全国交通ニュースブログ

大阪府岬町のコミバスは、並行する鉄道線より安くて便利(後)

前編はこちら

地元民にとって南海多奈川線よりも便利な交通手段とは、岬町が運行するコミュニティバスです。

https://www.town.misaki.osaka.jp/soshiki/shiawase/kankyou/kotsu/900.html

路線図はこちら

基本路線は町の東西を縦貫しており、ルートは「望海坂~南海淡輪駅~みさき公園駅~オークワ前<深日町駅近く>~岬町役場<深日港駅前>~多奈川駅~小島住吉」と南海多奈川線と完全並行(さらに駅の西側の鉄道のないエリアまで直通)な上、運賃はどこまで乗っても100円です。そして、並行区間の所要時間も遜色ありません。

 みさき公園駅~岬町役場間=バスが8分・電車が5分 みさき公園駅前~多奈川駅間=バスが10分・電車が6分 

2001年の運行開始から2021年までの経緯はWikiPediaの「ミニループバスみさき」の項目に詳しいですが、運行委託先は何回か変わっているものの運賃100円は変わりません。そして、昼間でも1時間に1~2本運行しているため、2023/10/21以降は南海多奈川線と運転本数が逆転しました。最終便は電車より早いですが、主な利用者層は高齢者なので無問題です。

みさき公園駅前に停車中の岬町コミュニティバス。有償運送登録を行った自家用マイクロバスです。

多奈川駅前にあるバスのりば。但し、ここで電車とバスを乗り継ぐ客はほとんどいないと思われます・・・西側の鉄道のないエリアから大阪・和歌山方面に行く場合も、そのままみさき公園駅までバスで行って、本数の多い南海本線の列車に乗り継ぐ方が便利

なお、岬町コミュニティバスの運行委託先は2016年以来有田交通(ありたこうつう、和歌山市に本社をおくタクシー・貸切バス会社)となっており、営業所はみさき公園駅近くの元レストランを改装した場所にありました・・・2022/11時点のストリートビュー参照 しかし、2023/11/2時点ではもぬけの殻になっており、事務所の建屋には移転のお知らせが掲示されていました。

ただ、営業所名がもともとの有田交通岬営業所(このブログを書いている時点の上記岬町コミュニティバスのページでもそのように表記されています)ではなく「野鉄観光岬営業所」に変わっています。移転先は国道26号の深日ランプ近くで、距離的にはそう離れていません。

上記サイトで公開されている乗継支線の時刻表<2023/4/1付改正>や、みさき公園駅前のバス停に掲示されている時刻表上でも、「野鉄観光(株)(旧 有田交通)」との表現になっており、2023/4/1から変更になったようです。岬町役場の担当部署に聞いてみたところ、有田交通のコミュニティバス部門が野鉄観光(こちらも和歌山市に本社をおく貸切バス会社)に事業譲渡されたためとのこと。ちなみに有田交通は海南市下津地区でも市からコミュニティバスの運行を受託していました(合併前の旧下津町時代から長年受託)が、2023/4/1からもともとの海南市域と同じく大十バスが受託するように変わっています。

https://www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/9/riyoannai.pdf

なお、有田交通はコロナ禍で営業不振に陥り、自交総連のサイトの記事によれば2020年夏にいったん営業所を閉鎖し社員を解雇する旨通知したものの、労働組合が経営側と交渉した結果廃業は撤回となったそうです。但しこのブログを書いている時点では和歌山県に有田交通というタクシー会社は存在せず、和歌山県タクシー協会によれば2021年頃に別会社の「有交和歌山」が引き継いで営業を継続しているとのこと。

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ついでに、みさき公園駅付近の現状を報告しておきます。

みさき公園の駅名は2020年3月末まで駅至近に存在した南海電鉄グループが運営する遊園地の名称に由来していますが、営業終了後も駅名はそのままです。地元岬町が南海電鉄から遊園地の敷地を購入して町立の自然公園「岬町立みさき公園」に転換し、新たな民間業者を迎え入れて自然を生かしたアミューズメント施設を営業させるなどして活性化する方針だからです。

https://www.town.misaki.osaka.jp/soshiki/toshi_seibi/sangyo/aratanamisakikouen/3141.html

既に進出する民間業者や新施設のコンセプトは決まっており、

https://www.town.misaki.osaka.jp/material/files/group/20/puresu1misakikoue.pdf

https://www.town.misaki.osaka.jp/material/files/group/20/siryou2misakikoue.pdf

https://kaleidojapan.com/project/project/

これを受けてみさき公園の敷地は新施設の整備のため2023/4/1からゲート周辺などごく一部を除いて完全閉鎖されていますが(2021/7から約3分の1のエリアが町立公園として暫定開放されていた)、それから半年以上が経過した2023/11/2時点も、新たな業者による整備工事が着工される気配はどこにもありませんでした。念のため町役場の担当部署にも聞いてみましたが、「我々にも何も連絡がない」とのことでした・・・

もと岬町コミュニティバス営業所のすぐ近くには、南海電鉄グループ運営時代の「みさき公園」の看板がそのまま残されています。ここは園の大駐車場の入口でした。

使用停止から3年半以上が過ぎ、みさき公園の大駐車場は徐々に荒れてきています。

(おわり)

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