南太平洋
のトンガ沖で起きた海底火山の大規模噴火から一夜明けた16日も、トンガ国内の被害の全容は明らかになっていない。近隣諸国は連携して情報収集と緊急支援の準備を進めている。多くの国や地域で津波警報や注意報は解除されたが、予測不能な潮位の変化も起こりうるとして海岸での活動に注意を呼びかけている。 【衝撃的な噴煙の大きさ】トンガ海底火山噴火の様子 オーストラリア気象当局によると、トンガの首都ヌクアロファでは1・2メートルの津波が観測された。
ヌクアロファに駐在するニュージーランドの外交官は16日、衛星電話で同国テレビ局の取材に応じ、沿岸地域では大きな浸水被害が生じており、首都の市街地も火山灰に覆われ「月面のようだ」と語った。
「現時点では死者や重傷者は報告されていない」と述べたが、連絡がつかない人たちが複数いるという。トンガは約170の島で構成され、約10万6000人が定住している。
ツイッターでは、噴火後にトンガの沿岸に津波が押し寄せているとみられる動画なども出回ったが、ロイター通信などによると、噴火から約1時間半が経過したころにインターネットや電話の回線が遮断された。
ニュージーランドの国営ラジオによると、沿岸近くの宮殿に滞在していたトンガ国王のツポウ6世らは、首都で浸水の被害が確認された後に現地警察や軍隊が高台に避難させた。主要な道路なども浸水被害が出ている模様だ。
2021年の東京オリンピックのテコンドー男子80キロ超級のトンガ代表で、開会式で旗手も務めたピタ・タウファトフアさんは国外に滞在中で、インスタグラムを更新。首都があるトンガタプ島の北160キロにあるハアパイ島に住む家族と連絡がつかないと投稿した。ハアパイ島の通信が遮断されているためという。「トンガの人々は、神がもたらした地球で最も強い回復力を持つ。大きな苦難の時こそ、真の精神が輝く」と記した。
噴火で発生した衝撃波による爆発音は「ソニックブーム」と呼ばれ、英気象庁によると、1万6000キロ以上離れた英国でも観測された。
英BBCは、トンガから約800キロ離れたフィジーの首都スバ当局の情報として「大きな雷鳴のような音が聞こえた」と報じた。
豪メディアによると、同国本土の東にあるノーフォーク島では1・27メートルの津波を観測。ニューサウスウェールズ州でも沿岸地域や島に津波警報が発令され、浜辺が閉鎖された。【八田浩輔、日下部元美】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます