「ひたちBRT」は、茨城県日立市の市街地において、2005年に廃止となった日立電鉄線の廃線跡を活用してバス専用道を整備し、道路状況に左右されないバス高速輸送システム(BRT)を構築するものです。まず、2013年3月に第1期区間(久慈浜駅跡から大甕駅の南方までの約1.3km)が開通しました。
https://www.mlit.go.jp/common/001020740.pdf
次いで第2期区間(大甕駅から河原子駅跡付近まで)の専用道整備に着手し、まず2018/3/26に大甕駅北方~河原子駅跡付近の区間の専用道が供用開始となり、
https://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/014/001/003/p065897.html
次いで大甕駅の駅舎整備や常磐線との交差部分(駅の南北それぞれに存在)の工事完了に伴い2019/4/1から対象全区間の専用道が供用開始となりました。
https://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/014/001/003/p075012.html
残る第3期区間は、当初計画では(上記資料にあるとおり)河原子駅跡付近から北上して、日立電鉄線の終点だった鮎川駅跡(JR常磐線の常陸多賀駅と日立駅の中間部の線路東側)までの廃線跡を整備し、さらに新規ルートで日立駅付近まで運行するものでした。ImpressWatchのサイトで2023/8/29付で公開されたレポートでもそう結ばれています。
しかし・・・
このブログを書いている時点でGoogleで「ひたちBRT 第3期」と検索すると、日立市公式サイト内の「日立都市計画における道路の変更に係る地元説明会を開催しました」のページがトップに出てきます(説明会は2023年3月17・18日の両日に開催)。
https://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/014/010/p113391.html
こちらによれば、ひたちBRTの第3期ルートは、「新たに整備予定の常陸多賀駅東口を経由し、駅北側に新たに整備する都市計画道路(多賀停車場間々下線)でJR常磐線を高架構造で跨ぎ、常磐線の西側を日立駅方面に向かう」ように変わっているようです。つまり、常陸多賀駅を経由せず日立グループの多賀事業所・国分事業所の東側を通る廃線跡は活用しないことになります。
付近のGoogle航空写真はこちら
日立市公式サイトにはこれ以上の情報はありませんが、日立グループ議員団ホームページ(日立グループ労働組合出身議員の活動を紹介するサイト)内に存在している「日立市議会だより2021年4月号」によれば、
http://hitachi-gr-giindan.jp/report/files/202104-aoki-146.pdf
第3期ルートは「BRT利用者の需要見込み、現行バス路線との統合など、効率的な再編が可能と考えられる中央線ルートを基本に検討を進めることとしました」となっており、多賀停車場間々下線で常磐線を跨いだ先は多賀高校・茨城大学日立キャンパス付近を経由して日立市民運動公園に至り(ここまで5~10年程度の短中期整備区間)、さらに日立グループの海岸事業所の西側を経由して日立駅に至る(このあたりは10~15年程度の中長期整備区間)となっています。確かに、河原子駅跡~鮎川駅跡の区間の沿線には人口の集積も目ぼしい公共施設もなく、BRTのルートとして活用するメリットはほとんどありません。
おそらく、現段階では第3期ルートの概要レベルの設計を業者に委託する形で固めている最中と思われますが、正式な形で公開されるのが待ち遠しいですね。