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村木風海 むらき・かずみ◎2000年生まれ。
東京大学教養学部前期課程理科一類。
地球温暖化を止める方法から、人類の第二の居住地としての火星移住・開拓まで一貫して研究を行う機関「CRRA」を立ち上げ機構長を務める。
CO2直接空気回収や、空気からの燃料合成などの研究を行っている。
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ー略ー
「ドライアイスを充満させたペットボトルに庭の雑草を入れました。
植物は二酸化炭素を吸収し、光合成によって酸素を吐き出します。
けれども、ペットボトルの二酸化炭素濃度は100%。
呼吸ができなくなって雑草はおそらく枯れると思いました」
しかし3日経っても、雑草は生き生きとしているどころか酸素を生成していた。その瞬間、植物の生命力に感動するよりも「二酸化炭素はすごい!」と心を大きく動かされた。
「理論ではなく直感で、二酸化炭素の働きに感動しました。
しかし3日経っても、雑草は生き生きとしているどころか酸素を生成していた。その瞬間、植物の生命力に感動するよりも「二酸化炭素はすごい!」と心を大きく動かされた。
「理論ではなく直感で、二酸化炭素の働きに感動しました。
そのとき、まるで人を好きになるように二酸化炭素を好きになったんです」
ー略ー
二酸化炭素直接空気回収装置・CARS-αは、取り込んだ空気を水酸化ナトリウムの水溶液に通すことで二酸化炭素を吸収できる機械。
さらに村木は、回収した二酸化炭素の可能性を大きく広げるために、その冬、ある実験を行った。
それが、二酸化炭素からメタンを生成する実験だ。
ー略ー
「メタン生成に必要な金属をアルミホイルに代替できるのではないか?」村木は二酸化炭素と水とアルミホイルの切れ端を混ぜた容れ物を、機械で大きく振ってみた。
「水に大きな衝撃を加えれば、水素原子と酸素原子の結合が切れて、反応しやすい水素が発生するのではないか。それが二酸化炭素の酸素を奪って結合すれば、メタンができるのではないかと閃いたんです」
「水に大きな衝撃を加えれば、水素原子と酸素原子の結合が切れて、反応しやすい水素が発生するのではないか。それが二酸化炭素の酸素を奪って結合すれば、メタンができるのではないかと閃いたんです」
黙々と機械で振り続けた。するとある瞬間、何の反応もない測定器の画面に、一瞬ピークが現れた。メタンが発生した知らせである。サバティエ反応が発表されてから100年の間、遷移元素と呼ばれる希少な金属の合金などを使わなければメタンは生成できないと言われていた。それがアルミホイルという誰もが手にできる金属を用い、生成に成功したのだ。
「教授と検証中ですが、おそらく世界初の実験結果でした。研究所のみんなと飛んで大喜びしましたね」
-略ー
〇加湿器のように全世界の家庭に普及する未来
スイスやアメリカ、アイスランドをはじめとした海外でも、二酸化炭素直接回収技術は研究されている。
スイスやアメリカ、アイスランドをはじめとした海外でも、二酸化炭素直接回収技術は研究されている。
彼らが設置する巨大な二酸化炭素回収装置の性能は、CARS-αよりも遥かに優れているという。
しかし、村木は異なる理想を描く。
「地球温暖化を本当に食い止めるためには、世界中の一人ひとりの意識を変えなければいけません。そのために研究をより身近に感じてもらわなければいけないんです」
だからCARS-αは、現在の形にたどり着いた。ディズニー映画のロボット『ベイマックス』のように愛くるしい存在になるよう、顔と人工知能を搭載して簡単な会話ができるようにした。
「地球温暖化を本当に食い止めるためには、世界中の一人ひとりの意識を変えなければいけません。そのために研究をより身近に感じてもらわなければいけないんです」
だからCARS-αは、現在の形にたどり着いた。ディズニー映画のロボット『ベイマックス』のように愛くるしい存在になるよう、顔と人工知能を搭載して簡単な会話ができるようにした。
そして加湿器のように、ボタン一つ押すだけで地球温暖化を食い止めるアクションを起こせる「お手軽マシン」を目指している。
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