*天皇陛下のお言葉
すでに80歳を越え幸いに健康であるとは申せ、次第に身体の
衰えを考慮するとき、これまでのように全身全霊をもって象徴の
務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じられます。
(中略)
天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでに
も見られたように、社会は停滞し、国民の暮らしに様々な影響が
及ぶことが懸念されます。
(以下略)
「お言葉」を述べられる天皇陛下

天皇陛下が「退位」に関して「お言葉」を述べられた平成30年8月8
日を機に、世の中は新しい元号へうねりとなって動き始めました。
天皇陛下ご自身、身を引くことで新しい時代の扉をお開けになったの
です。
お言葉にあるように「社会は停滞」することなく、国民は新元号を歓迎
し受け入れた。
「開かれた皇室」を目指された天皇だからこそ、の英断でしょう。
明日5月1日から、新しい元号「令和」の幕開けです。
新元号がこれほど希望をもって歓迎されることは、初めてではないでしょ
うか。
昭和から平成に変わった時を見てもわかるように、これまでは天皇の
崩御で新しい元号に替わった。
明治以前には生前退位は数例しかなく、他には疫病など不吉な出来事
から「験直し(げんなおし)」で改元したこともあったが…
平成の場合は昭和天皇が崩御され、国民は喪に服した中での改元だった。
当時、新聞社の編集局で紙面製作の最前線(整理部)にいて、天皇崩御と
改元の、二つの未曽有の事態に直面したことを鮮明に覚えている。
未明の緊急連絡で昭和天皇が崩御されたことを知らされ、暗いうち
に自宅を出て編集局へ駆け込んだ。
崩御の号外と新元号の夕刊報道…編集局内はピリピリ緊張した。
夕刊に「どうしても新元号を叩き込みたい」。
発表はどんな形か…かたずを飲んで待つ。
夕刊締め切り時間が刻々と過ぎて行く。
配達を待つ販売店にも無理を言って待ってもらう。
局の全員、TV画面を食い入るように見つめる。
午後1時過ぎたころ、小渕官房長官が白いボードを持って現れた。
さっと掲げた」ボードには「平成」と大きく書かれていた!
新元号は「へいせい」だ。
局内はどよめいた・・・
「天皇陛下 崩御」
「新元号は平成」
大急ぎで夕刊1面に叩き込む。
通常より大幅に遅れて輪転機が唸りを挙げて回る。
2つの大見出しが踊った紙面が、次々と吐き出された。
「歴史の1ページを刻む瞬間に立ち会っている」と、身を震わせたものだ。
天皇崩御と言う重い事実の前に祝賀気分はなかったが、新しい時代が拓け
た感慨を、深く味わった。
新聞社生活の中で、最も印象に残る瞬間だった。
今回の「令和」誕生は、天皇の「退位」によるも。
平成の時は「崩御」の重い事実の前に、祝福の声を上げる雰囲気ではなかっ
ただけに、清々しい令和時代のスタートだ。
初春令月、気淑風和・・・
「美しく心を寄せ合い、文化が生まれ育つ」
美しい5月に幕開けた「令和」に、幸あれ!
<今日の1枚>
アラスカ上空で
