プロフィールにあるように、大の猫好きである。
一日中猫と過ごしていても、飽きることはない。
座椅子で本を読んでいると、そっと寄ってきて膝に飛び乗りゴロ
ゴロ喉を鳴らす。
わざと知らんぷりをしていると、「相手をしろ!」と本を小突く。
そうなったら私の負けで「はいはい」と、喉や首を撫でてやる。
それで彼女は満足、膝の上で長々と伸びて1時間ほど昼寝をあ
そばします。
こうして至福の午後を共有して、私もシェスタを楽しむのだ。
そんなかけがえのない猫なのに、なんと酷いことわざや比喩があ
るものよ。
ざっと思いつくままに書き出してもこれだけある。
*猫に小判
貴重なものを与えても価値が分からないことの例えだが、なんで
「猫」なのか。
もっとも豚に真珠、馬の耳に念仏、馬耳東風と言ったのもあるから、
猫だけが貶められているのではないが。
それにしても人間の愚かさを動物に例えるなんて・・・
人間はそんなに上等、偉いのか。
*ネコババ
拾ったものを隠して自分のものにすること。
猫は自分の汚物に砂をかけて隠すのは、清潔感の表れなのに、
人間のセコい犯罪に例えるとは!
*猫は3年飼っても3日で恩を忘れる
猫は恩知らずか?
そうではない、人間に媚びへつらわない誇り高い本能の故の性
癖なのだ。
尻尾を振りまくって媚びる犬族とは一味、ふた味も違うと心得よ。
*化け猫
怪談には必ず登場するが、どうして?
確かに暗闇で光る眼で睨まれると不気味だけど、何も襲ったり取
って食おうと思っているわけじゃない。
夜間に犬と出合った方が恐いのに、だれも「化け犬」とは言わない。
*泥棒猫
人の旦那を寝取った女に浴びせる言葉として…なんで「猫」なのか!
台所からイワシ1匹を失敬するささやかな習性が、人の旦那を盗っ
たごとく比喩されるほど重大なことなのか。
ほかに猫に関するマイナス・イメージの言葉として
・猫またぎ(猫も食べないまずい魚)
・猫まんま(ご飯に味噌汁をぶっかけた粗末な食事)
・猫背(姿勢が悪い例え)
・猫かぶり(本性を隠しておとなしくすること)…
・猫なで声(媚びるような声…これも感じ良くありません)…などなど
「猫」に関する言葉が多くあるのには、それだけ猫はミステリアスな
存在と言うことなのかもしれないが。
最後に猫の名誉のために、とっておきの格言を一つ。
「惨めさから抜け出す慰めは2つある。音楽と猫だ」
(アルベルト・シュバイツアー)
<旅の1枚>
モンゴルの少年
