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David Axe Forbes Staff
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I'm a journalist, author and filmmaker based in Columbia, South Carolina.
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米国のアントニー・ブリンケン国務長官は10月31日、
最大8000人の北朝鮮兵がロシア西部クルスク州に配置されたとの見方を示した。
米国の情報に基づくと、
北朝鮮部隊はウクライナが8月に始めたクルスク侵攻でつくり出した700平方kmほどの突出部で戦闘に加わる。
ブリンケンによればそれは「数日中」に起こるとみられる。
北朝鮮の派兵はクルスク州でのロシア軍の攻撃に重みを加え、
70年間大きな戦争の経験がない北朝鮮軍に貴重な経験を積ませることになるかもしれない。
一方で、北朝鮮の派兵は前線にたいした影響を与えず、
誰も何も学ばずに多数の北朝鮮兵が死亡するだけの結果になる可能性もある 。
ロシアが北朝鮮からの増援部隊をクルスク州に差し向けたのは理由のないことではない。
ロシア軍は9月、クルスク州のウクライナ側突出部に対して反撃に出た。
突出部の西側では、小幅ながらウクライナ軍を押し戻した。
だが東側では、
侵攻当初にロシア側から奪ったとみられる要塞陣地から射撃してくるウクライナ軍に阻まれ、
大量の死者を出している。
ロシア軍で突出部の東側に対する反撃の主力を担っているのは、
海軍の第810独立親衛海軍歩兵旅団である。
2000人規模の第810海軍歩兵旅団は、
10月下旬ごろから損害がかさんでいる。
同旅団に所属する第382独立海軍歩兵大隊は10月24日かその少し前、
ウクライナ側の陣地を偵察させるため斥候兵16人を送り出した。
偵察先はルスカヤ・コノペリカ村かその周辺だったとみられる。
エストニアのアナリスト、
WarTranslatedが字幕を付けて共有している動画で、
斥候兵のひとりは「われわれの目的は敵を発見することでした」と説明している。
「われわれはそれを達成しました」。
彼らはウクライナ軍の機関銃陣地の位置を無線で報告した。
この陣地はおそらく、ウクライナ軍が侵攻初期に制圧した多数の土塁のどこかに設けられているのだろう。
だが、
第382海軍歩兵大隊あるいは第810海軍歩兵旅団の指揮官たちは、
考えられないようなことをした。
軽武装の偵察部隊に対し、
機関銃巣を直接攻撃するよう命じたのだ。
斥候兵は「敵は数的に圧倒的に優位でした」と語り、
こう続けている。
「われわれには4人ずつの4つのグループがありました。
うち2つのグループが存在しなくなりました」
生き残った斥候兵たちは不服従をちらつかせている。
代表して語っている斥候兵は「われわれはこれ以上この大隊で働きたくありません」と訴え、「大砲の餌にはなりません」とも述べている。
ロシア側には数個連隊規模の北朝鮮部隊という援軍が来ている。
だが、ロシアの海軍歩兵たちが失敗している場所で北朝鮮の兵士たちが成功するのかは見通せない。
米シンクタンク、戦争研究所(ISW)のレポートによるとロシア軍が北朝鮮兵30人あたり1人程度の通訳しかつけていないのは、
北朝鮮部隊にとって不吉な兆候だ。
ロシア軍の指揮官は北朝鮮の小隊と緊密に連携するつもりなどないのかもしれない。
単純で大雑把な命令を下し、
うまくいけばいいという姿勢かもしれない。
そして、こうしたぞんざいな指揮統制こそ、第382海軍歩兵大隊の斥候兵6人がウクライナ軍の防塁に対する無意味な直接攻撃で「存在しなくなった」理由だ。
大勢の北朝鮮兵が同じ運命をたどることになるかもしれない。
ISWは、北朝鮮は自国の軍人に戦闘経験を積ませたい考えなのだろうと推測している。
もしそうなら、クルスク州に展開している北朝鮮部隊にとって、
この戦争とは本質的には非常に危険な訓練演習ということになる。
その危険には言うまでもなく、
まさに第382海軍歩兵大隊の斥候兵たちが経験したようなものも含まれる。
指揮官が冷酷か無知か、
あるいはその両方であり、
またそうした非情な将校が下す愚かな命令に従えば無駄死にしかねないという危険だ。
ISWは「もしロシア軍司令部が北朝鮮の人員を『大砲の餌』のように使い、
一部の北朝鮮部隊が受けている専門的な訓練を活用しない方針なのだとすれば、
北朝鮮部隊は確実に損耗が進むだろうし、
その結果、何であれ北朝鮮が戦場で学ぼうとしていることは蓄積されにくくなっていくだろう」と述べている。
https://forbesjapan.com/articles/detail/74828/page2
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