<ロシアが北方四島を返還しない論拠となるか>
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北極海航路には、スエズ運河航路の代替ルート以外に、もう一つの重要な利用価値があります。それは、北極圏に産出する石油・天然ガスの輸送に利用できることです。
ロシアの北極海沿岸では、天然ガスをLNGに加工し、北極海航路を通じて東アジア・ヨーロッパ・南米諸国に輸出するプロジェクトが進んでいます。
具体的には、同国のエネルギー企業であるNOVATEK社が、北極海に面するヤマル半島の中部(図にある航路の起点)で、ガス田の開発とLNGプラント・輸出港の建設を進めており、また計15隻の砕氷LNG船(自力で氷を割って氷海を航行できる船)を発注しています。
LNGの年間生産能力1,650万トンのうち96%は契約済みで2017年中に出荷が開始される予定です。NOVATEK社はまた、ヤマル半島に近いギダン半島でも大規模なガス田を開発し、LNGを輸出する計画を持っています。
この計画が実現すれば、北極海航路によるLNG輸送は今後大きく伸びると予想されます。
北極海航路の利用拡大を妨げているコストとリスクなど、いくつかの課題を解決することが求められています。
海運会社にとってハイリスクの原因となる航海の予見可能性の低さの改善には、気象・海象予報の精度向上、 砕氷船支援料金の明確化等が必要です。
また、耐氷船の燃費向上、氷海特有の技術と経験を持つ船員の育成による人件費削減など、採算性を上げていくことが求められています。これらの課題を軽減し、スエズ運河航路に対する北極海航路の優位性を高めることが重要です。
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