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五十嵐 隆幸(いがらしたかゆき)Igarashi Takayuki
防衛研究所専門研究員
1975年生まれ。
2020年防衛大学校総合安全保障研究科後期課程修了。
博士(安全保障学)。
防衛大学校防衛学教育学群准教授や防衛研究所地域研究部中国研究室所員を経て、2024年1月から現職。
主著に『大陸反攻と台湾--中華民国による統一の構想と挫折』。
大平正芳記念賞、国際安全保障学会最優秀出版奨励賞(佐伯喜一賞)、猪木正道賞、地域研究コンソーシアム賞。
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台湾への非友好的な発言が相次いだトランプ氏だが、台湾への大規模な武器売却はもはやアメリカ政府の基本で継続しそうだ。
一方で大規模な武器売却が台湾の防衛産業に悪影響をもたらすとの懸念もある。
まもなくトランプ前大統領がホワイトハウスに戻ってくる。
台湾では、第2次トランプ政権(トランプ2.0)の対台湾政策をめぐる予測と議論が絶えない。
本連載でも小笠原欣幸氏(「トランプ当選、台湾の『悪夢』となる危険な兆候」)、福田円氏(「中国と台湾、トランプへの警戒で意外と安定か」)がそれぞれ寄稿している。
選挙期間中にトランプ氏は台湾に防衛費の大幅な増額を迫るなど、非友好的な発言を繰り返してきたため多くの台湾メディアは警戒感をあらわにしていた。一方で一部から「武器売却の総額はバイデン政権4年間よりもトランプ政権のほうが上だった」と期待する声や外交・安全保障チームのメンバー候補に次々と対中強硬派の名前が挙がり、楽観的な観測も広がっている。
■アメリカの政権交代で毎度不安になる台湾世論
2016年にトランプ氏が初当選した際、台湾メディアは予測不能なトランプ氏に不安を隠さなかった。
だが、2018年以降トランプ政権は中国をライバル視し、台湾重視の姿勢を鮮明にした。
台湾の政府高官とアメリカ政府高官の相互訪問を推奨する「台湾旅行法」が最たる例である。
実際、2020年8月にはアザー厚生長官が訪台。
1979年の断交以来、アメリカの閣僚が台湾を訪れたのは初めてだ。
11月には「米台経済繁栄パートナーシップ対話」(EPPD)が設立され、サプライチェーンの強靭化など踏み込んだ意見交換がなされた。
2020年大統領選挙が近づくと、台湾ではトランプ氏の再選を期待する声が多く聞かれた。
だが、バイデン氏がトランプ氏の再選を阻むと、オバマ政権の副大統領だったバイデン氏が、かつての融和的な対中政策に回帰するのではないかと不安が広がった。
ところが政権発足からまもなくバイデン氏は前政権の対台湾政策を踏襲する姿勢を示し、政権が掲げる同盟国や友好国との協力に台湾が含まれることを明言した。
台湾側の不安は一気に和らいだ。
バイデン政権は、たびたび台湾の民主主義を称賛した。
台湾を民主主義国家の一員として「民主主義サミット」に招待、デジタル担当閣僚のオードリー・タン氏や駐米代表の蕭美琴氏が出席した。
バイデン大統領は、インタビューや記者会見で「中国が台湾を武力で侵攻した場合、アメリカは台湾を防衛する」とたびたび発言。
それは、台湾有事におけるアメリカの対応をあいまいにする政策(いわゆる「戦略的あいまいさ」政策)の転換かと台湾側に期待を抱かせた(劉彦甫氏の論考「バイデン大統領の『台湾防衛』発言に透ける真意」を参照)。
バイデン政権のハイレベルかつ安定的な台湾支持を受け、今度は予測不能なトランプ氏の再選に不安が高まっていた。
■各政権で2兆円を超える台湾への武器売却
以下略
https://toyokeizai.net/articles/-/845745?page=2
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