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隔離生活がスタートして1週間がたちました。やっと折り返し地点です。たくさんの方からご心配のメールや電話をいただいていますが、現在のところ体調は悪くありませんし、味覚や嗅覚障害も出ておりません。ご安心ください。
さて、実は大変ショックなことが起きました。私の知人が、私の知らないところで、いわれのない非難を受けました。少し長文になりますが、最後までお読みいただければ幸いです。
この3月から、ウィーン歌曲のさらなる勉強をするために演奏旅行と半年間の留学を計画していました。今回のコロナウィルスについては、いち早く情報を集め、1月末にはこのブログで周りの方に注意喚起もしておりました。その時から現在に至るまで感染予防には細心の注意を払っています。例えば、プリンの容器や牛乳パックなど『購入したものはすべて洗ってから』『外袋から中身を出して』収納していました。『生ものは口にしない』『オープンスペースで販売しているコロッケやパンは火を入れてから食べる』『外食はしない』『人との距離は開ける』『マスクは必須』『帰宅後の手洗い&洗顔』などです。この冬は買い物にもずっと手袋をしていました。
なぜそうやっていたかというと、出発前は日本の感染者数がヨーロッパよりも圧倒的に多かったからです。『オーストリアへウィルスを持ち込んではいけない』と思っていました。しかし到着後数日にして旅行者に国外退去命令が出ました。私たちはそれに従って予定を変更して帰国しました。そして検疫で指示された通り、誰にも接触せず、一歩も家から出ない状態で、現在14日間の隔離生活を粛々と行っています。
『日本からウィルスを持ち込んではいけない』という思いと同じく『日本にウィルスを持ち帰ってはいけない』とさらに意識を強く持っていました。当然、羽田空港でも細心の注意を払い帰宅しました。
現在はネットスーパーに頼らざるをえないので、『配達時は2メートル下がってもらう』『サインは自前のボールペン』『箱や商品はもちろん洗うorアルコール消毒』『ドアノブもアルコールで消毒』です。これを3か月にわたってずっと継続しています。
オーストリアは小さい国です。ロックダウン時の感染者数が多かったわけではなく、非常に早く思い切った政策に踏み切りました。日本ではイタリアなどの深刻な状況のみが取り立てて報道されていますが、そのイタリアでさえ、場所によっては全く状況が違います。ヨーロッパのすべてが同じ状況ではないのです。この迅速な措置により、私たちは残念ながら一度もコンサートやオペラにも行けず、オーストリアの友人には一人も会えず、ただアパート近くのスーパーに数日に一度、気をつけながら買い物へ行くのみの滞在となりました。
ところが最近、私の知り合いが、私と関係があるということだけで中傷されたという連絡を受けました。大変ショックでした。私の濃厚接触者は一緒に隔離期間中の同行2名のみです。ですから今回の帰国で、私の知り合いや、関係者が非難されるなんていうことは、あってはならないはずです。私の知り合いというだけで「あなたも感染しているんじゃないですか?」等々、聞いてくる人がいるなんて想像もしていませんでした。
直接接触していない人物に対しての非難中傷や、SNS上で見られるような関係者のつるし上げをしている場合ではないのです。自分が安心したいため、自分だけは違う場所にいると確認するための差別があってはならないと、強く思います。
世界中がコロナウィルスに翻弄されている今だからこそ『理解して』『助け合い』『協力する』必要があるのだと思います。