ハンバーガー、パスタ。昔なら蕎麦・うどん・ラーメン。
「昔はよくかんで食べる。『噛めば噛むほど味が出る』という食事が多かっ
た。現代人は、よく噛まずにのみ込める麺類などのやわらかい料理を好んで食べる傾向があります。その結果、噛む力が昔より衰えてきた。噛むことは単に食べものを細かくすることだけでなく、唾液の分泌を促したり、口のまわりの筋肉を鍛えたりする働きがあるが、それが充分でなくなってきている」。
口の機能が衰えると、口の中だけでなく、体のさまざまな部分に悪影響が及ぶようになる。
まず、顔の老化だが現れる。口のまわりには細かい筋肉がたくさんあるが、口を動かさないとそれらの筋力が低下し、その上にある皮膚と共に下垂してくる。その結果、ほうれい線やあごのたるみが目立つようになってくる。
口がよく乾く、「ドライマウス」にもなりやすくなる。薬の副作用や病気などで起こることもあるが、唾液を出す唾液腺の機能が低下することでも起こる。
食べものがのみ込みにくくなるほか、会話をしにくい、口がネバネバする、口臭、舌の痛みといった症状が出る。
「しかも、抗菌作用を持つ唾液が減ることで、口の中に雑菌が繁殖しやすくなります。むし歯や歯周病にかかりやすくなるだけでなく、こうした雑菌が肺にはいると、誤嚥性肺炎を引き起こすこともある」
「歯周病は、動脈硬化や糖尿病など他の病気とも関係しているという医学的な研究結果が出ている。それくらい口と全身の健康とはかかわりが深い」
つまり、口の健康を守ることが、全身の健康や老化を防ぐことにつながるのだ(鶴見大学歯学部附属病院病院長の斎藤一郎歯科医師)。
※女性セブン2011年10月27日号