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[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]
1983年生まれ。36歳、千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役。株式会社エコ・マイファーム代表取締役。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟代表理事。千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程修了。博士(公共学)。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、各地で自然エネルギーによる地域活性化事業に携わっている。
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ソーラーシェアリングに限らず自然エネルギー発電事業全般に言えることですが、FITという補助輪によって凝り固まってしまった思考からの脱却が必要です。これは、発電事業を20年という期間だけで考えてしまうという「病」ですが、それを乗り越えることでFITに依存しない事業へのステップアップが可能になります。
FITによって大量導入された太陽光発電設備への大きな懸念の一つが、FIT終了後も引き続き社会インフラとして、電力供給の責任を負い続けられるかどうかです。特に高FITの案件ほど、将来的な7~8円/kWhやそれ以下の単価では、事業性が成立しないような立地・事業条件になっている場合があります。しかし、FITという補助輪をつけてスタートした事業は、いずれその補助輪がなくても安定して自走するインフラ事業になっていくことが前提です。市場が成熟して新設でも安価な電源となることはもちろんですが、FITによって導入された設備も、FIT終了後は投資回収の完了した低コスト電源として使われ続けていかなければなりません。
そのためには、FITの20年という時間軸ではなく、30年や40年以上のスパンで設備の修繕・改修まで含めた事業として考え、収益性も超長期で捉えていく思考への転換が必要です。特にソーラーシェアリングの場合は、農業との共存という事業の大前提があり、それこそ20年経過後に農業も終わってしまい耕作放棄地となるようなことがあってはなりません。農業は1000年、2000年と連綿と続けられてきた人類の営みであり、同じようにとても長い時間軸で取り組むものとも言えるでしょう。
この設備導入とランニングコストの低減、そして太陽光発電の主力電源化という流れの中で、超長期の事業として収益を含めた取り組みとなっていけば、将来の電源としての自立化達成が見えてきます。言い換えれば、その視点に至ることが出来るプレイヤーだけが、これからのソーラーシェアリングの市場において存在感を発揮できるのです。
農業という人類社会に欠かすことの出来ない営みと共存するソーラーシェアリングは、自然エネルギーのあるべき姿を体現しながら、主力電源化へ道を示していくことが“FIT10円時代”の在り方になっていくでしょう。
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