2022/12/21付ブログ記事「京奈和自動車道・大和北道路の工事進捗状況について」の続きです。
ジェトロ(日本貿易振興機構)公式サイトの「政府公共調達データベース」で、国土交通省の公募型プロポーザル情報として「大和北道路八条地区橋梁工事に係る技術協力業務」の落札者が決まった旨の公示が2022/6/1付でなされています。
https://www.jetro.go.jp/gov_procurement/national/articles/239735/2022060101060074.html
これは、1996年に発効した「政府調達に関する国際条約」に基づき、政府調達に国外企業が参入しやすくなるように、一定額以上の中央政府、独立行政法人及び特殊法人による物品およびサービスの調達を全世界に向けアナウンスする必要があり、この工事がその対象に該当するためのものです。
https://www.jetro.go.jp/gov_procurement/gaiyo.html
もっとも日本国内では外国資本の建設会社が工事をはじめとする事業活動を行うことは皆無に近く、落札者は大成建設となっています。
そして、近畿地方整備局公式サイトでは、この技術協力業務の概要に関する資料が公開されています。こちらでは、令和4年4月27日に大成建設と随意契約を結んだと明記されています。
https://www.kkr.mlit.go.jp/n_info/zuii/qgl8vl000000fk7j-att/a1654594653216.pdf
技術協力業務が必要になったのは、この工事が「京奈和自動車道大和北道路の専用部が、奈良市八条地先において、国道24号の既設八条高架橋をアンダーパスする構造であり、専用部構築に支障となる八条高架橋の既設橋脚の撤去・再構築が必要となることから、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事である」(カギカッコ内引用)ためです。
大和北道路の奈良IC以南の大部分は、地平を南北に通る4車線以上の幅がある国道24号の中央部に4車線の高架橋を通すような構造になると思われます。しかし、杏町(からももちょう)交差点の北側はJR大和路線をオーバークロスするため国道24号自体が既に4車線の高架構造(八条高架橋)となっており、
<参考>杏町交差点のストリートビュー 大和路線をオーバークロスする付近のストリートビュー
さらに奈良ICの先でトンネル(しかも地表から深いシールド構造)に入ることから、急こう配を回避すべく大和路線沿いの部分を高架構造ではなく地平構造にすることは必須で、国道24号八条高架橋の上を乗り越えるのではなく下をくぐらせねばならないわけですね・・・ 現在の八条高架橋ができた頃には大和北道路の分岐は全く想定されていなかった故に大工事かつ難工事となり、設計より前に高度な技術力が必要なわけです。