ただの碁好きな麺や親父の雑記

麺や食堂爺のひねもすのたりのたりかな

江戸っ子の蕎麦

2018-04-11 11:47:57 | 歴史
池波正太郎が、食卓の情景 という本に書いてある
中に、
蕎麦の記述が面白いのでちょっと、拾ってみました。
江戸っ子は、見栄を張って、つゆにちょいと、
蕎麦をつけて、手繰りこむ。
ところが、本音は一度でいいから、
どっぷりつゆをつけて蕎麦を食いたい。
死ぬ間際に江戸っ子が、
「せめて死ぬ前に、蕎麦をどっぷりつゆにつけて食いてえもんだ。」
と言ったそうな。
この例え話は、いろいろ流用されているが、
ふざけてはいけない。
東京の蕎麦の、例えば「藪」というみせのつゆへ
どっぷりと蕎麦を漬け込んでは、とてもとても、
「食べられたものではない」のである。
あの濃いつゆへ、蕎麦の先をつけてすすり込めば、蕎麦の香りが生きて、つゆの味にとけあい、
うまく食べられるのである。
つゆが薄ければ、どんな江戸っ子だって十分につけてすすり込めばいいのだ。^ - ^と。
池波正太郎が、時代小説を主に、書いていますが、
そうではない、単に食事のことをもろもろかいた。「食卓の情景」のなかで、
面白く書いている。
彼の食べ物に対する造詣がすごい。
その元は職業柄、作家という居職のせいで、
書くことに飽きると、食べ物に向かうという
習性みたいなもんらしい。