<加州ギャビン・ニューサム知事は新型ウイルスから州民を守るために「グランド・プリンセス」サンフラシスコ寄港拒否か>
<大統領府ペンス副大統領サンフランシスコ湾内の商用でない港(おそらく軍港と思われる)に寄港させ、そこで乗客、乗員全員の検査を実施すると発表>
<先ず、自治体首長判断決定実施、自治体過負荷判断後、連邦政府大統領府フェイルセイフバックアップ体制が整備か>
< 「ダイヤモンド・プリンセス」失敗からの教訓、後知恵:
自治体首長は、中国等感染源経由新型コロナウイルス等汚染容疑客船に、貨物船専用ふ頭「横須賀港、、、、入港」への接岸を可能とする海空陸玄関口運航行政指導法整備か>
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日本政府が新型コロナウイルス感染阻止に失敗した(?)シンボルになってしまった豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。船内で感染し、その後死亡した人は7人になった(日本時間3月7日午後現在)。
ところが、その米国も日本のウイルス対策を「対岸の火事」などとは言えなくなってきた。
「ダイヤモンド・プリンセス」の姉妹船、「グランド・プリンセス」が「感染の温床」になり出したからだ。
この豪華クルーズ船はサンフランシスコとメキシコ、ハワイを巡航している。「感染の温床」と嘲笑っていた日本や中国とは全く無関係な米太平洋岸地域だ。
メキシコ太平洋岸への1週間の旅を終え、サンフランシスコに戻り、そこからハワイに向かおうとしていた矢先、メキシコ巡航に参加していた乗客2人が感染していたことが判明したのだ。
なお、メキシコ巡航を終え、その後続けてハワイクルーズに参加していた乗客は62人いたという。
サンフランシスコで下船した71歳の男性は入院直後に死亡した。もう1人も目下入院中。危篤状態だという。
メキシコに寄港した時にメキシコ人から感染した可能性が大だ。メキシコではすでに5人が感染が確認されている。
ハワイに向かう途中、感染者が出たことを受けて同船は乗客、乗員の感染の有無をチェックするためサンフランシスコに引き返すことになった。
ところが寄港に待ったのをかけたのは、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(52)*1だ。
*1=同知事はサンフランシスコ市長、州副知事を歴任したハンサムでカリスマ性のある民主党のホープ。いずれ大統領候補になるとさえ言われている。
ニューサム知事は記者会見でこう発言した。
「新型ウイルスから州民を守るために船をサンフランシスコの港に接岸させることはできない」(注1)
「乗客(2422人)、乗組員(1111人)のうち、感染の兆しのある乗客、乗員を検査する。結果が出るまで同船は沖合に留まるよう命ずる」
知事の発表を受けて州保健機関とCDCが検査器具をヘリコプターで運搬し、係官が検査し、データをリッチモンドの専門施設でチェックした。
その結果が3月7日に出た。
検査した乗客、乗員46人のうち、21人が感染していることが確認されたのだ。21人の内訳は乗客2人、乗員は19人だった。
この19人をこれからどうするのか。
3月6日に開かれた上院国土安全委員会でハッサン議員と国土安全省のケネス・クチネリ副長官との間でこんなやりとりがあった。
ハッサン議員:「陽性反応が出れば、全員を一緒に乗船させておくのは不適切ではないか」
クチネリ副長官:「一度に検疫を行う能力に限界がある。設備対応そのものにも限界がある」
感染者を直ちに下船させ、隔離するのは緊急の課題だ。だがまだチェックしていない乗員、乗客を直ちに下船させ、解放することには危険性が伴う。
州行政当局に近い消息筋は筆者にこう指摘している。
「ダイヤモンド・プリンセスを『他山の石』として寄港させなかったところまではよかった。問題は、感染者が21人も出たことでこれからどうするかだ」
「CDCもカリフォルニア州も難しい決断を迫られている。しかも一刻も早く決断せねばならない。船内にすでにクラスターが存在している可能性もある」
「もはや州レベルの問題ではない。ウイルス対策の最高指揮官のマイク・ペンス副大統領がどう判断するか」
「副大統領の右腕ともいうべき医学博士でパンデミック(世界的に流行する感染病)対策の権威、アン・シューチャット厚生副長官がどう判断するか」
「(ドナルド・)トランプ大統領としても盟友・安倍晋三首相の二の舞だけは避けたいはずだ」
新型ウイルス感染阻止の最高責任者に指名されたペンス副大統領はグランド・プリンセスをサンフランシスコ湾内の商用でない港(おそらく軍港と思われる)に寄港させ、そこで乗客、乗員全員の検査を実施すると発表した。
CDCなど政府機関の専門家の意見を踏まえたものだ。ところがトランプ大統領は直ちにこれに異議を唱えた。
「一定期間、乗客らを船内にとどまらせろ、船を『基地』として使え。外に出せば、感染者数は増えるだろう。全員船内に隔離すべきだ」
その後、同船は9日、サンフランシスコ湾内のオークランド港に接岸することが決まった。(注2)
入院を必要とする乗客をまず下船させ、州内の医療施設に搬送。その後、一般の乗客を下船させ、健康診断を済ませた後、カリフォルニア州在住者は州内の連邦政府施設に、州外居住者はテキサス州サンアントニオの米軍基地などに移送し、検査・隔離する。
また乗員は下船させずに船内で検査・隔離する方針だという。
同船には日本人の乗客3人と乗員1人が乗船している。
現在感染拡大防止で一番必要なのは検査に必要な機器と検査官。感染したのでは、という市民が医療機関に殺到しているが、検査は遅々として進んでいないのが実情だ。
カリフォルニア州だけとって見ても保健機関が感染検査を必要とすると判断している州民は7400人。現在までに検査をしたのは516人に過ぎない。
(https://www.latimes.com/science/story/2020-03-06/chaos-at-hospitals-due-to-shortage-of-coronavirus-tests)
(注1)サンフランシスコ港は、クルーズ港としては大型のクルーズ船が二隻停泊でき、停泊している船からベイブリッジとゴールデンゲートブリッジが見え、近くにはフィッシャーマンズワーフなどの観光地もあります。かつてサンフランシスコ港は、ハワイや南米クルーズへ出航する港として多くの客船で賑わっていそうですが、その後カリブ海クルーズに人気が集まり、フロリダの各地にそのお株を奪われていたが、近年アラスカ、カリフォルニアクルーズが脚光を浴び始めたことで再び活気を浴びているそうです。
(注2)鉄道貨物ターミナルと連係したオークランド港がありコンテナターミナルとして世界的に有名である。岸壁に立ち並ぶ荷役用の大きなクレーンは対岸のサンフランシスコからもよく見える。
ジャック・ロンドン・スクエアからはサンフランシスコのフェリービルディングまでフェリーが運航されており主に通勤用として利用されている。
(注3)新港ふ頭
新港地区は国際貿易港の核として、主に自動車の輸出を行っています。
10バースと合計8.3haのふ頭用地を擁する横須賀港随一の規模を持った商港となっています。 当場所から、横浜横須賀道路「横須賀I.C」まで、本町山中有料道路経由で、10分です。