春

子どもたちの
笑い声や道路を走り回る様を
眺めながら歩く住宅街


時には子どものように
スニーカーはいて
ふんわりとやさしい
春色のスカートを翻しながら
思いっきり駆けだしてみたい


大人ぶった私には
せいぜい俯いて
声を出さずに笑うぐらいしかできないけど


何だか嬉しくて
すべてを許せる顔になってしまう


新しい自分
新しい出会い


今新たに
自分の時が動き出す


ちょっと走ってみようか

陽だまり

結婚してください


小さな男の子が
恥ずかしいのか
冗談なのかという笑顔を
真っ直ぐに私に向けてくる


それは
大人のそれとは
ちょっと違う
何ともかわいくて
愛おしいもので
思わずぎゅっと抱きしめた


おんぶしてあげるから
なんて私を背負って危なく一二歩


私がおばあちゃんになっても
おんぶしてくれる？


きっともっとしわくちゃで
軽くなるから大丈夫だよ
なんて真面目に言うから


吹き出すやらなんやら
何とも幸せな優しい風が
心の中を過ぎていった

なりたい自分

怒ることは
自分が一番楽でいられる方法なんだよ
って教えられた



怒ることは簡単
時に相手の攻撃を避けることもできて
相手を不愉快な思いにさせることもできる



私は怒ることに頼らない自分になりたくて
口をつぐんでみた



辛抱強く我慢強く
いろんなことを受け入れられれば
きっと自分に得られるものがあると思うから



そして本当の強さを身につけて
おおらかで優しい人に
私はなりたい

さがし人

私はさがしていた



自分とぴったり合う人を

自分と同じ感覚で

自分と同じ考え方で

すべてがツーカーのような



きっといる

どこかにいるって

もし見つけたら

抱きしめて放さないって



でもまだ見つからない

きっとずっと見つからない



なぜなら

私がさがしているのは

もう一人の自分なんだから

今から

どんなおばあちゃんになりたい？
かわいいおばあちゃん


かわいいって？
何でもありがたいありがたいって
いつもニコニコしてるおばあちゃん


歳とったら急にそうなれるの？
う～ん、無理かな


わかってる
今からいつもニコニコでしょう？


わかってる
いつも感謝の心でしょう？





いつもありがとうを

一番にあなたへ

答えは自分の中に

あなたが立ち直るのに

私が必要なら

いつでも力になりたい



でも違うよね



どんなことが起こっても

すべては自分の幸せに

繋がっているって

信じられるようになれたなら



そこから道はできるし

新しい希望へと

時が動き出すんだよね

静かな想い

怒ってるの？

聞いてみたいけど

何だかそれさえも

とぼけてるように

感じられてしまって



連絡を取らなくても

信じていられる関係になったなんて

お互いの存在が想いが

希薄になっただけじゃない？



おかしいね

ただただ

あなたを求めてるだけなのに

いいこと

健康で何不足することのない
本を読んでいるような流れで
「いいこと」の
ずっと続いている
平凡な日々の暮らしの中


どこからだろう
つつかれた先に
小さくできてしまった
欲の泡


潰したいのに壊したいのに
なかなか消えてくれなくて
そのうち
まあいいかと
気にしないでいたら


いつのまにか
とても大きくなってしまっていた


そして今の私の「いいこと」は
その欲の泡の中に
身をやつすことだという思いに至った時


恐ろしさに身が震えてしまう

あなたに

こんな本を読んだのなんて
話せる相手がいる


こんなんでねなんて
聞いてくれる相手がいる


それは決して
誰でも良いわけでなくて


いつも決まって
あなたに話したい
あなたに聞いてもらいたい


ねえ
これだけでもう
愛でしょう

大切な時間

静かな夜


私はソファに深く腰を降ろして
大好きな本を読んでいる


その傍らには
私の近しい人が
絨毯の上に片肘をついて
寝転がりながらテレビを見ている


いつしか
テレビの音に混ざって
近しい人の寝息


私はテレビを消して
再びソファで膝を抱えながら
本を読み続ける


平和さに幸せと
窓の外に広がる闇に
見守られながら
静かに夜が更けていく