ドイツのクリスティアン・リントナー財務相は18日、エネルギー供給について、もはやロシアからの輸入には依存していないとBBCに語った。
リントナー財務相は、昨年ロシアがウクライナに侵攻して以降、ドイツはエネルギーインフラを完全に多様化したと述べた。
ロシアは侵攻開始後に欧州へのガス供給を停止。今冬に停電が起きる恐れが出ていた。
リントナー氏によるとドイツは新たなエネルギー供給源を見つけたという。
「もちろん、ドイツは依然としてエネルギー輸入に頼っているが、現在はロシアからではなく、世界市場から輸入している」
ドイツはこれまで、国内で使用するガスの約半分と原油の3分の1以上をロシアから輸入していた。
しかし、ロシアは昨年8月にドイツへのガス供給を停止。
今年に入ってドイツがロシア産原油の輸入を止めた。
<関連記事>
- 【解説】 ドイツはどのようにロシア産ガスから脱却したのか
- フランスがドイツに初のガス供給、ウクライナ侵攻受けたエネルギー危機受け(2022年10月)
- EUで「恐ろしい冬」への懸念広がる ガス価格の高騰で(同8月)
リントナー氏はスイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会(WEF、ダボス会議)で、新たな液化天然ガス・ターミナルを約8カ月という記録的な速さでドイツに建設したことを挙げ、さらに多くのインフラ投資が計画されていると付け加えた。
「これはドイツの政策における大変化のほんの(1つの)例に過ぎない」
「アンゲラ・メルケル首相の時代を経て、競争力を養わなければならないことを我々は理解している。あの時代は過去の強みに注力していたが、いまは未来の強みになるものを発展させている」
リントナー氏はドイツのインフレが昨年ピークに達したことを示す「いくつかの証拠」があると示唆し、楽観的な態度をみせた。
「おそらく世界経済と欧州経済は予想よりも速いスピードで回復している」
一方で、グリーンエネルギーへの補助金をめぐり、欧州とアメリカとの間で損害を生むような貿易摩擦が起こる可能性は残っている。
アメリカは昨年、米国製電気自動車に対する税額控除など、環境にやさしい技術に3700億ドルもの巨額投資を行うことを承認した。
ただ、アメリカ国外の企業が不利な状況に置かれるのではないかとの懸念が欧州で浮上している。
先月に米ワシントンを訪問したエマニュエル・マクロン仏大統領は、アメリカ側の規則は「超攻撃的」だと批判した。
リントナー氏は、こうした規則をめぐって欧州連合(EU)とアメリカが貿易
誰がより多くの補助金を支払うことができるのかなど、いかなる類の競争も避けなければならない」、「そんなことはあってはならない」とリントナー氏は述べた。
同氏の発言は、欧州がインフレ抑制法(IRA)と呼ばれるアメリカの気候変動対策法への対応を進めようとする中、複数の課題が待ち受けていることを示唆している。
公平な競争の場に対する脅威が存在することを、私は真剣に受け止めているが(中略)我々はアメリカ側よりもはるかに多額の支出や投資を行っているので、恐れる必要はない」
「インフレ抑制法について、欧州では過去に提案した政策を導入する機会だと考えている人もいる。
私は欧州レベルでの競争力を強化し、資本市場同盟をさらに進め、アメリカ側との自由貿易協定について交渉する機会だと捉えている。
さらなる補助金は拠出すべきではない」
フランスの大手自動車企業とは異なり、多くのドイツ企業はすでに、製造工場などアメリカで大きな存在感を示している。
「メイド・イン・アメリカ」ルールをめぐっては、他国で製造された部品に依存している多くのアメリカ企業からも反発が起きている。
(英語記事 Germany: We are no longer reliant on Russian energy)
フランスはIRAに対抗して、EUの自動車メーカーを保護するための「バイ・ヨーロピアン」インセンティブを提案。EU当局者も今週、「断固とした」対策を講じると約束した。
リントナー氏は、公平な競争の場を維持することは重要だが、双方が補助金を出そうとするのではなく、企業に対する免除条件を交渉したり、新たな貿易協定を結んだりすることを望んでいると述べた。
戦争を始めることは望んでいないと述べた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます