「強制不妊手術に謝罪を」宮城の60代女性の親族ら国側と面談
旧優生保護法に基づき、不妊手術を強制的に受けさせられた宮城県の60代女性の義姉ら被害者の支援者が26日、東京都内で厚生労働省職員と面談し、謝罪と補償を求めた。国側は「強制不妊手術は合法だった」などと説明し、協議は平行線だったという。
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1948年施行の旧優生保護法は「不良な子孫の出生防止」を目的に、本人の同意なしに不妊手術を行うことを認めていた。女性は15歳の頃、知的障害を理由に卵管を縛って妊娠できなくなる手術を受けさせられたという。
国との協議は非公開。支援者によると、厚労省母子保健課の職員ら3人が出席した。義姉の佐藤路子さん(仮名)が、義妹の強制手術の根拠となった診断名「遺伝性精神薄弱」に疑問を呈した上で「なぜ手術を受けなければならなかったのか今も納得できない」と謝罪を求めたが、国側は「旧優生保護法に基づく強制不妊手術は合法で、不服申し立てもできた」と回答したという。
協議後、佐藤さんは取材に「合法だったという言葉にはがっかりした。何も解決しない」と述べた。
旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡っては、宮城県内の70代女性が2015年、日弁連に人権救済を申し立てた。日弁連は今年2月、国に被害者への謝罪と補償を求める意見書を出した。
優生保護統計などによると、旧優生保護法が96年に母体保護法に改正されるまで、本人の同意を得ない不妊手術は全国で約1万6500件。宮城県は約1400件で、北海道の約2500件に次いで全国2番目に多い。