ドナーで生まれた子どもたち 「精子・卵子・受精卵」売買の汚れた真実
海外で売買された可能性がある臓器や、提供者(ドナー)の情報が明らかでない臓器の移植を受けた患者に対しては、経過を定期的に観察するフォローアップ診療をしない方針を、少なくとも国内の五つの病院がウェブサイトで公表していることが1日分かった。海外で横行する、倫理的に問題があったり手続きが不透明だったりする臓器移植を根絶するのが狙い。
医師法には「正当な理由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならない」とする応召義務の規定があるが、いずれの病院も臓器取引などを禁じた移植学会の倫理指針に従って対応を決めた。
移植医療には、通常の医療としての諸問題以外に、臓器、組織または細胞の提供者(ドナ ー)を必要とするという特殊性があり、それに伴う倫理的な配慮が不可欠である。また、新しい医療技術の開発は、それによって現在、直接に得られる効果のみならず、その技術が将来にわたって人類に及ぼす影響についても、慎重に考慮されなければならない。さらに、そ の技術を人体に応用する場合には、その対象となる人の人権を保障することを前提としな ければならない。
なお、ドナーの面接にあたっては、レシピエントの 同席を伴わない、個別の面接機会を設定する。
ドナーは提供手術が実施されるまで、提供の意思をいつでも撤回することが可能である。
① いかなる理由があろうとも、国内外を問わず売買された臓器の移植を行ってはならない。② 国内外を問わず売買に関与している医療施設や、医療関係者および臓器の売買を斡旋す るものに患者を紹介することを禁じる。③ 海外の医療施設に移植目的で患者を紹介する場合には、売買された臓器によって移植が 行われないことを確認しなければならない。(2) 受刑中であるか死刑を執行された者からの移植の禁止① 受刑中の者、あるいは死刑を執行された者からの移植は、ドナーの自由意思を確認する ことが困難であることから、国内外を問わず禁止する。
② 海外の医療施設に移植目的で患者を紹介する場合には、受刑中や死刑を執行された者か らの臓器によって移植が行われないことを確認しなければならない。
厚生労働省は「未婚の場合は中絶に相手の同意は不要」との見解を示しているが、医師は訴訟のリスクがあると説明した。
母体保護法上は、未婚など事実婚を含む配偶者が存在しない患者さんにおける人工妊娠中絶同意書に性的パートナーの同意は不要です。しかし、現実の運用上では母体保護法ではなく民事トラブル回避の観点から配偶者の有無に関わらず、人工妊娠中絶を行う患者の当事者である性的パートナーからの同意取得を前提としている施設が少なくありません。
かおるさんとちあきさんは、実際は海外の精子バンクの身元開示ドナー(子どもが一定年齢に達したとき、身元を明かすことに同意しているドナー)を利用しており、ドナーは現地の法律に基づき、提供精子により生まれた子どもの親権に関わる一切の権利を持たず、義務を負わないため、中絶する場合なども「訴えられるリスクはない」と説明。
ところが、かおるさんが転院先の病院の診察に訪れると、院長は「前の病院で倫理委員会を通して受け入れを断られたことや、精子提供のことは全く聞いてない」と告げた。
さらに同性カップルが子どもを持つことについて「同性で愛し合うことや、結婚自体は全然否定する気はないが、子どもを持つことは果たして良いのかと思っている」と発言。
「法整備がない(中での)受け入れとなると、病院として出生届を発行するのが難しい」とも述べた。かおるさんが「出生届は未婚で届ければいいのでは」と言うと院長は「ここで議論する気はない」「他をあたってほしい」と言い、受け入れを拒否した。
受け入れ先が決まった後の3月後半、かおるさんたちのもとに最初に受診した病院から分娩受け入れ不可の理由を記した倫理委員会の書面回答が届いた。病院が理由として挙げたのは▼精子バンクから提供された第三者配偶子による妊娠に関する法整備がなされていない▼学会でも精子バンクに関する議論が行われていない――という点だ。そのため「同様の症例の妊娠・分娩管理の経験のない当院での診療継続が難しい」と書かれていた。
学会でも精子バンクに関する議論が行われていない
通達では第三者提供の精子による出産の扱いには触れておらず、日本産科婦人科学会も分娩受け入れを禁止していない。それでも病院側が慎重になった可能性がある。
当事者にとっては病院側の「父親がわからないシングルマザーは受け入れるが、第三者提供の精子による妊娠は受け入れない」という説明は納得のいくものではなかった。
新しい医療技術の開発は、それによって現在、直接に得られる効果のみならず、その技術が将来にわたって人類に及ぼす影響についても、慎重に考慮されなければならない。
学会は2023年4月に出した報告書の中で、提供精子による生殖医療のあり方について、早急に明確にするよう厚労省などに求めた。さらにこの報告書では「性的マイノリティやパートナーがいない⽅から、本医療によって⼦どもを持ちたいとの要望が寄せられている」として、第三者提供の精子を使った医療の提供範囲について、多⽅⾯からの意⾒集約が望まれるとも指摘している。
⽇本産科婦⼈科学会は、2001 年 1 ⽉に厚労省⺟⼦保健課⻑より出された「第三者が関わる⽣ 殖医療については、制度が整えられるまでは、⾮配偶者間⼈⼯授精(AID)を除いて実施を控 えるように」との通達(資料2)を遵守しており、厚労省における制度設計を待機している状 態です。そのため、AID にて妊娠に⾄らない場合でも、提供精⼦を⽤いている以上、体外受 精・顕微授精(ICSI)へのステップアップは不可能です。AID は ICSI に⽐べて妊娠率が低 く、提供者の不⾜が深刻化する中で有効性の低い AID を繰り返すことは医療の観点からは論理的ではありません。このような背景から、⺠間の精⼦バンクから精⼦を購⼊し、これを⽤い た ICSI によって出産した事例が複数報告されるようになりました。提供精⼦を⽤いた体外受 精・ICSI を認めるのかどうか、厚⽣労働省が 2001 年 1 ⽉ 17 ⽇(22 年前)に発出した⺟⼦保健課 ⻑通知(資料2)を、どのようにするのかを早急に明確にして公表していただくことを求めます。
商業化された場合、卵⼦提供が⽣活困窮の回避⼿段となりうることや、⽣殖年齢を超えた⼥性が妊娠することの安全性を危惧する声も挙がっています。提供者の⼈権を尊重 し、健康や安全を考慮し、さらに社会経済的に脆弱な⽴場の⼈を搾取しないという精神を盛り 込んだ体制の整備が望まれます。これらを含め、国が関与する形での精⼦、卵⼦提供体制の整 備が望まれます。
提供精子による妊娠・出産の経験がなく診察継続が難しいのであれば、個人病院ではなく、設備の整った然るべき病院を転院先として紹介するのが自然だとも感じている。
東京都は、条例で「性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない」と定めている。
自身が受けた医療機関の分娩拒否をSOGIハラ(性的指向や性自認に関するハラスメント)だと感じたが、どこに相談すべきかわからなかった。その経験から、国や自治体が、医療に関するSOGIハラの相談窓口を作ってほしいと感じている。
木村正理事長はハフポスト日本版の取材に、「国は現在(精子提供で子どもをもうける同性カップルなどが)世の中にいないというような姿勢で、まったく宙ぶらりんの状態です」と述べる。
「個人として、同性カップルを受け入れられないという考えを持つ人はいるかもしれません。しかしその個人の感情で医療の提供を拒否するのは、私たちの権利だけではなく、子どもの権利を侵害することになると思います。医療機関に携わる人間として、そのことをどう考えているのでしょうか」
長村さんは今回の病院の対応について「命の選別をしており非常に問題だ。今回の二人は非合法なことをしてるわけではない。 生まれてくる子どもの命にレッテルを貼らないでほしい。そしてこのようなケースがまかり通ること自体、今後もあってはならない」と指摘。
生命倫理に反する行為を、
「命の選別」
「子どもの命にレッテル」
に置き換えようとする詭弁。
ドナーで生まれた子どもたち 「精子・卵子・受精卵」売買の汚れた真実