母の話
大正11年生まれの母が子供の頃の記憶 昭和初期の旧久志村(現名護市)嘉陽 二見美童の里のさらに北の里の集落で生まれ 美しい海岸線沿いのおだやかな生活 一つだけえたいの知れないことは 沖合の無人島に灯る不思議な炎 大人たちはいねん火と呼びそのいわれを語ることなく ただ忌み嫌いその島には誰も近づかない 一人の例外を除いて 母の父は年に一度決まった時期 真夜中に船を出す。いねん火の島へ 家族の不安を背負い、それでも明け方には 船いっぱいの伊勢海老や魚を持ち帰る 何年か後に戦争が始まり戦争が終わり 生活が落ち着いた頃、ふと いねん火を思った母は もう一度見たかったのだが、 戦後二度といねん火が灯ることは無かった
by チャーリーHACHI 次回は怪談だす。
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