那覇の外れ、寂れた地域だけど、この付近には珍しく大型(40名収容)のカラオケスナック「浮浪雲」。週末で地元住人だけの常連客で賑わう。ただ一組(5人組、地元民に誘われて初来店中)のよそ者有。
大城正信(63才)土建会社代表者。カラオケ命。弱点は薄ら禿げ。得意技「口説き」
う~ん、さあ、この店のカラオケ帝王、ふふ、俺の事だが今夜もこの俺様の歌声でホステス、女どもメロメロにして、同席の同業者、部下、居合わせた全部の客、ひれ伏せよ、うひひ、俺が歌うと次に歌う奴尻込みして、なかなか詠わないから、ふ、最後はワンマンショーってか?さあ、歌うぞ~海わよ~海は~、どうよ、この拍手、間奏中はにこやかに、これ、明美ちゃん、そんんなあ濡れた瞳で俺を見つめおって、きゃうぃい~な、後でくねくねしたりして、ああ、いかんいかん、ここはクールに軽く微笑みつつ2番にとつにゅーけけけけ~。さあ、2番始まり~。
我如古金次郎(65才)元公務員土木関連部署。カラオケは遊び程度。超真面目だが酔うとトッポジージョの物真似を延々と繰り返す悪癖がある。3軒目で酔っています。わはは。
あれ~むこうの席で歌っているのは大城君じゃあないかいな。あいつ何か歌手気取りで歌っとるな~、私が現役の頃、だいぶ便宜を図ってやったりして。お返しの接待、ほぼ居酒屋からカラオケコース、最後は接待する側の奴が自己満足で終い。この様子じゃあ、今も変わらないみたいね、ここは、これ、先輩としての威厳を見せてと。う~2番から乱入してみますね。皆様。うひひ。
さあ、2番の始まりです。う~、
僕、トッポジージョだよ~皆と歌います~。
あれれれ、誰だ勝手に歌う奴は、それも鼠小僧トッポジージョの物真似って・・・死なす。
はい、大城君、お久しぶりだじょー我如古で~す。元気?
うぐぐ、先輩、うわ、引退したとはいえ、まだ部下が現役。う~逆らえないし、悔しいけど。
一緒に歌いましょうね~
はい(ぐすん)
そういえば、ハゲ治ったか~?見せてみ~、あい、治らんね~ぎゃははは~。まあ、いいさ、歌おうね~。
あなたを待てば~カメがふる~。YOU楽勝~?であいたたた~。
かくしてローカル演歌の帝王VSトッポジージョの無理やりディエットショーが始まり、大城帝王真面目に2枚目唱法で頑張れば頑張るほど鼠小僧はチューチューお茶らけまくり、店内「笑いのツボ」にはまり大爆笑
30分後、3分の2死んだ大城君と大受けに満面の笑みで手を振りまくる我如古先輩の対照的な姿に
感動して灰皿を前歯で噛み切ろうとしている、自分を見つけ涙が止まりませんでした。
カラオケの世界にも社会の上下関係ありますね。
注意 この記事は事実を基に書きましたが名前はあくまで仮名です。
よんでくれてありがとうございます。
漬物ど~ぞ。