家を新築することになってから、業者からダイレクトメール(DM)がよく来るようになった。家具、照明設備、カーテン、外構工事・・・。
私は住宅展示場などで氏名を書いた覚えはない。建築確認申請を出して以降、届くようになった気がする(当局に出した建築確認申請のデータは個人情報保護法上、どのような扱いになっているのだろうか)。
まあ、いまのところそれほど迷惑ということもなく、ヒマがあればDMを読んだりもする。
そんな中で・・・。
つい先日届いた外構業者のDMに、物置の商品チラシが入っていた。そこにこんなコピーがあった。
本物を超える質感
レンガ部や木部は、ディズニーランドなどで使われている本物そっくりの強化プラスチック製です。とても強い素材で、お手入れ不要のノーメンテナンスです。
「谷中M類栖」のm-louisさんには私のポジティヴリーディングの手腕を評価(?)していただいているが、今回はたったこれだけの文章について、かなり辛い読みをさせてもらう。
いきなり、製品の根幹をなすレンガと木がニセモノ(フェイク)であることを告知というか、むしろアピールしていることに複雑な思い。
「本物を超える質感」という見出しだけでいろんなことを考えさせる。
まず、ウソだということ。触ればニセモノであることはすぐわかる。「質感」ではなく、せいぜい「見た目」であろう。
百歩譲って、その見た目が質感(のようなもの)をもたらしているとしたら、新品の本物より、経年変化したように見せる演出のせいだ。
しかしその演出は、偽レンガや偽木に付けられた細かなニセ傷やニセの色褪せによってなされている。
何もかもニセモノという事実にげんなりする。傷だの、色褪せだのは、そのモノが家族とともに過ごすことによって纏う、歴史ともいえるもの。そこに、どこかの誰かの家にあったレンガや扉からコピーされたものが置かれる。結果、家の歴史や風貌にまでニセモノ感を漂わせることになるのだ。
ディズニーランドの建造物のように、フィクションの世界、かつ、たまに目にするものであるならば、そんなニセモノの利用もさほど問題ではない(私は好きではないが)。しかし、毎日暮らす自分の家に導入しようというのだ。いつまで経っても、自分が刻んだわけでもない傷(のコピー)がついた、時が止まったような物置。
そして、通常なら、もし住人がうっかり傷をつけても、「味」につながることがあるが、ニセモノの場合、本物のレンガや木ではありえない変な傷になり、醜さにしかならない。それでいいのだろうか。
モノの経年変化をゆっくり楽しませることもなく、刹那的にニセの経年変化つきのモノを提供する。それでは生活・暮らしが虚ろになるとは思わないのだろうか。私が考える家の「完成」とは程遠い発想でまったく賛同できない。
3年も経つと、その場所の日光の当たり方からして不自然な色褪せであることがわかってくる。何回も訪問する人にはやがて、傷や色褪せも認知されてくる。たまにしか家にこない、関係が希薄な人々にはニセモノであることはばれにくいが、むしろばれてほしくない親しい人々には早晩ばれる。そしてニセモノだとわかると、何も言わずともハリボテをみるような視線に変化していくことだろう。
結局ニセモノを使いつづけるということは、いずれ、持ち主がそのジャンルのモノに対して薄っぺらな認識しかないことをさらけ出すことになるのだ。
高級な本物をコピーしたニセモノより、安い本物の方がましだと思う。私は家に限らずニセモノをやむなく使うときは目立たないように使うことにしている(あるいはニセモノ宣言をしてから使う)。しかし、この商品は「おしゃれ」であることを強調し、目立つ位置に置けと言わんばかりの推奨文付き。
チラシの裏面に載せられた「消費者の喜びの声」を、むなしい気分で読むことになった。
ノーメンテナンスの問題点についても言いたいことはあるが、長くなったので別の機会に。
<オマケ>
業者にいいたいこと。
DMを受け取るにあたって、個人データの不正入手懸念のある業者からは何も購入しないと決めている消費者もいることを忘れないように。そして無差別DM配布によって、こんな時代遅れのカタブツ施主のネタにされるリスクもあることを・・・。
私は住宅展示場などで氏名を書いた覚えはない。建築確認申請を出して以降、届くようになった気がする(当局に出した建築確認申請のデータは個人情報保護法上、どのような扱いになっているのだろうか)。
まあ、いまのところそれほど迷惑ということもなく、ヒマがあればDMを読んだりもする。
そんな中で・・・。
つい先日届いた外構業者のDMに、物置の商品チラシが入っていた。そこにこんなコピーがあった。
本物を超える質感
レンガ部や木部は、ディズニーランドなどで使われている本物そっくりの強化プラスチック製です。とても強い素材で、お手入れ不要のノーメンテナンスです。
「谷中M類栖」のm-louisさんには私のポジティヴリーディングの手腕を評価(?)していただいているが、今回はたったこれだけの文章について、かなり辛い読みをさせてもらう。
いきなり、製品の根幹をなすレンガと木がニセモノ(フェイク)であることを告知というか、むしろアピールしていることに複雑な思い。
「本物を超える質感」という見出しだけでいろんなことを考えさせる。
まず、ウソだということ。触ればニセモノであることはすぐわかる。「質感」ではなく、せいぜい「見た目」であろう。
百歩譲って、その見た目が質感(のようなもの)をもたらしているとしたら、新品の本物より、経年変化したように見せる演出のせいだ。
しかしその演出は、偽レンガや偽木に付けられた細かなニセ傷やニセの色褪せによってなされている。
何もかもニセモノという事実にげんなりする。傷だの、色褪せだのは、そのモノが家族とともに過ごすことによって纏う、歴史ともいえるもの。そこに、どこかの誰かの家にあったレンガや扉からコピーされたものが置かれる。結果、家の歴史や風貌にまでニセモノ感を漂わせることになるのだ。
ディズニーランドの建造物のように、フィクションの世界、かつ、たまに目にするものであるならば、そんなニセモノの利用もさほど問題ではない(私は好きではないが)。しかし、毎日暮らす自分の家に導入しようというのだ。いつまで経っても、自分が刻んだわけでもない傷(のコピー)がついた、時が止まったような物置。
そして、通常なら、もし住人がうっかり傷をつけても、「味」につながることがあるが、ニセモノの場合、本物のレンガや木ではありえない変な傷になり、醜さにしかならない。それでいいのだろうか。
モノの経年変化をゆっくり楽しませることもなく、刹那的にニセの経年変化つきのモノを提供する。それでは生活・暮らしが虚ろになるとは思わないのだろうか。私が考える家の「完成」とは程遠い発想でまったく賛同できない。
3年も経つと、その場所の日光の当たり方からして不自然な色褪せであることがわかってくる。何回も訪問する人にはやがて、傷や色褪せも認知されてくる。たまにしか家にこない、関係が希薄な人々にはニセモノであることはばれにくいが、むしろばれてほしくない親しい人々には早晩ばれる。そしてニセモノだとわかると、何も言わずともハリボテをみるような視線に変化していくことだろう。
結局ニセモノを使いつづけるということは、いずれ、持ち主がそのジャンルのモノに対して薄っぺらな認識しかないことをさらけ出すことになるのだ。
高級な本物をコピーしたニセモノより、安い本物の方がましだと思う。私は家に限らずニセモノをやむなく使うときは目立たないように使うことにしている(あるいはニセモノ宣言をしてから使う)。しかし、この商品は「おしゃれ」であることを強調し、目立つ位置に置けと言わんばかりの推奨文付き。
チラシの裏面に載せられた「消費者の喜びの声」を、むなしい気分で読むことになった。
ノーメンテナンスの問題点についても言いたいことはあるが、長くなったので別の機会に。
<オマケ>
業者にいいたいこと。
DMを受け取るにあたって、個人データの不正入手懸念のある業者からは何も購入しないと決めている消費者もいることを忘れないように。そして無差別DM配布によって、こんな時代遅れのカタブツ施主のネタにされるリスクもあることを・・・。
やっぱりできることならばニセモノは使いたくない。と思ってはいても、ふと気がつくと
ビニールクロス(ビニールなのかクロス「織物」なのか)、レンガタイル(レンガなのかタイルなのか)、人口大理石、テラコッタ風タイル、プリント合板、etc・・・。
できれば本物を使いたい、でも本物は反ったり色が変わったりする。
さらにコストのことを考えるとやっぱりニセモノを使わざるを得ない。
気がつくと自分の周りはニセモノばかり。施主BLOGと称して企業が書いていそうな臭いがするものまで。
現実か、バーチャルか?
ニセモノでも本物でも見る人、使う人が満足していればそれでいいのか?
うん?なんだか話がでかくなりそうな予感が
・・・。
今回のは、「煽ってる-!」と一人つっこみしてしまいました。
DM、読まずに捨ててました、私。
でも、DMもネタにして、更に広がりそうですよね。
うちも、建築地は千葉で住所は静岡であるにもかかわらず、千葉の業者からたくさんDMが来ました。なぜか電話もありました。
でも僕は、上棟のときのお弁当を、DMをくれた業者に頼んでしまったんですよね~。だから非難できないです。
「本物を超える質感」、garaikaさんの書き方がお上手なもので、爆笑してしまいました。
うーむ、ニセモノの定義をもう少し厳密にすべきだったかも。
私にとってはビニールクロスはビニールクロスというもの、レンガタイルはレンガタイルというもの、です。
ビニールはビニールだし、レンガタイルはレンガでもタイルでもあるし・・・。しかし、かのブツはレンガや木の顔をしたFRPで、しかも、はっきり本物の表面をコピーして、本物のような顔をしている。
そういう意味ではプリント合板は私にとってはニセモノかな?
いや、分類とはむずかしいものです。
>使う人が満足すれば・・・
↑この面、実は言いたいこと多々あり。歴史込みで出来上がったモノを刹那的に調達する風潮を、私は評価できないのです。やはりデカイ話か(笑)。
ノアノアさん。
DMはひまつぶしくらいにはなるかも。
今回、私は業者を煽りたいという意識がありました(笑)。
役所で閲覧、そんなところだとは思っていました。しかし、その閲覧はそもそも営業ツールとして利用するためにあるわけではないですよね。
個人情報保護の思想からは、はずれた使い方をしているわけで、少しは後ろめたさを意識してもらいたいものです。
なお、ココは笑って読むのが正しい読み方です。T.Fさんは正しい。
「ニセモノであることをむしろ強調してる」
本当にいろいろ考えてしまいますね。
その業者にとったら、一般の客は、正確にレンガや木のよさを理解してるわけではないというか、たいして知らないはずだっていう、読みがあるんでしょうね。取り扱いが多少面倒なレンガや木のよさを強調するよりも、最新の技術でノーメンテにしたほうが支持されるはずだという読みがあるんでしょうね。
それを見る客も、それはいい!というか、なんとなくいいのかな、とおもう方も今の世の中では多いんじゃないかとおもいます。最新の技術っていうのは(ディズニーランドで権威付けするのも笑ってしまいますが)、それだけで今一番説得力のある言葉なんだと思います。
ちなみに最近僕が弱い言葉は、1000年以上の歴史にささえられた・・・っていう感じの言葉で、それだけで信用したくなります。
そういう業者とそういう消費者、そんなニセモノでつながった人々ばかりの世の中になったら憂鬱でしょ。エントリのタイトルにはそんな意をこめたんです。
ただ、私がそういうのに釣られる人だと業者が思って送ってきたとなると、ムッとしたりもして(笑)。
「1000年以上の歴史にささえられた」って商品コピーなら私も釣られたかも(笑)。
わがやにもそれはそれはたくさんのDMと電話が飛び込んできました。多かったのは外構屋さんとカーテン屋さん。それからフローリングのコーティング。「すべて建築家にトータルでお任せしてますので・・」といって終了でしたが。
個人情報の保護という観点ではどうなんでしょうね。登記簿なんかも自由にみられますが、たとえば届け出制にして商業利用はだめよ、とか。まあそれはそれで色々と問題があるんでしょうが。また仮にそういう規制をしても、仕入れる人は仕入れるでしょうし。
しかし、うざかったです。DMはまだしも電話は勘弁して欲しい。。
企業努力としては熱心さは認めるけど、やり方はほめられたものではないですよね。
そもそも違う目的で閲覧が許されているものを、その精神に反する利用をしている。こういう倫理観の欠如が企業への不信感を招くことも意識してほしいです、ホント。
我が家は電話は少ないです。単身赴任で業者からは遠い場所にいるし、一人暮らしとあって日中は家におらず、電話がつながらないせいかも知れません。