今日は急きょ予定を変更して、京都で映画を見てきました。
「カルテット」
レ・ミゼラブルみたいな大作でもないし、お金もかかってない。セットがすごいかと聞かれたらそうでもない。でも、とってもいい映画でした。
話は、最初にだいたい結末が読めてます。
音楽家だけが入れる(イタリアに実際、作曲家ヴェルディが作った老人ホームがありますが、そんな感じ)イギリスの老人ホーム。入っている人たちは、往年の名歌手や、オーケストラの奏者。
そこへ、すごいソプラノのおばあさん、いまだにプライド高く…。そしてそこには、離婚した元旦那のテノールがいて。
お話は単純です。でも、ちょっとした丁寧さがとっても心地いいのと、実際に本当にイギリスのナショナル劇場の歌手だった、BBCオケの奏者だった人たちが、出演者として出ています。そんなところも、私たちが見て、うそなんだけど、うそっぽくない、でもやっぱり作り物の面白さみたいなところがよかったです。
私もそうですし、そう考えるのは音楽家だけではないと思いますが、毎回、舞台の後は、「今日が人生で一番良かったのではないだろうか」「もう二度とこんなに良く歌えないのではないか?」という恐怖と闘います。主人公の女性歌手もそこが歌をやめた理由でした。
「老い」という現実と闘わねばならないし(おばあさんになるという意味ではなく、筋力とか、声帯の状態とか、そういう老いは、もう何年も前から始まってますので)、実際の「老い」も迫ってくる。
でも、この映画は、もうちょっと楽しみながら、がんばってみようかなという希望がわく映画になっています。たくさんの「高齢」音楽家に、そして少し不安になってきた音楽家にも見てもらいたいと思いました。
シャーベットのように、あと味がさわやかな映画でした。