29日(火)9時にカナがドンと布団の上に飛び乗ってきたので、慌てて起きる。
「いつまで寝とんのや」と起こしに来てくれたのだろう。少し風が冷たいが、春
の季節であることは疑いない。
読書していると、こんな件(くだり)に出逢って、猫好きはついニンマリする。
猫も本を読めると思うかい?
いや、からかっちゃいないよ、マジな話さ。
ほら、あいつらって、時々すごく人間臭く感じるときがあるじゃないか。
どう考えても笑ってるとしか思えない声を絶妙なタイミングで出したり、
窓越しに沈んでいく夕陽をじっと眺めていたり・・・それこそ人が乗り移
っているか、さもなきゃ人間並みの知能と感情を持っているんじゃないか
って思えることがあるだろ。
アンソロジー「本からはじまる物語」(角川文庫)から
朱川湊人(しゅかわ みなと)さんのショートショート「読書家ロップ」。飼
い主(僕)の猫のロップは、黄な粉の中を転がりまくったみたいに全身がぼや
けた茶色の毛皮に包まれている。ロップはロシア語の古本に興味を示し、臭い
をかいだりしているうちにページを開けろ、と催促するしぐさに面白がって適
当に開いてやると、置物みたいに座って活字に目を近づけたり遠ざけたりして
いる。そのうち自分でページを開けるようになって・・・そんなロップの様子
がわずか8ページの掌編の中で展開され、猫ファンを楽しませてくれるのだ。
カナも、「窓越しに沈んいく夕陽や庭に降りてくるスズメをじっと眺めている」
ことがあるが、「何を思っているの」と問いかけて見たくなる。
30日(水)8時50分に起きる。窓を開けると昨日のような花曇りは幾分薄
まり、陽光が眩しく庭を照らしている。これなら満開の桜もきれいに見えるで
しょう。
学校勤めの娘は、今日から春休み。期間は1週間と短いが、その間、私は家事
から解放される。溜まっている夏の花の種蒔き、育苗に取り掛かろうと思って
いる。と言っても以前ほど多くはなく、種苗店から苗の取り寄せも増えている
から、楽だ。
芥川龍之介の自殺の理由「ぼんやりとした不安」と同じものではないかも知ら
ないが、最近、何となく不安感に襲われる。連日ウクライナ危機を知らされ、
生物・化学兵器や核使用とか果ては第3次世界大戦の可能性までささやかれて
重苦しい雰囲気が世界を覆い始めたからだろうか。プーチンはそこまで愚かじ
ゃないと信じたいが、歴史の歯車というものはとてつもなく巨大で、人間の思
惑など知らぬげに回り始め、気が付いたら後戻りできないところへ転がってい
ることが、これまでの歴史では度々あった。
「ぼんやりとした不安」で鬱々している世界を、何とか明るく開放しないとい
けない。「不安」がいつ爆発するか分からない不気味さを秘めている。
ウクライナとロシアがトルコで何度目かの対面交渉。いくつかの進展があった
と報じられているが、希望はあるのか。それには先に手を出した(侵略した)
ロシアがまず矛(ほこ)を収めることだ。
遠近のある風景(蔵出し写真)
<京 都>
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