現代版徒然草素描

勝手気ままに感じたままを綴ってみましょう。

破局の二つの方向性

2009-01-25 09:15:23 | 社会 経済

カタストロフーとアナストロフーの理論

 破局のモデルとしてトポロジーのカタストロフーの理論が知られている。最近の金融危機もカタストロフーということに分類されてしまうのだろう。

古代ギリシャでは破局を言い表す言葉が二つあったはずである。その一方が忘れ去られている可能性がある。(ネット検索しても出てこない。すでに知られている言葉だと思っていたが、・・・。)

カタストロフーは順調に発展していたものが急に下方へ転換することを意味している。もう一つの考え方は上方に暴走し続けた結果転覆することを言い表すものである。たとえが悪いが、飛行機が着陸しようとして墜落するのがカタストロフーとするなら、テークオフした飛行機が突然空中爆破事故でも起こしたような破局の構造がある。それをアナストロフーという。

今回の金融危機は、まさに後者のモデルに近いと思われる。社会の最先端を自負している金融工学という分野で起こってしまったために、実体経済に波及する速度が速いことに気がつかれたはずである。

以前の不況のように過剰生産によるものではないといえる。バブル崩壊といってしまえばそれまでだが、それともちょっと性格が異なっているような気がしないでもない。

この悲惨なアナストロフーという破局を「突然、やってきたことで予測がつかない出来事だった。」「100年に一度の経済危機だ。」と表現しているのはこのことを的確に言い表しているものと考えられる。

カタストロフーは何らかの兆候が見られるけれど、アナストロフーはよく観察していないと先のような表現になってしまうのだろう(アナストロフーの概念を早くから理解していれば、加速度が付いてしまった現代の社会、経済は相当暴走していたことになるのだけれど、・・・。長い間、過度にアクセルを踏み続ければそれだけ矛盾を溜め込むことになる。自動車でさえ操作不能に陥ってしまうではないか。)。

何人かの敏感な人は察知していたのかもしれない(そのようなことを言っているアナリストがいることはいる。)先の世界的な不況(ブラックマンデー)の前でもケネデー大統領の父親は町で靴磨きから「今度は、どの株が上がりますか。」と聞かれたらしい。「一介の靴磨きまで株の話をしてしまっている。これはそろそろ売り時かもしれない。」【現在で言うところのバブルが起こっていると判断したのだろう。】手持ちの株式を全部売り抜けてしまったらしい。

アナストロフーを避けるためには歴史的な転換点に来ていることをよく承知することであり、柔軟に頭を切り替えることだろう。パラダイムがシフトしていることを知ることだろう。人類はさまざまな分野でパラダイムの切り替えを経験してきた歴史があるではないか。

【パラダイムと言う考えかたを言い出したのはデカルトだが、・・・・。】

何年か前に、竹村健一氏が「複線的思考」といっていたようだが、今までの軌道のちょっと横にもう一本のレールがあることに気づくことである。