<レアアース(希土類)を含むレアメタル(希少金属)はゆでガエルか(注1)>
<精錬工場の多角化政策が必須か>
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政府が月内にも、レアアース(希土類)を含むレアメタル(希少金属)の備蓄強化を決めることが14日、分かった。近く策定する国際資源戦略に基づき、一律で60日分としていた備蓄日数を種類によっては180日分程度に延ばす。日本企業による権益の確保も法改正で後押しする。電気自動車(EV)の普及などで需要が拡大する見通しだが、中国からの輸入が多く、新型コロナウイルスの感染拡大による調達リスクも高まっている。資源獲得競争激化を見据え、安定供給確保と中国依存脱却を進める。
レアメタルの一種であるコバルトはコンゴが最大の産地だが、精錬工場の多くは中国にあり、能力ベースで6割を占める。レアアースも中国依存度は58%だが、政府は5年後をメドに50%以下に引き下げたい考えだ。
レアアースをめぐっては、平成22年に日本が尖閣諸島を国有化したことで緊張が高まり、中国が輸出を規制した経緯がある。ミサイルなどの兵器製造にも使われるため、米国との貿易摩擦でも中国が輸出制限を検討する動きを見せたとされる。新型コロナの影響で精錬や出荷が停滞する懸念も指摘されており、中国依存リスクは依然、大きい。
(注1)中国依存のドイツが味わう「ゆでガエル」の恐怖