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第一生命経済研究所首席エコノミスト
永濱 利廣
永濱 利廣
1971年、群馬県生まれ。
第一生命経済研究所首席エコノミスト。
早稲田大学理工学部工業経営学科卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
1995年に第一生命保険入社、日本経済研究センターを経て、2016年より現職。衆議院調査局内閣調査室客員調査員、総務省「消費統計研究会」委員、景気循環学会常務理事、跡見学園女子大学非常勤講師。
2015年、景気循環学会中原奨励賞を受賞。
著書に『経済危機はいつまで続くか――コロナ・ショックに揺れる世界と日本』『MMTとケインズ経済学』など多数。
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エミン・ユルマズ
エコノミスト・グローバルストラテジスト。
レディーバードキャピタル代表。
トルコ、イスタンブール出身。
レディーバードキャピタル代表。
トルコ、イスタンブール出身。
1996年に国際生物学オリンピック優勝。
1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。
同大学院にて生命工学修士取得。
2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。
2024年レディーバードキャピタルを設立。
現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。
文筆活動、SNSでの情報発信を積極的に行っている。
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2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。
その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。
インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。
NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、
日本経済の未来について考えていかなくてはならない。
本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第40回
■先端企業では中国人を雇わない
エミン:アパレル、縫製業であれば技術的なハードルが低いので、世界のどこでも工場をつくれますが、半導体の工場の場合そうはいきません。
そもそもアメリカにとって信頼できる国でなければならない。
中国の息がかかっていて、技術を盗まれたり、いざという時に稼働が止まるようではダメ。
となると半導体工場は日本に持ってくるのが一番いいわけです。
半導体工場だけでなく、データセンターについても同じことが言えます。
このところ、オラクル、Microsoft、Googleと、海外IT企業が日本にデータセンターをつくる話が続いています。これを見る限り、日本を拠点にしたいという意図がはっきりしています。
■臨戦態勢に入る米中
エミン:これらはいわゆるFDI、日本への直接投資です。
日本にとって海外からお金も人も技術も入ってくる、大変ありがたい話です。日本にとって米中分断のメリットは非常に大きいと思う。
ただ、日本はいま少子化で人口が減少し、人手不足に直面しています。
この問題をどう解決するかがカギになるでしょう。
日本政府は、本音ではもっと移民を入れて、低コストの労働力を確保したいのでしょう。
ただ保守派の反発もあるし、政府全体では賃上げを目指しているので、その方針とも矛盾してしまう。
そもそも円安だと外国人が日本でもらえる給料が目減りするので、日本に来るメリットが薄れる。
現状、移民労働力の大量導入は簡単ではないでしょう。
永濱:中国には日本で働きたい若者がたくさんいると聞きます。
国内経済が悪いことで、若年層が職につきにくいこともあるようです。
エミン:中国人の労働力を安く手に入れられるとしても、彼らを信用できるかどうかが問題です。
普通の会社ならまだしも、先端技術を扱う会社や、半導体企業の場合、中国人を雇用するのは難しいでしょう。
中国人を差別するわけではありませんが、実際、産業技術総合研究所の中国人研究員が、2018年の中国企業への研究データの流出により、
2023年に逮捕されています。
永濱:技術流出のリスクを考えると難しいでしょうね。
エミン:日本の半導体企業はまだまだ中国人の割合が比較的大きいのですが、アメリカ、特にシリコンバレーでは大きく減っている。
この点でも、アメリカと中国はもはや臨戦態勢に入っていると思います。
日本はむしろまだのほほんとしているのです。
永濱:2021年から先端技術研究の留学生に対して入国審査を厳格化していますが、日本の対策はまだまだですね。
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