夢を見た。檀蜜がわしの愛人であり、小料理屋をやっておる。和服に割烹着でL字型の総桧のカウンター十席のお客を接待しておるが、わしにはそっけない。一番隅の席で一人酒のわしは、肉体関係を持った男女の淫靡な視線を、他の客に悟られないように檀蜜と交わしながら、満足して猪口を口に運ぶ。
お客の一人に50過ぎて独身者のN氏がいて、女将(檀蜜)に一番入れ込み、真剣に結婚したいと望んでいて、時々は同じ常連のわしにも相談を持ち掛けるが「女将は身持ちが堅いから、なかなか落ちないね、頑張れ~」とか言いつつ腹の内では「けけけ、わしの妾じゃ」とか思ったりして意地悪ね。
あまり長居はせず(関係がばれないように)「そろそろ帰ります。カミさん怖いね」で店を出て右に2回曲がれば本宅。コの字のようなコースには秘密が有って、我が住み家、鰻のように細長く建物玄関は本宅。裏口は小料理屋つまり二つの平行する通りに一見背中合わせのように、建っているが実はひとつの建物なのです。うけけ。小料理屋の奥から本宅へ行けるのだけど、敢て遠回りはアリバイ工作に不可欠なのです。これって江戸川乱歩のしょうもないトリックだね。