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森井 良行(もりい よしゆき)
その違和感を、言葉で可視化する。
著書『38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)など5冊。MENSA会員。
公式サイト「エレカジ」(https://www.elegant-casual.com/cases)では、80件を超えるコーディネート事例を公開。
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「40代以上の男性がパーカーを着るのはありか」という議論がSNSで盛り上がっています。
コラムニストの妹尾ユウカさんがYouTube「新R25チャンネル」で「40歳近くになって、パーカーを着ているおじさんはおかしい」と語ったことに対して、堀江貴文さんや西村博之さんなどの著名人がXで反応しました。
詳細は各媒体で語られているため割愛しますが、これだけ盛り上がる理由として、パーカーというアイテムの特殊事情も関係しているのでは。
というのも以前から「パーカー姿が家着っぽい」や「ブランドロゴの品位問題」など、今回の文脈以外でもパーカーは揶揄されやすいアイテムでした。
しかも、この7~8年で、その位置づけは変化しているため、前提がバラバラのまま議論が続いているよう見えるのです。
そこで今回は「休日のパーカー(フーディー)姿を洗練させるコツ」を解説します。
■「よそ行きパーカー」の誕生
ジーンズから「デニム」へと呼び名が変わったように、日本でパーカーが「フーディー」と呼ばれはじめたのは、ここ7~8年だと記憶しています。
それまで「ヘビーウエイトなコットンで織られたアイテム」という印象でしたが、この頃から「ダンボールニット」と呼ばれるニット素材のものも増えてきました。
これはダンボールの構造を模したニット素材で、軽い生地感にもかかわらず張り感があるもの。
この質感は従来のパーカーがもつ「家着っぽいイメージ」とは異なり、フーディーという新たな名称とともに「よそ行きパーカー」というポジションを築くことに成功したのです。
それに加えて定着してきた「オーバーサイズの着こなしと相性がよかった」という事実もあって、徐々にフーディー姿の大人は増えてきました。
今回の議論には、こうした背景があると私は捉えています。ですが本稿では、この議論には加わらず、「年齢にかかわらず、大人が休日のパーカー姿を洗練させるコツ」にフォーカスします。
■フーディー姿が残念に見える人の盲点
フードが付いたアイテム全般に当てはまりますが、フードのカタチが崩れている姿はキレイに見えません。
フーディー姿がパッとしない人は、そもそも「フードを整える」という着眼点がないのではないでしょうか。
これは年齢や性別に関係なく、フーディー着用時に、誰にでも当てはまる盲点です。
フードの整え方で、だいぶ印象は変わります。
実際のところメディアで見かける演者やファッション誌のモデルのフードは、キレイに整っています。
では整ったフードとは、どういう状態なのでしょうか。
私は「フードの際(きわ)」が楕円形を描くように立っている状態と捉えています。
言い換えるとフードのカタチが崩れていたり、フードが後ろに落ちてしまっている姿は、どんなに高級感あるフーディーであっても、残念に見えてしまうのです。
フードの整え方を説明します。
まず崩れにくいフードのカタチを整えるには、「フードの中に土手をつくる」こと。
写真のようにフードのなかにできた山脈のような状態を、私は「土手」と呼んでいます。
この土手があることで、フードの際が崩れにくくなるのです。
たとえばフーディーを試着したとき、その姿がパッとしない方は、フードを整えないまま、鏡を見ている可能性も否めません。
この着こなしの工夫なくして、フーディーを選ぶことはできず、ここには年齢は関係ないのです。
次にフーディーの質感について検討します。
ダンボールニット素材のフーディーのみならず、ハイブランドを中心にヘビーウエイトな肉厚なコットンフーディーも見かけます。
両者に共通するポイントは、「身体の線を拾わない」ということ。
これが大事なポイントと言える理由は、「身体の線が出てしまう」フーディー姿が、だらしなく見えるから。
というのもフーディーはオーバーサイズの文脈で浸透しているため、どうしても大きいサイズ感になるわけですが、このとき身体のラインを拾ってしまえば、「単純にサイズが合っていない」という印象が強化されてしまうのです。
■フーディーのカジュアル味を軽減させる工夫
スウェットシャツ同様にカジュアルな印象が強いため、合わせ方次第で、フーディーは子どもっぽさが強調される点も忘れてはいけません。
つまりアイテム同士の組み合わせ方、とくにパンツのコーディネートが大切です。
チノパンやインディゴのジーンズではなく、イージースラックスを私がおすすめする理由は、「パンツのドレス感を高めることで、きれいなフーディー姿」をつくることが関係しています。
結果的にフーディーがもつカジュアル味を軽減し、「フーディーなのに清潔感がある」という状態を狙っているのです。
そして冬のフーディーを合わせるアウター次第で印象が激変します。
たとえばドレス感を上げてくれるAラインのロングコートは、カジュアルなフーディーを大人っぽい印象に仕上げてくれます。
ところがジャケットの場合、「ブレザーにパーカーを合わせた中学生」のような状態になりかねません。
■ハイブランドのロゴで賛否も
これは「ジャケットのドレス感」という問題ではなく、90年代にそういう着こなしが浸透していた、というパブリックイメージが関係しています。
つまりブレザー同様の丈感であるジャケットとフーディーの掛け算が、その印象を連想させてしまうことが原因です。
そういう意味では「ハイブランドのロゴが目立つフーディー」について賛否が分かれる理由もまた、パブリックイメージの問題だと私は考えています。
ハイブランドのロゴが目立つフーディーを着た40代に対して「成功を見せつけている大人」や「これ見よがしで品がない」という印象を持つ人が少なくないのかもしれません。
一方で、所属するコミュニティの種類によっては、むしろハイブランドのロゴが目立つ服がプラスに働く環境もあるでしょう。
いずれにせよ、今回お伝えしたコツを生かすことで、休日のパーカー(フーティー)姿は、洗練した印象に仕上がるでしょう。
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