日本全線 大人の休日倶楽部パス(東日本)

利用して行ってきたのだが、この切符には以下の限定条件が付く。①会員限定で

あること(年会費ミドル2575円 ジパング4285円) ②使えるのは閑散期の

年3回10日間程度 ③発売数は今回は3万枚 となっている。 

それにしても新幹線の指定席も6回まで使え。かなりお得な切符であることは

間違いない。尤も50歳以上でないと会員にはなれないのだが……。

 勿論良いこと尽くめではない。行った先々で出会う傲岸不遜なパス使用者の

非常識な振る舞いにはかなりの我慢が必要となる。安売りセールでもあるように

 安易なお得感は周囲への礼儀や気配りを駆逐するようだ。

人の振り見て我が振り直せではないが、そういった意味で教わることの多い

旅でもあった。

 

 さて一週間前になるが、風もなく天気も良かったので荒川のほとり彩湖へ

 冬鳥が来てはいないかと出かけてきた。

 湖上に羽を休めているのはホシハジロがほとんど、いつもは多いキンクロハジロは

 今のところ少ない。

 

 

 ちょっと離れたところにいるのは♂♀とも地味なオカヨシガモ。

 

 近くでせわしなく動き回っているのはオオバンだ。

 

 遠くのブイにはユリカモメが休んでいる。

 

 ユリカモメは冬鳥として日本全国の海岸、干潟、河口に渡来する。

 頬の黒斑が特徴の尤もお馴染みのカモメだ。

 

 古くは都鳥と呼ばれた。海から遠い埼玉県にある彩湖でも一番よく見かける

内陸部にも多いので別名「入り江カモメ」ともいわれるそうだ。

 

 ちょっと近づいても人馴れしていて逃げようとしない。でもそっぽは向かれた。

 

 少し離れたところにいた美人顔のユリカモメ

 

 飛行シーン。

 

着水

 

 ハクセキレイが一羽だけブイにやってきた、

 

 二羽の組体操

 

 長い黒白、ちゃんとすみ分けている。黒いのはカワウだ。

 

 短い黒白黒。こちらの黒はオオバン。

 

 ここにはカンムリカイツブリもよくやって来る。

 

 警戒心が強いのでなかなか岸には寄ってくれない。

 

 正面から見ると結構きつい顔つきだ。

 

 離れて見つめあっている? それとも縄張り争い?

 

 ちょっと小柄な、翅の白いハジロカイツブリも少数だがいる。

 

 岸で休んでいたら、頭上を大きなアオサギが飛んで行った。

 

 芝生に今季初お目見えのツグミが一羽だけ、退屈そうにしていた。

  風もなく、まさに小春日和のいい日だった。

 この辺で。

 

 

 

 

 


晩秋の多摩森林科学園

2018-12-01 19:19:47 | 散歩

 桜の季節は大変な人出となるが、それ以外には訪れる人も少なく

ゆったりと自然に触れ合える……そこが森林科学園のいいところだ。

 このSNSの発達した時代では、取り上げるほどの魅力のないところが

 逆に孤独の時間を楽しむ一番の条件となっている。

 

 鳥の世界では誰かが珍鳥到来の記事を発信するとたちまち、沢山の人が

押し寄せる。。結果集まってきた人込みで驚いた珍鳥は飛び去ってしまう。

こんなことは日常茶飯事のように繰り返されている。

 自然を歩いていると思わぬ僥倖にであう事が稀にある。でもそれは

その場限りのことで、反復することはない。

 「分かち合う」ことはそもそもできないし、それを共有しようとする社会はどうも

健全でないように思う。究極の楽しみは「弧に尽きる」と私は思ってきたし

、これからもそれは変わることはない。

 

 桜の時期を除くと高尾にある多摩森林科学園は存在すら忘れられひっそりとしている。

 

 紅葉が思ったより素晴らしかった。

 

 樹高30mを超える背の高い木々が多い。

 

 

 ツタウルシ

 

 燃えるような楓の黄葉

 

 

 

 12月の声を聴くこの時期だが、小春日の中でいまだに生き抜いている虫たちも多い。

左上からオツネントンボ、アキアカネ、アブの仲間、フユシャクと思われる。

 

 バッタやアブやシャクトリムシ、通称バナナムシといわれるツマグロオオヨコバイなど

 

 この時季の楽しみはアサギマダラの卵と幼虫。食草となっている

キジョランの虫に食われた葉を丹念に裏返して探す。

 

  やっと卵を見つけた。

 

 今年はダメかとあきらめかけた時、やっと芋虫にも出会えた。

 

 

 葉を裏返され日が当たったので驚いたのか怒っているのか、盛んに動き回っていた。

 

 もうひとつ、この時期のお楽しみは冬越しするチョウの観察。

常緑樹の上で日向ぼっこするムラサキシジミを見つけた。

 

 表羽をたたんでいるとガのように地味なのだが……

 

 羽を広げると、綺麗な紫色が目立つ。30㎜程のチョウだ。

 

 

 冬を迎えるこの時期は赤い実をつける植物が多い。

マンリョウ

 

フユイチゴ

 

 ヒヨドリジョウゴ

 

 ヤブコウジ

 

 サネカズラ

 

 これはオオバタンキリマメ

 

 莢は赤いが中の実は黒い

 

 ムササキシキブの赤紫の実

 

 

 これは珍しい、ケンポナシの実

 

 日当たりの良い斜面を歩いていたら、季節外れに咲くタチツボスミレを見つけた。

 

 これも返り咲きしたオトコヨウゾメの花

 

 リンドウはこの時期に咲いていても可笑しくないが、

 

 アキノタムラソウやアジサイなどはとうに枯れてしまっている花だ。

 

 

 帰り際。。ジョウビタキ♂が見送ってくれた。まもなく来る冬鳥たちが乱舞する

季節が待ち遠しい。

 

 この辺で。