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By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2022-01-16 更新:2022-01-16
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月14日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。産経新聞での連載「宮家邦彦のWorld Watch」に書いた記事『2022年に起きないこと』について解説した。
〇『2022年に起きないこと』
1月13日の産経新聞コラム「宮家邦彦のWorld Watch」では、「2022年に何が起きないか」ということが書かれている。ここでは、『2022年に起きないこと』という記事を書いた理由、またその詳細について訊く。
宮家)まず、なぜ「起きないこと」を書いたかですが……。毎年この時期になると「今年の重大リスク」、「何が起きるか」などという記事を見ます。しかし、その類の企画は当たった試しがないか、もしくは誰でもわかるようなことしか書いないわけです。そうであれば、「起きないこと」を書こうではないかと思ったのです。
飯田)起きないことを。
宮家)こうした転の発想で何年か前から書き始めたのがこの記事です。
〇プーチンは諦めない
宮家)今回は最初に「プーチンは諦めない」と書きました。
飯田)プーチンは諦めない。
宮家)初めは「ウクライナに軍事侵攻しない」と書こうと思ったのですが、プーチンさんならやるかも知れないなと思い変えました。ただ、諦めていないことだけは間違いない。
プーチンさんは、90年代のNATOの東方拡大自体を認めていないわけです。まだ忘れていないのだから、「諦めない」ということです。
〇中国は台湾に侵攻しない
宮家)次に「中国は台湾に侵攻しない」と書いたのですが、少なくとも今年はしないでしょう。党大会がある大事な年ですから。
飯田)秋に党大会があります。
宮家)習近平さんは3期目の国家主席をやりたいでしょう。もし台湾に侵攻でもしたら大バッシングになります。もっと慎重かつ安全にやると思うので、「中国は台湾に侵攻しない」ということです。
〇北朝鮮は暴発しない
宮家)そして「北朝鮮は暴発しない」。これは当然です。暴発した途端にあの国は終わりますから、できるわけがない。「北朝鮮が挑発している」と憤る人もいますが、挑発はしていません。相手に手を出させるように仕向けることが挑発です。北朝鮮は相手から手を出されたら終わりですからね。
飯田)あの弾道ミサイルの発射も挑発ではない?
宮家)挑発ではありません。威嚇はしてはいますが、要するに「構ってくれ」と言っているのです。
挑発ではないと思っているので「暴発はしない」と書きました。
〇トランプは引退しない
宮家)「トランプは引退しない」。これは去年(2021年)も書いたのですが、今年はアメリカの中間選挙で、彼は着々と準備しているようです。
いろいろな世論調査を見ても、トランプさんの支持者は、共和党を中心にまだ3割はいます。ですから、まだトランプさんは生き残るだろうと思います。
〇東南アジア諸国連合(ASEAN)は結束しない ~中東は安定しない
宮家)そして「東南アジア諸国連合(ASEAN)は結束しない」。これは前から言っていることです。それから「中東は安定しない」。中東が安定したら、私のような中東専門家は皆困ってしまいますよ。期待通り、中東は安定しないでしょう。
〇欧州連合(EU)は分裂しない
宮家)「欧州連合(EU)は分裂しない」。これも去年と同じなのですが、それにしても、メルケルさん
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アンゲラ・ドロテア・メルケル(ドイツ語: Angela Dorothea Merkel、出生名:アンゲラ・ドロテア・カスナー/Angela Dorothea Kasner、1954年7月17日 - )は、ドイツの元政治家。同国第8代連邦首相(在任: 2005年11月22日 -2021年12月8日)、キリスト教民主同盟(CDU)第7代党首(在任: 2000年4月 - 2018年12月)。
ドイツ連邦共和国において、またドイツ史上でも初めてとなる女性首相である[1]。ユーロ危機、クリミア危機などでの外交対応や、ドイツの経済成長・健全財政の維持などで支持され、16年の長期政権を築いた。転換点となった2015年の難民危機では、積極的な難民受け入れ政策が国際的に評価された一方、国内的には100万人超の難民殺到による犯罪が度々発生し国民の難民政策批判が高まり、2017年ドイツ連邦議会選挙で極右政党の躍進や地方選挙での連立与党連敗を招いたため、2018年に3年後の任期限りでの政界引退を表明した[2][3][4]。2020年以降のCOVID-19の対応で、一転して求心力を回復した[5][6]。2021年9月の連邦議会選挙と、その後の新政権の発足をもって2021年12月8日に連邦首相を退任し政界を引退した。
任期は5860日で、最長のコール元首相にわずか10日及ばなかった[7]。
生い立ち
アンゲラはハンブルクで生まれた。父ホルストがベルリン=ブランデンブルク福音主義教会(現ベルリン=ブランデンブルク=シュレージシェ・オーバーラウジッツ福音主義教会)の牧師として東ドイツに赴任することになり、生後数週間のアンゲラは1954年に両親と共に東ドイツへ移住する[12]。母はラテン語と英語の教師であった。東ドイツでは教会は反政府勢力の拠点であったが、カスナーは政府に「進歩的勢力」と見られていた会派の所属で危険視されておらず、西側諸国へ海外旅行できる特権も与えられていた。東ドイツで弟1人と妹2人が生まれる。
物理学者
在学中の1977年に同じ学部の学生だったウルリッヒ・メルケルと結婚。現在の姓は彼に由来するものである。しかしこの結婚生活は4年で終わった。
1978年、優良の成績で卒業[15]、東ベルリンにある科学アカデミーに就職し、理論物理学を研究する。ここで現在の夫ヨアヒム・ザウアーと出会うが、2人が結婚するのはずっと後の1998年である。
1986年、博士論文を提出して博士号 (Dr. rer. nat.) を取得。物理学者として分析化学に配置転換となる。同年初めて西ドイツを旅行。これは審査で国家に忠実とみなされた者にのみ許される権利だった。この頃の彼女に政治活動は見られず、SED党員でもなく反政府活動もしていなかった。
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はすごい政治家でした。
飯田)16年間、ドイツの首相を務めました。
宮家)ドイツはもともと首相の任期が長く、有権者は賢い人たちなのですが、そのなかでも長い。彼女がEUを支えたのだと思います。問題は、彼女が後継者を養成できたのかということです。必ずしも成功していない部分がありますよね。
飯田)後継者を。
宮家)結局、キリスト教民主・社会同盟ではなくなったでしょう?
飯田)そうですね。社会民主党(SPD)に。
宮家)どのくらいSPDがEU中心主義を貫くのか。ドイツがどう転ぶかによって、EUの将来は大きく変わると思います。去年も書いたのですが、イギリスが出て行ってもEUは平気です。EUは基本的に大陸ヨーロッパの連合ですから。ドイツがフランスと握っている限り大丈夫です。
綻びがあるとしたら、ハンガリーなど東欧の方ではないかということを少し書きました。
〇クアッドは軍事同盟にはならない
宮家)インドが日米豪印4ヵ国(クアッド)に入って来ましたが、
「AUKUS(オーカス)」
のような軍事同盟になるかというと、簡単にはならないでしょうね。同じ元英連邦ですが、インドにはインドの国益があって、友好協力関係ではあっても、軍事同盟化するかと言うと、話は別です。
〇「国家安全保障戦略」をどうつくるか
宮家)最後に何を書いたかというと、去年は「日本の安定は続かないのではないか」と心配して書いたのですが、これはいい意味で外れました。コロナがあったので、実は総選挙を心配していたのですが、いろいろな理由があって新総理が生まれ、一応政権は安定状態です。今年はどうなるかわかりませんが。いちばん大事なのは国家安全保障戦略をどうつくるかということです。
飯田)今年改定される予定ですね。
宮家)普通の国ではまず戦略があって、次に大綱があって、それに予算があるという形ですが、日本はずっと戦略がないまま予算だけができていたという不思議な国でした。それを本格的につくり直すということで、かなり時間が必要だろうと思います。年末までには上げるのだろうと思いますけれどね。
〇防衛費をどうするのか
宮家)そこで防衛費をどうするのでしょうか。2%で行くかどうかは別としてね。
飯田)GDPの2%。
宮家)GDPの2%というのはNATO並みです。いまの日本の計算の仕方では1%前後ですが、NATO方式でもう少し加えると、1.4%ぐらいになるわけです。その意味では1%をとっくに超えています。しかし、それとは別に、やらなければならないことが宿題として残っています。それを今年どこまでやれるか。
飯田)そうですね。
宮家)また、与野党を含めた各政党がどのような対応をするかということが、今後10年の日本の将来を決める。大事な年になるだろうと思います。
〇いまの新しい戦略環境のなかで我々が何をするべきか
飯田)国家安全保障戦略の改定の話がメディアで取り上げられるときに、主な議題として「敵基地攻撃能力」が出ますが、これは具体的な戦術の話でしょうか?
宮家)そうですね。国家安全保障戦略をつくるなかでは、敵基地攻撃能力を書く、書かないという話ではないと思っています。敵基地攻撃能力について、国会で最初に議論したのは1956年です。私が心配しているのは、そのときの議論をまた繰り返してしまうことですよ。
飯田)憲法解釈の議論を。
宮家)70年も前の話をね。そうではなく、「いまの新しい戦略環境のなかで我々が何をするべきか」ということを、一から議論していいのではないかと思います。
飯田)そうなると、我々が何を大事にするかが重要になりますね。
例えば「法の支配」や「人権」などが書き込まれるのかどうか。
宮家)それは「国民の生命・財産」に決まっていますよ。
飯田)根幹の部分で何が必要か、どんな環境かということを議論して行く。
宮家)そうです。相手がどれくらいの力を持っているか、それを抑止するためには、こちらにどの程度の力が必要かという議論です。
残念ながら国際軍事情勢は競争が激しいですから、常に変わって行く。それに合わせて、こちらの新しい対応力・打撃力・攻撃力が必要なことは当たり前です。
〇同盟国に近付いているオーストラリア
飯田)そこに同盟国との関係がどう乗って行くか。
宮家)いちばん安上がりにするにはどうするべきか、ということ=集団的自衛権協定=を議論しなければいけないと思います。
飯田)日米同盟はコストの面で言うと、ベネフィットが日本にとっては……。
宮家)いまや日米同盟だけではないですよね。この間のオーストラリアとの合意を見ていると、間違いなくオーストラリアは同盟国に近付いています。
飯田)日豪円滑化協定ですか。
宮家)そういう形で同盟国・友好国が増えることは決して悪いことではないので、あるべき姿に近付いているのではないでしょうか。
〇ヨーロッパの国々との関係
飯田)地域が近いところでオーストラリアという存在がありますが、ヨーロッパの国々とどう関係を結ぶかということは、当然考えなければならない。
宮家)そうですね。昔から「NATOとどのように付き合うか」という議論もありました。ですがNATO全体ではなくても、イギリスやフランスなど太平洋にプレゼンスを持っている、あるいは持っていた国の関心は高いですから。いろいろな国を巻き込んだ形で、現状を維持するためにどうすべきかを議論しなければいけないだろうと思います。
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